異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

59話 最厄再び

モノケロスとの殺し会いが始まる。
先に仕掛けたのはモノケロスだった。
能力を使い拳に火の属性を付与し俊哉に殴りかかる。
魔術師のアルカナを使い避ける俊哉。うまく避けカウンターを決める!
何度か繰り返しているとあることに気がついた。
どこからかする何かの焦げた臭い。
辺りを見渡すが特に焼けている箇所はない。
余所見しながら交わしていると背中に衝撃が走る。
そこで始めて俊哉は気がついた。
ただ、避けているだけでは、モノケロスの付与した炎で焼け焦げてしまうということに。
拳の軌道に所々残る火の粉がモノケロスの拳を避けた俊哉の衣類に付き肉体を徐々に焼き焦がしていく。

能力を無効化しようとアルカナを愚者に変えると経験値の差からモノケロスの拳を避けることが困難になってしまう。
考えている間にもモノケロスの攻撃は続き火傷の数は一つ、また一つと数を増やしていく。
完全な持久戦。隙が出てくるまでの避け戦だと思われたそんな時はリオンが動く。

俊哉に助けられ、なぜ助けられたのか。なぜ助けてくれたのか。なぜ裏切った自分を助けたのか。
理由は考えても出てこなかった。だが一つ言えることはここままだと俊哉が危ないという結果だった。
モノケロスと俊哉の間にブラックホールを作りモノケロスの動きを止める。
その勢いで部屋の扉にブラックホールで穴を空け俊哉の手を引いてオークション会場の出口へと向かう。

出口まで走りながら会話を始めるリオン。

 「俊哉君、君がどうして助けてくれたのかは正直わからない。だが、助けられて終われる人間ではないよ。
いつかのツーマンセルを覚えているかね?」

颯真と始めてあった洞窟の時のように戦おうと提案するリオンに能力が使えない事を説明する。

 「なら、今回君はサポートだ。
オークション会場から出たらすぐに迎え撃つ。準備しておいてくれ。
最悪の場合…。」

無事オークション会場から脱出する。
休む暇もなくすぐにモノケロスが姿を表す。

オークション会場から出てきたと同時に始まる二回戦。
先に仕掛けたのはリオン。
出口からモノケロスが出てきたと同時に目の前にブラックホールを作る。
とっさに出口のドアをブラックホールに投げ飛ばし、吸い込まれるドアを蹴り蹴飛ばした反動を使いブラックホールの吸い寄せる領域の外に身を置く。
ブラックホールが消えるのを待ち火の属性を拳に付与させ待機する。
消えかけのブラックホールがモノケロスの視界の邪魔をする。
ブラックホールが消えたと同時にリオンが迫っていることに気づく。
ブラックホールが消えるタイミングに合わせてリオンが向かっていたのだが当然モノケロスには見えていない。
不意打ちに反応できずリオンの拳がモノケロスの顔に決まり、モノケロスとリオンの殴り合いが始まる。
有利にたっているのはリオンだった。
顔に当てた勢いのまま腹、横腹、顔面と次次に休むことなく攻め続ける。
だが、モノケロスもやられるだけではいなかった。
腹への拳を根性で踏ん張るとリオンの腹に向かってカウンターをきめる。
リオンの腹が焼ける。
再びモノケロスが攻撃をしようとしたその時、俊哉が愚者のアルカナを使いモノケロスの能力を無効化する。
能力を無効化されたモノケロスはただの拳となりリオンに余裕を与える。
モノケロスを建物の外に投げ飛ばすと攻防を入れ替え俊哉が攻め始める。
モノケロスのマウントを取り休むことなく攻める。
その間にリオンはブラックホールを、至るところに作りモノケロスを倒す準備をする。

やられているだけで楽しくない戦いにイラつくモノケロス。
俊哉の横腹を強く殴り、攻撃の止まった俊哉をどかすと足に風の属性を付与させ俊哉をブラックホールのある方へと蹴飛ばした。
風の属性の能力で俊哉は地面につくことなく、一直線でブラックホールへと吸い寄せられる。
とっさに愚者のアルカナを使いブラックホールを消す。
リオンの準備していたブラックホールを全て消してしまう。そこからリオンと俊哉の連携は崩れ始めた。
軌道に乗ったまま止まることなくオークション会場の壁にのめり込み俊哉。
風を付与させ移動速度を早めたモノケロスに拳だけで対応することはできずやられるリオン。

