異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

14話 要塞攻略 Ⅴ

 「てめー。殺す。」

不覚にも俊哉に吹き飛ばされた紅林は今だかつてないほどにイライラしていた。

 「殺す、殺す、殺す!」

そういうと紅林は筋力、脚力、聴力、反射速度、視覚など強化できる全てを強化した。

 「死ねよ。カスが。」

紅林が猛スピードで俊哉を殴る。

 「なんだよそれ?なにしたんだよおまえ!」

 紅林の拳を片手で受け止める俊哉に動揺を隠せない。

 「チェックメイトだよ。」

俊哉は紅林を投げ飛ばすと同時に一発引き金を引く。

 「そんなんで死ぬかよ!」

投げ飛ばされた紅林は空中で体制を整え壁を足場に弾丸をギリギリでよけた。

 「あーあ、今死んどけばよかったのによ。」

 「あき、あいつに向かって体力が無くなるまで剣ぶん投げとけ。」

 「あいつには当たらないから意味ないだろ?」

 「いいからやれ!」

あきは言われるがままにとにかく剣を作っては投げた。しかし当然紅林には当たるはずもなく避けられる。

 「こんな攻撃!」

 「黙ってろ。」

紅林があきの投げる剣を避けながら俊哉に殴りかかる。それを軽々と避ける俊哉。

 「まさかお前俺と同じ能力を!」

紅林の言葉に不気味な笑みを浮かべ反応する。紅林が右足を大きく回転させ俊哉に蹴りを入れる。それを一歩後ろに下がり交わすと同時に紅林を殴る。ぶっ飛ぶ紅林。それを見ていたあきは飛んでった先に剣を投げて投げて投げまくる。しかし紅林は避ける。避けていると俊哉が両手に自分で作った短剣をもって向かってくる。紅林は視覚を最大限に強化して2人の攻撃を避ける。避けて、避けて、避けまくる。が避けきれず俊哉の短剣で体を大きく切られる。
ガサ!床にはあきの投げた剣が所々転がっていた。

 「何が狙いなんだよ。」

紅林が俊哉の作戦を考える。その一瞬の無駄な考えで生まれたタイムロスそこに俊哉の手が伸びる。紅林の胸倉を掴んだ俊哉は紅林を空中に勢いよく投げ飛ばす。投げ飛ばした紅林よりも高く飛び腹にかかと落としを決める。勢いよく地面に体を叩きつける紅林。その近くには沢山のあきの投げた剣が落ちている。

紅林が立とする。が、紅林の動きが止まる。俊哉が能力を使う。

 「まさか、俺の次はイルマの能力を!」

イルマの動きを止める能力で動けない紅林に俊哉が再び引き金を引く。一発の弾丸が紅林の胸に近づく。

 「弾丸の一発くらいすぐに治せるわ!
細胞強化。最大限!」

 「一発だけならな」

紅林の胸に当たる寸前にリオンの能力を使う。
 
 「知ってるか?この能力って一応ブラックホールなんだぜ?」

床に落ちていた無数の剣がブラックホールに吸い込まれるように紅林に刃を向けて吸い寄せられる。ブラックホールに入るギリギリで能力を解除する俊哉。勢いをつけて向かってきた剣は勢いを止めること無く紅林の体を貫く。多くの剣が紅林を貫く。

 「その数は治せるかよ?言ったろお前はすでに詰んでたんだよ。」

ついに長かった勝負が終わる。あきと俊哉の勝利という形で。

 「ありがとう。」
(別に例を言われることはしてねえよ。あいつに死なれたら俺も困るからな。少し疲れた俺は寝る。)

そう言って謎の男は暗闇の中へと消えていった。

紅林が出てきた奥の部屋を少し覗くとそこにはいろんな書類が置いてあったこの中にはこの要塞の地下にいる奴隷にされた人間の資料などもあった。一通り目を通してあとはリオンに任せることにした俊哉はあきのもとに向かうことにした。

  「やっと来たか俊哉君。君にプレゼントだよ。もしも君たちに負けるようなことがあったらこれを渡せとリーゴ様から。」

そう言って俊哉に一枚の紙を投げつけると紅林は息をしなくなった。

 「ここから出ようかあきさん。歩ける?」

そう言ってあきを担いでくれた俊哉はとても疲れていて何より優しそうな顔をしていた。さっきまでの俊哉とは別人のような顔で。

 「すまない。頼む。」

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