異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

43話 スカルⅤ

賑かなでもあり、ギスギスもしていた食事を終えた俊哉たちはライアンの修行の続きを始めた。リーゴを無視して。
リーゴは、と言うと鈴華の修行を少し離れた場所で見ながら今後どうするのかを考えていた。

そんな何でもないごく普通の非日常はある者たちの登場により壊る。

それは突然、何の前触れもなくやって来た。
風で振られる草むらの音しか聞こえない静かな草原。俊哉たちがライアンの家に行くまでに歩いた長い長い草原。その道を歩く三つの足音。
反対側からやってくる多くの足音。
その足音が何なのか俊哉たちは知るよしもなかった。

ライアンの修行により確実にアルカナを使いこなしていく海斗に嫉妬していく俊哉は近くに有った岩にアルカナカードを置き一人アルカナカードと返事のない会話をしていた。
行き詰まった俊哉は、ふと優花の言っていた事を思い出した。アルカナの使い方はアルカナ教えてくれると言う言葉を。
辺りに誰も居ないことを確認し、端から見るととても恥ずかしい事を続けた。すがった。
そんな事を続けていると一人の男が話しかけてきた。

 「何をしているんだい?」

その声に顔を赤らめながら小声で答える。
その声はリーゴだった。

 「いや、特に意味はないよ。」

恥ずかしさでいっぱいになっているとリーゴがあることを教えてくれた。

 「知ってるだろうけどアルカナって言うのは気分屋だ。そんな事をしても話してはくれないよ。アルカナが話したいと思ったときは強制的に精神世界に連れていかれる。そう言う物なんだよ。」

 「じゃあ俺は、どうやってこれ以上アルカナを使いこなせばいいって言うんだよ。ライアンさんは、ゆっくりすればいいって言ったけど、そんなに時間も掛けてられないし。」

そんな弱音を吐いているとリーゴはボソっと坂井と言う名前を呟き何処かへ行ってしまった。

 「坂井とは違うってなんだよ。」

少し気分転換にと散歩をする事に決めた俊哉は歩いてきた草原とは逆の方向へと歩いていった。

リーゴは俊哉と反対側を歩いていた。
静かに揺れる草原を何も考えずゆっくりと。
三つの足音にも気づかずに。

風が気持ちいい日に何もない草原に立っていると人はなぜだか横になりたくなる。
リーゴも同様で横になって気持ちいい風を堪能していた。その時だった。

 「よお、カリーナ。いや、もうカリーナでもないか。」

体格のいい筋肉質の男を真ん中に、黒髪ロングの少しエロい服装をした女性と、子供っぽい顔付きの三人がリーゴに話しかけてきた。

 「どうしてここがわかった?」

その言葉と同時に体制を変えアルカナカードを握るリーゴ。
リーゴの質問に女性が答える。

 「優花ちゃんから聞いたのよ。あんたが今どこにいるのかを。」

女性の言葉の続きを言うように子供っぽい顔の男が話始める。

 「リーゴ、俺らお前が嫌いだったんだよ。黒魔術師団に居た時は手を出せなかったけど止めたならもう殺してもいいよな?」

リーゴは、その殺意に満ちた言葉を聞きすぐにアルカナを発動させる。

 「まさか会議にも出てこないお前ら三人がこんな所まで来るとはね。アケルナル、カノープス、モノケロス。」


リーゴとは反対側を散歩していた俊哉は多くの人が近づいているを見つけた。
軍が一つ丸々動いているのか。そんな事を想像させるほどの多くの人達が一列になり俊哉のいる方へと近づいてきていた。

真ん中にいかにも強そうな人を置き、その回りを完全武装した戦士四人が囲む。その回りを兵士たちがさらに囲む。そんな陣形をしている。

俊哉はライアンたちに知らせようと、歩いてきた道を逆走しようと振り替える。
すると目の前に突然陣形の中心にいた戦士の一人が現れる。

 「シモン様、近くに子供がいたので連れてきました。」

あっさり捕まってしまった俊哉。

 「シモンさん。俺はたまたまここを歩いてただけなんだよ。解放してくれねえか?」

少し不満そうな顔をしながらシモンと言う男に頼むと回りにいた戦士達が俊哉を押し付ける。

 「貴様、その口調はなんだよ。国王に向かってなんて口の聞き方をしている!」

国王と言う言葉を聞き口調を後悔した俊哉が大人しく戦士押し付けられているとシモンが解放するように命じた。

 「良い、良い。名前は何て言うんだ威勢の良いくガキよ。」

 「俊哉。」

名前を聞き笑い出すシモン。

 「そうか、そうか、お前が俊哉か。ワシは付いているようだ。リーゴを殺しに沢山の道のりを歩いただけあるワイ。」

聞き覚えのある名前を殺すと言う言葉を聞きアルカナカードを具現化させる俊哉。

 「俊哉よ、どうやらお前はこの世界を壊す存在だと王族の中で結論が出た。よってお前の命もついでにいただくことにしよう。恨むなら自分の運命を恨むんだな!」

シモンは何もない所から大剣を出すとその剣で俊哉を切ろうとした。
俊哉はとっさにアルカナカード発動する。
するとシモンの出した大剣が一瞬にして消えた。その隙に逃げ出す俊哉。

逃げ出す俊哉を見たシモンはすぐさま俊哉の目の前には大きな壁を作り道を塞ぐ。
すると、四人の戦士に俊哉を殺すように命じる。

逃げ場を失った俊哉に四つの剣が向かってくる。剣は能力とは関係がないため今の俊哉にはどうすることも出来ない。
絶体絶命の俊哉に四つの剣が刺さる。

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