イセカマジックストーリー《異世界×オカマ×魔法》

海野藻屑

11黒属性

その後は試験データをとると言われ、A級属性魔法を教わって、発動した。それが6日間続いた。

6日目の夜、自室でベッドに寝転がりながらジオに話しかけていた。

「ジオ?」

(なんだね?)

「魔力構成ってジオが設定したの?」

(そーだよ。それがどーしたのさ?)

「あ、あのねぇ。どう考えても詠唱しないで魔法できる人の魔力構成が平凡なわけないでしょ。もう少し配慮してよね。」

(魔力構成は確かに平凡だよ。でもね、魔法のパワーを決めるのは実は構成だけじゃないんだ。)

「え?じゃあ何?」

(濃度だよ。魔法要素の濃度。濃度が高い方が魔法も強力になる。君のはもうガンガンにしておいたのさ。)

「え?いやでもネロは平凡だったって…。」

(その人は多分、要素透視をしたんだと思うんだけど、その魔法じゃ正確な濃度はわからないんだ。ちなみに濃度を見る魔法はまだ無いから、君の詠唱無し魔法の理由は誰もわからないだろうね。)

「……。だったら構成を変えてくれた方が私も楽だったんだけど…。」

(悪いねぇ。でもまあ許して?)

「テキトーな神様だな!おい!」

(そのテキトーさで君は今も生きているんだから、感謝してくれよ?)

「……。はいはい。じゃあ、またな。」

(はーい。)

この1週間は疲れたが、研究のおかげでたくさんの魔法を習得できたから満足している。ネロいわく、明日で研究は最後らしいからひとまず落ち着いた生活ができるようになるだろう。




ガチャ

「サラ!いつまで寝てんの!?研究開始よ!」

あれから毎朝ネロが起こしにくる。何時かはわからないが、まだ日が低いのでかなり早いのではないだろうか。

「は、早いよ、ネロ。私結構疲れてるのよ?」

1週間も一緒にいると、すっかりタメ口だ。

「いいから!今日は少し違うことをするの!楽しみで昨夜は眠れなかったんだから!」

遠足前日の小学生か!

「わかったわかったわかりました!今行くー!」

いつものようにロリータ衣装に着替え、外に出る。初等魔法の教科書を持ったネロが私を見る。

「今日は、これよ!あなたにはこれをやってもらいたいの!」

そう言ってネロは(黒属性)と書かれた部分を指さして見せる。

「黒属性魔法…?そういえばなんで黒属性だけ括弧書きなの?」

そうなのだ。なぜか黒属性の部分には()がついている。

「黒属性魔法はね、必要な魔力が多すぎて今まで誰も使ったことがないのよ。研究者たちの計算と予測で大体の魔法のイメージはあるんだけど、未だ誰もそれを見たことがないの。」

あれ、それだと一度見たものっていうのにあてはまらないんじゃないか?

「でも貴女はいちばん魔力を使用する他次元接続、つまり詠唱を行わない。ってことは貴女には黒属性魔法を発動するのに必要な魔力量があるのよ!」

すごく期待されている…。今更できないは言いにくい。

「え、ええとぉ…。一応イメージだけ教えてもらえない?」

「いいけど。あくまでイメージよ?黒属性魔法ってね、いわゆる召喚魔法って考えられているの。つまり、発動すると目の前に召喚陣が現れてそこから対象が出てくるって感じなのよね。」

召喚!?ドラゴンとか悪魔とか!?

「な、なるほど。対象っていうのはなんでもいいの?」

「ええ、あなたの好きなものでいいわ。」

「じ、じゃあ一回やってみるけど、あんまり期待しないでね?」

さて、できるわけないんだけど、やってみますか。

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