異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

5話 謎の男

 「疲れた〜。全然町なんか見えないし。」

 「もーやだ。歩きたくない。馬車とかなんかないの?そろそろ楽をしたいよー。」

リッカに教えてもらった道を何時間か歩いてはいるが一向に町が見えてこない。何時間歩いても景色に大きな変化がなく疲れはてていた。少し休むことにして大きな岩に腰を落とした時だった、目の前から男の人が走ってくるのが見えた。

 「おい、邪魔だ!巻き添え食らいたくなかったらお前も走れ!」

走ってきた男の人はなんと数匹の猪に追いかけられていた。

 「なんなんだよ!関係ないだろ俺は。巻き込もうとするな、あっち行けー。」

男のせいで俊哉まで猪の標的とされ追いかけられることになった。疲れはてている俊哉は猪なんかに殺されたくないという気持ちだけで走っていた。
真剣に走っていると男の人が急に

 「あと少しで町が見えるはずだ。あと少し頑張ってくれ。」

必死に走り、なんとか町の目の前まで来た時だった、男は腰につけた剣を抜き猪の走ってくる方に素振りをした。その瞬間だった、刀が切った空気の裂け目からすべてを飲み込むような真っ黒な物体が出てきた。
一直線に走ってくる猪は真っ黒の物体へと消えていった。

猪を何とかし、息を整える時間が続いた。

 「いや〜、すまないことをしたね。俺の名前はリオン。見ての通り剣士だ。」

 「巻き込んどいて悪いんだけど君の名前は何て言うのかな?」

 「俊哉です。旅人って思ってくれればいいです。
そんなことより、さっきの黒いのは何なのですか?一瞬で猪の群れがいなくなったやつです。」

 「あー、あれかい?」

リオンによるとあれはリオンの特殊能力らしいし。
剣で切りつけた空間にブラックホールみたいな物を発生させる能力のようだ。この黒いのがブラックホールなのかは本人もいまいちわかっていないようだが…

 「ところで君は何をしていたんだい?」

 「町を目指して歩いてたんです。」

 「そうなのか!よかったな。町についたじゃないか?はっはっは。」

能天気なおっさんだな。と思いながらもこのおっさんが走ってこなかったら町にたどり着けなかったかもと思うと少しありがたい気持になった。

 「さて、俊哉君、君はこの町で何をする予定なんだい。」

 「とくにこれといって。ただ、することもないから町を目指して歩いてただけです。」

 「そうか!することがないのか。なら、俺の手伝いをしてはくれないか?これでも俺は有名な騎士団の一人でね。今面倒ごとに巻き込まれている。一人でいるところを見るとチームを組まなくてもやっていける自信を持っていると見た。どうだい?手伝ってくれるかい?」

やることもとくに無かったので話を聞いてできそうなら手伝うことにした。リオンは面倒ごとというのをざっくりと説明してくれた。この町の近くには、ある組織の小さな建物があるらしくそこにたくさんの人が奴隷として囚われているらしい、リオンはその組織の殲滅そして、奴隷の解放をしようとしていたらしい。

 「やろうとしていることかっこいいのに、すごい能力持ってるのに、騎士団の一人なのに、どうして猪なんかで…。」

初めて見たリオンがどうしても弱そうに見えたので何を言ってもダサく見てえしまう。

 「俺は何をしたらいいんですか?戦う力なんてないですよ?」

 「君はなにもしなくていいよ。俺が組織を殲滅している間に奴隷の人たちを町まで案内さえすればいい。」

それくらいならできそう。と思った俊哉は引き受けてしまった。できる自信はすごくあった。リッカと同じ治癒能力を持っているからだろう。だが、手ぶらというのもなんか悲しい…

 「手ぶらじゃ怖いから護身用として何かほしいんですけど、そこの町で買えないですかね?」

 「君、剣の経験は?」

 「ないです。」

 「なら、銃しかないけど拳銃の経験はあるのかい?ものによっては反動が全くないものもあるから少し練習すればまともに打てるようにはなると思うが。」

 「拳銃で大丈夫ですよ。」

反動が無ければゲームセンターで鍛えたシューティングスキルでなんとかなるだろう。という甘い気持ちで拳銃にしてしまった。

このときはまだ知らなかった。拳銃を選んでいて正解だったと言うことを。俊哉にあんなすごいことができるようになっていたと言うことを。

「さて、行こうか、この近くは組織のものがよくうろついている。今は君と俺の二人チームだ。」

 「え?ツーマンセルの戦いかたって俺知らないんだけど…」



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