異世界でもプロレスラーになれますか?
第22話 勇者領へ
大変期間が空いてしまい申し訳ありません。
花粉症には勝てませんでした。
マスクとコスチューム完成から1週間。俺は武道大会に向け、毎日トレーニングに励んでいた。そしてとうとう勇者領へ渡る日がやってきた。
「そういやシルフィ、どうやって勇者領へ渡るんだ?」
この世界の地形は正直特殊だ。勇者領と魔王領の間には大きな川———ルミナス川が流れている。ルミナス川の上流、つまり水源は『ディセントラ』と呼ばれる大樹海、その奥地に存在するらしいが今までその水源まで辿り着いた者はいないらしい。そしてその『ディセントラ』は唯一勇者領と魔王領が陸続きで繋がっている場所なのだそうだ。その樹海には凶暴な魔獣が多く棲みつき、ベテランの冒険者でも入ればタダでは済まないとか。
「もちろんディセントラの中を通って行くんだよ」
「……嘘だよね?」
「うん、嘘」
てへっ、と舌を出しながら悪戯っぽくシルフィは笑う。
「マジで冗談やめてくれ……、冒険者になって俺は日が浅いんだ。そんなとこ行ったらあっという間にお陀仏だよ」
「ふふっ、まぁそこは歩きながら話すから。ちょうどリースも来たことだし、出発しよっか」
後ろを向けば何やら大荷物を背負ったリースが重たそうに歩いてきた。いったい何持ってきたんだよそんなに。
「おまたせ〜、準備に手間取っちゃって遅くなっちゃった〜」
「うん、遅れるのは構わないんだけどリース、その大荷物は?」
女の子には必要な物なの!とかそういう答えが来るのかな?とか考えていると……
「んーとね〜、お弁当に〜お菓子に〜飲み物に〜シートに〜雨具に〜他にも色々とね〜」
「遠足か!」
いかにも子供が遠足に持っていく荷物と同じだからついつい突っ込んでしまった。
「大丈夫〜、お菓子は300ゴールドまでしか買ってないから〜」
「だから遠足か!」
いかんまた突っ込んでしまった。落ち着け俺。
「それじゃ出発するよ」
シルフィ、少しはフォローしてくれ。俺1人じゃツッコミは大変だ。
◆
街から南西の方向へ真っ直ぐ進んでいく。確かエルドとガーゴイルと戦ったのは街から北西の方向だったな。
シルフィの話だと、南西の方向に進んで行くとルミナス川のほとりには勇者領と魔王領を行き来する為の乗船場があるらしい。普段は利用する人はほとんどいなくて、年に数回程だそうだ。
「見えてきたよ!」
川のほとりには確かに小さな小屋の様な建物がポツンとあり、そして小さなボートみたいな船が並んでいる。
なんだかどれもボロボロなんだが大丈夫なんだろうか……。と心配していると小屋から1人の見知った人物が出てきた。
「そんじゃ借りてくぜー。ってオメェらこんなとこで何やってんだよ」
ハイルさんだった。
「ハイルさんこそこんな所で何してるんですか?」
「俺は借金取りから逃げるために勇者領にとんずらこくんだよ」
「「「……」」」
俺含め3人は蔑みの視線を送った。
「なんだよそんな目で見んなよ。大丈夫ちゃんと返すって……いつか」
そのいつかはいつになることやら。この人どんだけ借金抱えてんだろう。確か初対面で金貸してくれって言われたよな。
「んでお前らは……あぁ、これから出発か。まぁせいぜい怪我しねぇようにな」
そう言ってハイルさんは借りた船に1人乗り込んだ。
「それじゃ私たちも行こっか」
シルフィは小屋へ行き、船を借りてきてくれた。小屋にいたおじいさんは1日に2度も船を借りに来る事なんて初めてみたいで凄く驚いていた。ちなみにおじいさんは人間だった。
俺たち3人も船に乗り込み、早速出発しようとしたのだが……
「なぁ、これってどうやって動かすんだ?」
そういえばこの世界にエンジンなんて物は無いだろう。そんな便利なものが付いた乗り物この世界じゃ見たことないしな。ということは……
「もちろん人力だよ!はいこれオール。頑張って漕いでね〜」
やっぱりこうなるのね。どうりで料金も安いわけだ。
よく見たらハイルさんもまだ全然見える距離で漕いでいるのが見える。これ一緒に乗ってった方が良かったんじゃないか?2人で漕いだ方が絶対早く着くと思う。まぁ行き先が同じか分からないけど。
考えても仕方ないので俺は渋々ボートを漕ぎ始めた。
出発してから暫くはシルフィとリースが「頑張れ〜ペース落ちてるぞ〜」と労いなのか分からない言葉を発していたが、だんだんと飽きてきたのか、欠伸を繰り返し、2人とも寝てしまった。こっちは頑張ってるってのに……
「あぁ……ようやく半分くらいか……」
流石に疲労が出てきた。2人とも寝てるし、少しペースを落としてマイペースで進むことにしよう。
◆
暫くして向こう岸が近づいてきた頃、分かっていたかの様なタイミングでシルフィが目を覚ました。
「ん〜、おはよう竜平。そろそろつく?」
「お前な……俺が1人でどれだけ頑張って漕いでたか分かってるのか……」
少しは労いの言葉をかけてくれてもいいだろうに。リースに関しては未だに寝たまんまだし。
そんなこんなで俺たち3人は勇者領へとやってきた。
期間が空いてしまったのに申し訳ないのですが、少し前から仕事が繁忙期に入っているので、更新は不定期になります。申し訳ありません。
