イセカマジックストーリー《異世界×オカマ×魔法》
25再会
見張りの危機を乗り越え、安堵した3人は今、門を出て真っ直ぐ進んでいる。
とりあえず、王都からは離れるべきだよな。多分、情報は王都を中心に広がるんだろうし。ロームとは反対へ進んでいくのが妥当か。
「次はどんな街へ行く予定なの?」
サラが聞きたいことを口にしたのはウィルだった。問われたネロは地図を見て珍しく眉間にシワを寄せている。
「それが…。まだ決めてないのよ。突然だったから。でも、このまま真っ直ぐ行ったら街があるわ。とりあえず、そこかしら。」
不満そうな顔のまま、ネロは決断を口にした。だが、その顔はまだ地図に向けられており、なにやら指で地図をなぞっている。道の確認でもしているのだろうか。
「ネロ、どうしたの?まだ何か問題があるの?」
目を隠すほど深く被っていたフードを少し上げ、ネロの顔を覗いて尋ねてみた。
「それがぁ…。また、ダンジョンがあるのよ。しかもさっきのよりも大きい。何より今日1日はダンジョンに入るなって言われてるのよね。」
そうだ。あの薬みたいなものが身体の一部になるのには1日かかると言われた。もしそのダンジョンに恐ろしいほど強いモンスターがいたとしたら……。考えるだけで恐ろしい。
どうやらネロはそのダンジョンを通らなくてもいいルートを考えている途中だったようだ。顎に手を当てて目を細めている。推理中のコ○ン君みたいだ。
「大丈夫だよ姉ちゃん!僕がこの新しい剣でばったばった切り倒すから!」
そう言ってウィルが剣を抜いて見せる。剣というべきか刀というべきか。異世界でよくある両刃の剣ではない。日本刀のようなフォルムをしている。しかも鍔には龍がとぐろを巻いたオブジェクトがついている。
日本刀かな?なんか、なんとか流みたいな道場に伝わる家宝の刀みたいな感じだな。というかそれはどこで…?
「ウィル、それどこで買ったの?っていうか、私を助けてくれたときの剣はどうしたの?」
質問が2つになってしまい申し訳ない気持ちは、言った後になってから湧いてきた。
「これはさっき買ったんだ!なんか珍しい形してるし、前のやつよりも軽いんだ!持った瞬間に惚れたよ。」
ウィルの目はキラキラしている。彼はかなり剣が好きなのだろう。12歳なら重いだろう剣を、あんなにも軽々と振り回して魔物まで倒せるのだ。今考えたら相当練習したのが分かる。きっと努力した結果だ。彼はきっと将来ビッグになる。そう確信したサラであった。
「んでね、前にサラを助けた剣は……。あ、サラちゃんと教科書読まなかったでしょ?」
ギクッ!は、半分くらいは読んだんだけど……。
「だって、時間無かったし……。」
それを聞いていちばん目をギラつかせたのは、言うまでもなく、さっきまで頭を抱えていたネロ。
ひぃ!
「まあ、いいや。エンチャントせずに魔物の血を浴びた剣はすぐに錆びちゃうんだよ。あの時はサラを見つけてから猛ダッシュしたからつい忘れちゃって。」
人差し指で頭をポリポリ掻いて、苦笑いを浮かべるウィル。ドジなエピソードを言った恥を表す行動なのだろうが、そんな自虐はサラには届かなかった。別の単語に意識をとられたからだ。
まだ10日くらいしか経ってないのに、そんなこともう昔のことのように思っちゃってた。あの時助けてもらえなかったら、私は今ここにいないのに。
「そっか、ありがとう。そんなにも必死に守ろうとしてくれたんだね、誰かも分からない人のことを。」
思い出したら一粒の涙が零れてしまった。10日も経つと涙腺も女子になってしまうのだろうか。でもそんなことは、今のサラにはどうでもよかった。それまで辛い思いをしてきた反動で、優しさに触れると弱いらしい。その後も何粒か涙は落ちた。だがそれは今まで流しそうだった涙ではない。流れていい、温かい涙だ。
「わっ!泣かないでよ!僕が泣かせたみたいじゃないか!」
「うん、ごめん。」
ウィルに肩を叩かれながら、ネロの後を歩いた。
それまで暫くはテキトーにネロの後ろを歩いていたので気が付かなかったが、3人は森の前にきていた。
「大丈夫?二人とも。今からこの森を抜けるんだけど。」
「大丈夫だよ。」
恐らく大半はサラに向けられた言葉だったので、サラが返した。
そして改めて3人が森を見たとき、その中に見覚えのある姿があった。大きなマントに身を隠し、フードを被った小さな後ろ姿。それが森の奥へ歩いていく。3歩ほど歩いた後、足が何かに引っ掛かったのか、一瞬だけ後ろを向いた。その顔に見えたのは、
