異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

50話 みんなの助け

険しい顔。ビリビリとした痛い空気。よく知っている空気だ。
疑い。疑念。怒り。憎しみ。それらの憎悪の感情、それらがぶつけられているこの空気。
ピリピリなんて物じゃない。そんな生易しくない。
それほどまでにリオンは俊哉という人間を信じていたのだろう。
数々の戦いを越え信じきってしまったのだろう。

 「俊哉くん、まずは事情を聞こう。」

尋問が始まる。
いや、尋問なんてそんな易しい言い方はよくないかもしれない。
する側もされる側も一言発するごとに精神が削ぎとられていく。
一方的な尋問の方がどれだけ易しいか。

颯真の事、リオンと共に行動をしなかった時の事。それらを分かりやすく、隠せるところは隠して答えていく。

どれくらいの時間が経ったのだろうか。
俊哉はけして嘘は付かないが、信頼しているリオンに隠し事をしなければならないという罪悪感。
リオンは信頼していた戦友を質問攻めにしているという罪悪感。
時間の経過は二人のメンタルの減り用を表していた。
お互い目を合わせることすらしなくなった。

突然リオンが剣を抜き能力を使う。

 「まだ肝心なことを聞いてないよ。リーゴとどうして共に動いているのか。その敬意に至るまでを君は隠している。」

能力で脅したいのだろう。だが俊哉には能力なんて物は通用しない。
手の中にアルカナを出現させ愚者の能力で消すとリオンは剣を俊哉の肩に置く。

 「解るよね?これは脅しだ。少し休憩をしよう。その間にまとめといてくれ。分かりやすいように。国がどう決めようとリーゴのいた黒魔術師団には多くの仲間が殺されたんだ。国の決まりに、はいそうですか。では部下に示しが付かないのだよ。」

そう言いリオンは扉を開けた。

「君を殺したくはない。リーゴが無害だと証明してくれ。君の口から。」

そう言い残し去っていく。

俊哉には颯真を無害だと証明するだけの材料がない。
仲間になったのも鈴華が決めたから。
颯真の事なんてなにも知らない。
俊哉の中の颯真は、ただ旅を進みやすいように手引きしてくれた助言者という感覚でしかない。
その助言は颯真自信がこちら側に来るための準備だった。なんて言われたら言い返す言葉もない。
明らかな材料不足。

どうするのが正解なのか。最適解はなんなのか。そんな事を考えていると扉が開く。休憩時間が終わったのだろう。

鈍い音を立てながら扉がゆっくりと開く。

 「この扉重たいのよ。バカじゃないの?」

 「ミアちゃん!」


お花畑

俊哉を待つ優花が楽しそうに今か今かと待ちわびていた。

 「アルカナで来ることは分かってるんだけれども、いつ来るのかまではわからない所が使えない所なのよね。」

 「いつもここに来ては文句ばかり。」

 「うるさいわね。あき。」

あきと優花が仲良く話している。

 「あなた仕事は大丈夫なの?」

 「大丈夫。ノア様に言われてる仕事は全て終わらせてるでしょ!あきが強くて助かるは。すぐに終わっちゃうもの。
七魔女の復活に必要な生け贄作り。」

物騒な話をしていると優花がふと何かを思い出す。

 「そうだ!あき。あなた今からバグローズに向かってちょうだい。」

 「なぜ?」

 「いいから。いいから。行けば分かるは。あなたのしなくちゃいけないことが待ってるの。」

ため息を残しバグローズに向かうあきを見送り真剣な顔になる優花。

 「出てきなさい!そこに居るのはわかってるのよ。」

そう言い、少し遠くの木を凍らすと木に隠れていたフードを被った人物が姿を表す。

 「久しぶりだね優花。いつものお嬢様口調はどうしたの?」

声からして男だろう。

 「あんたなんて知らないわよ!」

フードの男を水で覆い大きな水の玉を作った。

 「気絶した後にその顔拝んで上げる。
私の知らない顔だったらそのまま殺してやるんだから。」

ブクッ!と言う音を立て動かなくなったフードの男に近づく優花。
能力を解除しようとしたその時。

 「全く、手荒だなー。窒息死したらどうするんだよ。」

明らかに何かの能力で優花の能力を解いたようだった。

 「服がビショビショだよ。」

フードの男は一瞬にして濡れた服と体を元に戻した。

 「それはフレイアの持っていた、物の時間を戻す能力。今はノア様が持っているはず。あんた本当に何者なのよ?」

 「君のよく知る人物だよ。優花。」


バグロース。

 「本当によかったの?」

 「いいんですよ。あんなわからず屋。私が未来を見て安全だって言ったのに暴走しちゃって。」

ミアのおかげで部屋から抜け出すことができた俊哉はミア誘導についていき城の外まで走っていた。

 「この梯子を上がれば門の前です。」

 「こんな抜け道が合ったなんてね。」

 「普段は使わないで下さいよ。」

バグロースの外に出ようとしたその時。

 「姫。俊哉君は行かせませんよ。」

リオンが待ち伏せしていた。

 「頭でっかちが。私がいいといったのならいいのよ。」

 「例え姫だろうと今回ばかりは引けません。」

リオンが脅しのために小さなナイフを姫に向かって投げる。
軌道はぶれることなく姫をめがけ一直線に進んでる。
避けると思っていたリオンが驚き、避けるよう姫にいう。
だがミアは避けることもなくその場に仁王立ちしていた。

 「王室で会いましょう。私にナイフを投げたのです。最悪この国から出ていってもらいますよ。」

 避けるきもないミアを見て俊哉が動く。

 「ミアちゃん危ない!」

 「あんたは本当に肝が座ってるわね。ミア。」

ミアが嬉しそうに話す。

 「来るってわかってましたから。」

 「俊哉くん。行って。私がなんとかするから。」

ミアを助け、かっこよく登場したのはなんとあきだった。

 「リオンさん。少し見ない間にやることが派手になりましたね。昔の私ならこう言ってますね。グズが!」

あきが女帝のアルカナを使う。
それと同時くらいにリオンも剛毅のアルカナを使った。

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