花粉症には勝てませんでした。
マスクとコスチューム完成から1週間。俺は武道大会に向け、毎日トレーニングに励んでいた。そしてとうとう勇者領へ渡る日がやってきた。
「そういやシルフィ、どうやって勇者領へ渡るんだ?」
この世界の地形は正直特殊だ。勇者領と魔王領の間には大きな川———ルミナス川が流れている。ルミナス川の上流、つまり水源は『ディセントラ』と呼ばれる大樹海、その奥地に存在するらしいが今までその水源まで辿り着いた者はいないらしい。そしてその『ディセントラ』は唯一勇者領と魔王領が陸続きで繋がっている場所なのだそうだ。その樹海には凶暴な魔獣が多く棲みつき、ベテランの冒険者でも入ればタダでは済まないとか。
「もちろんディセントラの中を通って行くんだよ」
「……嘘だよね?」
「うん、嘘」
てへっ、と舌を出しながら悪戯っぽくシルフィは笑う。
「マジで冗談やめてくれ……、冒険者になって俺は日が浅いんだ。そんなとこ行ったらあっという間にお陀仏だよ」
「ふふっ、まぁそこは歩きながら話すから。ちょうどリースも来たことだし、出発しよっか」
後ろを向けば何やら大荷物を背負ったリースが重たそうに歩いてきた。いったい何持ってきたんだよそんなに。
「おまたせ〜、準備に手間取っちゃって遅くなっちゃった〜」
「うん、遅れるのは構わないんだけどリース、その大荷物は?」
女の子には必要な物なの!とかそういう答えが来るのかな?とか考えていると……
「んーとね〜、お弁当に〜お菓子に〜飲み物に〜シートに〜雨具に〜他にも色々とね〜」
「遠足か!」
いかにも子供が遠足に持っていく荷物と同じだからついつい突っ込んでしまった。
「大丈夫〜、お菓子は300ゴールドまでしか買ってないから〜」
「だから遠足か!」
いかんまた突っ込んでしまった。落ち着け俺。
「それじゃ出発するよ」
シルフィ、少しはフォローしてくれ。俺1人じゃツッコミは大変だ。
◆
街から南西の方向へ真っ直ぐ進んでいく。確かエルドとガーゴイルと戦ったのは街から北西の方向だったな。
シルフィの話だと、南西の方向に進んで行くとルミナス川のほとりには勇者領と魔王領を行き来する為の乗船場があるらしい。普段は利用する人はほとんどいなくて、年に数回程だそうだ。
「見えてきたよ!」
川のほとりには確かに小さな小屋の様な建物がポツンとあり、そして小さなボートみたいな船が並んでいる。
なんだかどれもボロボロなんだが大丈夫なんだろうか……。と心配していると小屋から1人の見知った人物が出てきた。
「そんじゃ借りてくぜー。ってオメェらこんなとこで何やってんだよ」
ハイルさんだった。
「ハイルさんこそこんな所で何してるんですか?」
「俺は借金取りから逃げるために勇者領にとんずらこくんだよ」
「「「……」」」
俺含め3人は蔑みの視線を送った。
「なんだよそんな目で見んなよ。大丈夫ちゃんと返すって……いつか」
そのいつかはいつになることやら。この人どんだけ借金抱えてんだろう。確か初対面で金貸してくれって言われたよな。
「んでお前らは……あぁ、これから出発か。まぁせいぜい怪我しねぇようにな」
そう言ってハイルさんは借りた船に1人乗り込んだ。
「それじゃ私たちも行こっか」
シルフィは小屋へ行き、船を借りてきてくれた。小屋にいたおじいさんは1日に2度も船を借りに来る事なんて初めてみたいで凄く驚いていた。ちなみにおじいさんは人間だった。
俺たち3人も船に乗り込み、早速出発しようとしたのだが……
「なぁ、これってどうやって動かすんだ?」
そういえばこの世界にエンジンなんて物は無いだろう。そんな便利なものが付いた乗り物この世界じゃ見たことないしな。ということは……
「もちろん人力だよ!はいこれオール。頑張って漕いでね〜」
やっぱりこうなるのね。どうりで料金も安いわけだ。
よく見たらハイルさんもまだ全然見える距離で漕いでいるのが見える。これ一緒に乗ってった方が良かったんじゃないか?2人で漕いだ方が絶対早く着くと思う。まぁ行き先が同じか分からないけど。
考えても仕方ないので俺は渋々ボートを漕ぎ始めた。
出発してから暫くはシルフィとリースが「頑張れ〜ペース落ちてるぞ〜」と労いなのか分からない言葉を発していたが、だんだんと飽きてきたのか、欠伸を繰り返し、2人とも寝てしまった。こっちは頑張ってるってのに……
「あぁ……ようやく半分くらいか……」
流石に疲労が出てきた。2人とも寝てるし、少しペースを落としてマイペースで進むことにしよう。
◆
暫くして向こう岸が近づいてきた頃、分かっていたかの様なタイミングでシルフィが目を覚ました。
「ん〜、おはよう竜平。そろそろつく?」
「お前な……俺が1人でどれだけ頑張って漕いでたか分かってるのか……」
少しは労いの言葉をかけてくれてもいいだろうに。リースに関しては未だに寝たまんまだし。
そんなこんなで俺たち3人は勇者領へとやってきた。
期間が空いてしまったのに申し訳ないのですが、少し前から仕事が繁忙期に入っているので、更新は不定期になります。申し訳ありません。
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