 「俊哉君!愚者のアルカナを使い続けてくれ。」

リオンからの指示。
移動中の会話の最悪の時が今なのだろう。
俊哉はためらいもなく愚者のアルカナを発動し続けた。
リオン、俊哉、モノケロスの三人は能力の使えない純粋な肉弾戦となった。

一対二でモノケロスよりリードしている。
リオン、俊哉、リオンと交互にモノケロスの攻撃を交わしながら、また交互に攻撃を食らうことで隙を作らないようにモノケロスを追い詰めていく。

三人とも体力の限界が近くなり、ついに決着が決まるのかと思われたその時、突然の辺りが暗くなり俊哉とリオンの頭上から雷が落ちてきた。
とっさに俊哉のそばに行き剛毅のアルカナで雷をふさぐリオン。

雷にまじり一人の男が姿を表す。
それと同時に雷が止んだ。

 「モノケロス、二対一とは言え負けるとは何事だ。」

その声、その姿、その雰囲気。俊哉は忘れるはずなかった。いや、忘れていいはずがなかった。
よく覚えている。
俊哉の精神世界から再び声が聞こえる。
殺したいと。憎いと。目障りだと。
ドロドロとした黒い物が俊哉を包む。

モノケロスとリオンがその男の名前を呼んだことで始めて名前を知った。

 「ノアーーーーーーーーー!」

ノアへの殺気は形となり一直線にノア目掛けて延びていく。
ノアへと延びていったドロドロは辺りの物を消滅させた。

 「ノア様、ここは私が。」

モノケロスが全身に光の属性を付与し壁となる。

 「よくやったよモノケロス。もう休むといい。ここままでは君が死んでしまう。
しかし光で対抗できないとは、あれは闇の属性よりもはるか上の属性だとでも言うのか?」

ドロドロとした物が消え状況が分かりやすくなった。
そこには傷だらけのモノケロスの奥に無傷のノアが立っていた。

再びノアに攻撃をしようとする俊哉にブラックホールの壁を作り止める。

 「冷静になるんだ俊哉君!」

ノアが現れた理由を知りたいリオンが話を切り出す。

 「黒魔術師団の親玉がどうしてこんなところにいるのかな?まさか奴隷売買の邪魔を二度もされたからかな?」

呆れた顔で返事を返す。

 「奴隷?そんなものどうでもいいんですよ、私は。
私がここに来た理由は一つ。
パンドラの鍵をもらうため。
君が持っているのでしょ?俊哉。
おとなしく渡しなさい。
また何かを奪われたくなければ。」

その言葉に更なる怒りを見せる俊哉。
再び精神世界から声が聞こえる。

 (あいつ気にくわないよね?
消してやりたいよね?
見てたくもないもんね?
なら、消しちゃおうよ?
形なんて残らないくらいぐちゃぐちゃに。
ゆっくりと、一瞬で死なないように、じわじわと。)

女の声が俊哉を誘惑する。
ノアへの殺意が強まるほど俊哉を覆っているドロドロは辺りを消滅させる。
フードの男と戦いの時のように地面から骸骨や腐敗した死体が姿を表す。

俊哉が攻撃体制に入ったその時、一人の男が後ろから俊哉を飛び蹴りした。

我に変えり振り替えるとそこには異世界では久しぶりの二人が立っていた。

 「啓吾けいご晋次しんじどうしてここに?」

啓吾が怒鳴りながら言う。

 「お前が暴走してるからに決まってんだろ!」

晋次が心配そうな顔をして聞いてきた。

 「他の人からその力は使っちゃいけないって言われてない?」

啓吾は頭をぐちゃぐちゃにかき、一旦落ち着くと俊哉に提案をした。

 「まぁ、なんでもいいや。
また後で説教タイムな。
とりあえず、あいつどうにかするぞ、俊哉!
手伝え。」

「異世界破壊のファートゥム」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く