異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

46話 スカルの重み

無力だ。なぜ、いつも新しい力を手に入れると調子に乗る。なぜ、こんなに弱い。なぜ、いつら頑張っても強くなれない。
なぜ?なぜ?なぜ?

ただ逃げることしかできない俊哉は走った。自分の馬鹿さから、愚かさから、目を背けながらひたすらに。

走っているといつの間にかライアンの家へとたどり着いた。
家の中には海斗を治療する鈴華とリーゴがいた。
シモンのこと、ライアンのこと、達人の事を話すと自分達にはなにもできないんだと言う結論に至り、四人でライアンの帰りを待つことにった。一人納得していない者もいたが。


アルカナを纏ったライアンと達人の戦いはスケールが違った。
ライアンが一方歩く度に回りの草木は消滅しさら地となる。
その光景に全く動じず、むしろ楽しんでいる達人の異様な顔。
瀕死のシモンの体を能力で操りライアンに攻撃させる。
少しためらいながらも、決意を固めシモンを消滅することを決める。
あっさりと消滅してしまったシモン。
達人への怒りが増し必ず殺すと決めたその時だった。
遠くからリーゴの声が聞こえた。

何と、リーゴはライアンの帰りを待つと言う意見に不満を持ち戦場までやって来たのだった。
達人がリーゴに気づき能力を発動しようとした。

 「リーゴ、お前に最後の頼みがある。皆を連れてきてここから離れろ。」

その声が届いたのかはわからない。
リーゴはアルカナを出現させると同時にライアンの左腕を消し飛ばした。

 「達人の能力か!」

頼み事をした時にはすでに遅かったと感ずくライアン。
この状況で取れる選択肢は一つしかないと即座に理解するライアン。
一歩一歩リーゴに近づくライアン。
その間もリーゴは何度もアルカナを発動するが最初の左腕以降能力が当たっていない状況から必死に抗っているのだと知る。
ライアンはアルカナを解除し右手で軽くリーゴの頭を撫でてやった。

 「ワシを何の未練無くあの世に行かせてはくれないだろうか。お前はそれが出来ずにいた。そうじゃろ?今度はちゃんと行かせてくれよ。リーゴ。いや、颯真ふうま。」

涙を流しながら自我を取り戻したリーゴはライアンの最後の頼みを、もう未練なんか感じさせないようにと従順に聞いた。

去っていくリーゴを見ると再びアルカナを纏い時間稼ぎを始めるライアン。
ライアンの家についたリーゴは何の説明もなくとにかく遠くに。達人が追ってこれないほど遠くに逃げる事だけを伝えた。

腑に落ちない所もあるが必死そうなリーゴを見て、仕方なくライアンの家を去ることにした。
海斗を担ぎ、ある程度走っていると馭者ぎょしゃが居ることに気づく三人。

 「お客様やっと戻ってきましたか。お帰りですか?」

何日間も待たせていたことを申し訳なく思いながら、現状の馬車の存在の大きさに感動しながら馬車でとにかく逃げることにした。

が、悲劇はすぐに起こった。
馬車を走らせすぐの事だった。突如頭を抱える俊哉。

 「ライアンさんと合う前の頭痛と同じだ。」

そう言い残し俊哉は意識を無くした。

俊哉が倒れたと同時に俊哉の能力が解ける。
死神のアルカナを纏い、能力すらも消滅させていたライアンですら存在を保つための大前提である俊哉の能力が解かれると消えてしまうらしく、ライアンはゆっくりとその姿を消していった。

先程まで派手な戦いが行われていたなんて少しも感じさせないような何もない草原を歩く達人。少しあるくと目の前にはライアンの墓があった。

 「どうなってんだよ!俺は亡霊とでも戦っていたと言うのか?」

それからは怖いくらいなにもなく。気づいた時にはすでに、アクアマグードに着いていた。
気を失った二人を近くの宿に寝かせリーゴと鈴華は今後どうするかを考えることにした。
提案することにした。説得することにした。

当初の目的を忘れていない鈴華は今後どうするかを決めていないリーゴを説得し仲間にすることに全力を注いだ。
いくつものリーゴの意見を論破し、自分の有利になる事だけ肯定する。
それを踏まえた上であたかも、これが最高の選択肢だと言わんばかりの選択を提供する。なんともあくどい人間だ。

そんな事を思いながら起きるタイミングを見計らう海斗と横でようやく目を覚ました俊哉。

俊哉が目を覚まし少しして、今後の事をどうするのかを決めることにした。
いくつか意見はあったが、最近の新手の敵との遭遇率、そして俊哉の持っているパンドラの鍵これらから、仲間を増やすための旅をすることに決まった。

そしてその第一人目を飾るのがなんと、リーゴだった。
訳がわからない俊哉が海斗に助けを求めようとした時だった。
海斗の顔が引きつっているのが見えた。
ボソボソと言っていたので、少し近づき聞いてみると、(哀れだ。言い返せなかったのか。)と呟いているのが聞こえてますます訳がわからなくなる俊哉がいた。

 「自己紹介をしよう。今日からスカル・リーゴという名前はやめた。ライアンさんに迷惑ばかり架けてられないからな。俺はもうあの人の弟子では無いんだ。だから、これからは、本名を名乗ろうと思う。俺の名前は秋山 颯真だ。これからはよろしく頼む。」

こうして俊哉の一人目の仲間がようやくできた。

颯真の自己紹介が終わるとすぐに鈴華は本題へと話を変えた。

 「さて。これからだけど、まずは一度バグローズに向かうわよ。」

 「また行くのー?何回目だよ往復するの。」

嫌がる海斗を黙らせ理由を説明する鈴華。

 「RPGゲームと一緒よ。バランスが欲しいの。盾役の海斗。攻撃役の颯真。オールラウンダーの俊哉。回復がいないのよ。だから回復役を仲間にしに行くの!!」

 「そんな能力の人いる?」

海斗の質問に即答してしまう自分がいた。

 「いる。一人知ってる。有名な回復能力者。リッカが。」

 「案内よろしくね俊哉。」

こうして次の目標が決まった。



  「俊哉君早く来てくれないかなー?」

お花畑で一人の女の子が花に水をあげていた。
とても悲しそうな顔をしながら。

 「優花いつまでそうしてるつもり?」

 「あと少し。そろそろ来るはずだもん。」

 「アルカナに異変?」

 「こっち向かうことになったんだってー。」

 「一緒に黒魔術師団抜けちゃう?」

 「バカ言わないの。後処理どうするの?」

 「ブーー!あきの意地悪。」

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コメント

  • 蒼葉  悠人

    気づけばこの作品を書き初めてもう一年がたっていました。一年で良いねしてくれた人が20人とか、少なくない?と思う人もいるかも知れないし、一年で20人は多いよ。と思ってくれる人。どちらもいるかもしれませんが僕は後者ですね。本当に20人の方ありがとうございます。
    これからも頑張っても皆様を飽きさせないような内容を書けたらいいなと頑張っていくつもりですので、よかったら今後も応援お願いします。

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