異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

13話 要塞攻略 Ⅳ

紅林と会う前の俊哉とあきでは考えられないくらい息の合った動きをしていた。

 「この短時間で成長したんだね。さすがだよ。」

しかし紅林にはまだ届かない。俊哉とあきの攻撃を軽く交わす紅林。

 「ほら、ほら、もっと成長しないとさ。俺には勝てないよ。」

さっきまで楽しそうに俊哉とあきの攻撃を交わしていた紅林が攻め始める。
あきは右から、俊哉は左からお互いタイミングを少しずらして斬りかかる。能力者以外なら避けきれず何回かは切られていただろう。それくらいタイミングは素晴らしかった。しかし、視力と反射速度を強化した紅林には止まって見えていた。
あきと俊哉の攻撃には希に出てくるズレがあった。紅林はそのズレをまつ。

あきのタイミングが少しズレた。その瞬間紅林の蹴りが入る。一気に飛ばされ壁にめり込むあき。あきを気にし隙ができた俊哉をあきとは反対の方向に殴り飛ばす。

 「これで終わり〜?」

 「これヤバい。」

余裕を出している紅林とは違い俊哉は必死に怪我を治す。
(俺と変われよ。カスが)
一瞬その言葉が俊哉の頭に流れる。

 「君はいいや、俊哉君。まずはあき、お前から死ぬか。もうすぐパパに会えるね。」

 「うるさい!くるな!」

 「君のパパもそうやって最後は怯え、命乞いをし、それはそれは……。
アハハハハハハハハハハハ。
ダサかったよ。」

 「父さんの悪口を言うな!」

紅林の挑発に乗りズタボロの体で紅林に立ち向かう。剣をまともに振ることすらできない体で斬りかかる。ただ剣を上から下に下ろしている。用にしか言えないくらい弱い力で立ち向かう。

 「もういいよ見苦しい。よかったね〜。君はパパよりも勇敢だった。あの世で誉めてもらいな。」

 「ちくしょー、父さんの敵打ちできなかった。」

そう言いあきは戦意を失った。

死ぬんだな。と認識したあきは走馬灯を見ているかのように昔を思い出した。

 「キアラナ、強くなるんだよ。強ければそれだけで傷つくことが無くなるんだから。」

あきは子供の頃お父さんと交わした約束を思い出していた。

 「わかった。お父さん。でもどうやったら強くなれるの。」

 「沢山食べて沢山の寝て沢山の生きて沢山の人と関わりなさい。そうしたら自然に強くなれるから。」

 「よくわかんないよお父さん。ムキムキになればいいの?」

 「アハハ、キアラナは本当に面白い子だね。」

 「笑わないでよ。」

 「ごめん、ごめん。強くなれ。キアラナ。」

 「うん。私強くなるね。父さん。」

お父さんとの何気ない会話を思いだし。心が落ち着く。それと同時に何だか悲しくなる。

 「じゃあね。あ〜きちゃん。」

紅林が左腕に力を込めてあきに殴りかかる。あきの頬には涙の川ができていた。


(いいの?このままだとあいつ死ぬよ?)

俊哉の頭の中に再び謎の声が響く。

誰だ!と言い返すと俊哉の精神は真っ白な空間につれてかれていた。

 「キテラなのか?」

俊哉が呟いたと同時に真っ白だった部屋が黒に侵食されていき真っ黒の空間へと変わった。

 (キテラ?ちげーよ。そうだな…、俺はお前でお前は俺だよ。ってとこか。そんな事よりいいのか?あの女このままだと死ぬぞ?)

黒い空間の奥から暗くてよく見えないが、おそらく男性だろう人がこちらに話しかけてくる。

 「わかってる。だから、助けに行かなくちゃ!」

(お前が?そんな力もないお前が?笑わせる。)

 「何が言いたい?」

(変われよ俺と。俺ならあの女を助けて尚且つあの男も殺せる。)

 「変わるって?どう言うことだよ!」

(あー、ごちゃごちゃうるせえな黙って俺に身を委ねろ。もたもたしてると死ぬぞ!あいつ。)

男の迫力に押し潰され何も言えずただただ従うしかなかった。

 「どうしたらいい?」

(簡単だよ。)

そう言うと、ふと男は不気味な笑みを浮かべた。


 「じゃあね。あ〜きちゃん。」


 「てめぇがな。」

聞いたことのある声が聞こえ振り替える紅林。その瞬間紅林の視界がすごい早さで回り壁にめり込んでいく。

 「どうだよ?世界がすごい早さで回り壁にめり込む感覚はよー。」

そこには今までとは雰囲気が全く違う俊哉が不気味な笑みを浮かべていた。

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コメント

  • 蒼葉  悠人

    12、13話と敵の名前を間違えて公開してしまい誠に申し訳ありませんでした

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