青と緑だった。
とりあえず、王都からは離れるべきだよな。多分、情報は王都を中心に広がるんだろうし。ロームとは反対へ進んでいくのが妥当か。
「次はどんな街へ行く予定なの?」
サラが聞きたいことを口にしたのはウィルだった。問われたネロは地図を見て珍しく眉間にシワを寄せている。
「それが…。まだ決めてないのよ。突然だったから。でも、このまま真っ直ぐ行ったら街があるわ。とりあえず、そこかしら。」
不満そうな顔のまま、ネロは決断を口にした。だが、その顔はまだ地図に向けられており、なにやら指で地図をなぞっている。道の確認でもしているのだろうか。
「ネロ、どうしたの?まだ何か問題があるの?」
目を隠すほど深く被っていたフードを少し上げ、ネロの顔を覗いて尋ねてみた。
「それがぁ…。また、ダンジョンがあるのよ。しかもさっきのよりも大きい。何より今日1日はダンジョンに入るなって言われてるのよね。」
そうだ。あの薬みたいなものが身体の一部になるのには1日かかると言われた。もしそのダンジョンに恐ろしいほど強いモンスターがいたとしたら……。考えるだけで恐ろしい。
どうやらネロはそのダンジョンを通らなくてもいいルートを考えている途中だったようだ。顎に手を当てて目を細めている。推理中のコ○ン君みたいだ。
「大丈夫だよ姉ちゃん!僕がこの新しい剣でばったばった切り倒すから!」
そう言ってウィルが剣を抜いて見せる。剣というべきか刀というべきか。異世界でよくある両刃の剣ではない。日本刀のようなフォルムをしている。しかも鍔には龍がとぐろを巻いたオブジェクトがついている。
日本刀かな?なんか、なんとか流みたいな道場に伝わる家宝の刀みたいな感じだな。というかそれはどこで…?
「ウィル、それどこで買ったの?っていうか、私を助けてくれたときの剣はどうしたの?」
質問が2つになってしまい申し訳ない気持ちは、言った後になってから湧いてきた。
「これはさっき買ったんだ!なんか珍しい形してるし、前のやつよりも軽いんだ!持った瞬間に惚れたよ。」
ウィルの目はキラキラしている。彼はかなり剣が好きなのだろう。12歳なら重いだろう剣を、あんなにも軽々と振り回して魔物まで倒せるのだ。今考えたら相当練習したのが分かる。きっと努力した結果だ。彼はきっと将来ビッグになる。そう確信したサラであった。
「んでね、前にサラを助けた剣は……。あ、サラちゃんと教科書読まなかったでしょ?」
ギクッ!は、半分くらいは読んだんだけど……。
「だって、時間無かったし……。」
それを聞いていちばん目をギラつかせたのは、言うまでもなく、さっきまで頭を抱えていたネロ。
ひぃ!
「まあ、いいや。エンチャントせずに魔物の血を浴びた剣はすぐに錆びちゃうんだよ。あの時はサラを見つけてから猛ダッシュしたからつい忘れちゃって。」
人差し指で頭をポリポリ掻いて、苦笑いを浮かべるウィル。ドジなエピソードを言った恥を表す行動なのだろうが、そんな自虐はサラには届かなかった。別の単語に意識をとられたからだ。
まだ10日くらいしか経ってないのに、そんなこともう昔のことのように思っちゃってた。あの時助けてもらえなかったら、私は今ここにいないのに。
「そっか、ありがとう。そんなにも必死に守ろうとしてくれたんだね、誰かも分からない人のことを。」
思い出したら一粒の涙が零れてしまった。10日も経つと涙腺も女子になってしまうのだろうか。でもそんなことは、今のサラにはどうでもよかった。それまで辛い思いをしてきた反動で、優しさに触れると弱いらしい。その後も何粒か涙は落ちた。だがそれは今まで流しそうだった涙ではない。流れていい、温かい涙だ。
「わっ!泣かないでよ!僕が泣かせたみたいじゃないか!」
「うん、ごめん。」
ウィルに肩を叩かれながら、ネロの後を歩いた。
それまで暫くはテキトーにネロの後ろを歩いていたので気が付かなかったが、3人は森の前にきていた。
「大丈夫?二人とも。今からこの森を抜けるんだけど。」
「大丈夫だよ。」
恐らく大半はサラに向けられた言葉だったので、サラが返した。
そして改めて3人が森を見たとき、その中に見覚えのある姿があった。大きなマントに身を隠し、フードを被った小さな後ろ姿。それが森の奥へ歩いていく。3歩ほど歩いた後、足が何かに引っ掛かったのか、一瞬だけ後ろを向いた。その顔に見えたのは、
青と緑だった。
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