異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

15話 お父さん

要塞を出て少し歩くと前からリオンが軍を引き連れてこっちに向かってきているのが見えた。

 「その傷どうしたの?二人とも。」

体力が限界に来てたのもありリッカの治癒能力を使うことができずボロボロの状態で帰るしかなかった俊哉はリオンを見て安心し気を失った。
ハッ!と目が覚める。ベッドにいた。目の前にはリオンがいる。

 「バカヤロー!てめーはもっと命を大事にしろ!死んでたらどうするつもりだ。」

回りにいた人たちがびっくりしこっちを向く。それもそうだ。常に優しい顔をしどんな時でも優しそうなリオンが怖い顔をして怒っているのだから。

 「その…すいませんでした。」

そういうとリオンは俊哉の頭を優しく撫でて言った。

 「あきから全て聞いたよ。あきを止めてくれてありがとう。無事でいてくれてありがとう。二人とも無事に帰ってきてくれてありがとう。」

 「うっ。」

リオンの一言で全ての緊張がほぐれた。初めての殺し合い。初めての戦場。それらためてきた恐怖感が涙として溢れ出てきた。その涙は1時間止まることがなかった。

(心地がいい。けど苦しい。息が)
目を開くと目の前にはなんとも言えない大きく深い谷間が目の前にあった。

 「何すんだよ。」

 「だってー、死んじゃうんじゃないかって思ってヒヤヒヤしてたんだもん。」

 「だもんって…」

目の前には涙目で心配そうな顔をしているキテラがいた。涙目を擦りキテラが、

 「今日もお疲れ様。生きてて何より」

 「今日はマジで疲れたよ。」

 「少しお話でもしようか。」

それからキテラと今日起きたこと。あきへの誰にも言えなかった愚痴、雑談などいろいろな事を話した。

 「そうだ。最後紅林に手紙もらったよね。あれなんて書いてあったの?」

そんなものをもらった事すっかり忘れていた。

 「まだ読んでないからわかんない。」

 「そうなんだ。読んだらなに書いてあったか教えてね。じゃあもう戻ろうか。」

そう言ってキテラは俊哉を元の世界に戻した。

 「まさかしゅん君の中にあいつがいたとは…ちょっと厄介なことになりそう。」


一週間ぶりの学校がとても久しぶりに思えて感動する俊哉。久しぶりの授業を受け帰ろうとした時

 「ちょっと来て?」

下駄箱で待っていたあきに連れていかれ屋上に来た。

 「その…ありがとう。助けてくれて。」

 「いいよ別に無事でよかった。」

 「本当にありがとう。敵討ちもしてくれて。」

 「いいよ。」

「結局自分では敵討ち取れなかったな。まだまだ強くなれて無いのかな?」 

 「ねえ、あきのお父さんとの思いでのこと聞いてもいい?」

 「私のってよりキアラナの過去なんだけどね。」

そういってあきはキアラナの過去を話始めた。内容は優しいお父さんに多くの愛をもらった娘の話だった。

 「死に際の強くなれって言葉を聞いてずっと強さを求め続けたんだ。」

 「それっておかしくない?」

 「え?」

あきが口を開けて首を傾ける。

 「だって今まで沢山の愛をくれたお父さんが最後に残した言葉が愛とは関係ないっておかしくない?」

 「というと?」

 「おそらくだけど、その強くなれ。は物理てきな強さとは違うと思うと思うよ。もっと内面的なもの。言うなら俺の死で歩みを止めたりする弱者にはなるな。苦しいだろうけど、それを乗り越える強い心を持て。そういう意味なんじゃないのかな?」

 「内面的なもの…」

 「そうそう。だから、俺を殺したやつに敵討ちとかそんなんじゃなくて、そんな事無視して、恋とか、私生活とかそういうのに全力を尽せよって!それがきっとお父さんが最後に伝えたかった、強くなれ。の意味なんだと思うよ。」

俊哉はにっこりとしながらあきに言う。

 「人生楽しまなくちゃ!」

あきは少し目を閉じ、その後涙を流しながら納得したような笑顔を向けた。

 「うん。キアラナはその答えで納得したようだよ。」

 「よかったね。」

 「これで私の異世界での目的も終わっちゃった。」

 「え?」

あきの言葉に困惑する。俊哉は異世界での目的は異世界を壊すことだと思っているからだ。あきに詳しく聞いたところ人それぞれで異世界での目的は違うということがわかった。あきの目的はキアラナの無念を晴らすことらしい。

 「俊哉はこれからどうするの?」

 「俺は俺の目標のために。」

 「そっか。なら、やることもないし、キアラナのお礼も含めて手伝ってあげる。」

 「ねえ、キアラナって長髪で金髪のとても華麗なお姉さんって感じの人?」

 「そうだよ?それがどうしたの?」

 「いいや。何でもない。」

俊哉は嬉しくてつい笑ってしまった。
あきが「手伝ってあげる。」っていって言ってくれた時、あきの後ろでキアラナが「ありがとう」って言ってくれた気がするってことは黙っておこう。

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