異世界でもプロレスラーになれますか?
第9話 女神の助言
プルルルル……
翌朝、いつまでも鳴り響く音に気づき俺は目を覚ます。もはや異世界感などぶち壊しにするような地球の道具の音である。
異世界に来たことで、俺のスマホに電話をかける人物など1人しかいないだろう。画面を確認するとやはり、女神様☆と出ている。寝起きでダルいしスルーしておくことにして手に取ったスマホを再びベッドの上に置く。すると突如……
『ちょっと!今手に取ったのになんで電話に出ないんですか!』
え?なんで繋がったの?しかも手に取ったってなんでそんなこと分かるんだ。やだほんと怖い。
「あ、おはようございます女神様。本日はお日柄もよく……」
『何のんきに挨拶を始めているんですか!私はなんで電話をスルーしたのかと聞いているんです!』
どうやらご立腹らしい。電話をスルーすることは地球ではよくある事だが、この女神の場合、電話に気づいている事に気づいていたために機嫌を損ねてしまったようだ。とりあえず適当に理由つけて謝っておこう。
「あー、それに関してはすいません。なんだか寝起きで凄い眠かったので1度顔を洗って目を覚ましてから改めてこちらからお電話差し上げようと思った次第でして……」
まぁ半分嘘だが。この程度の言い訳で騙されてくれるほどチョロくはないだろうな。一応女神だし。
『そういう事ならしょうがないですね。まぁ私もあなたが眠っているのを分かってて電話したわけですからこの話はおあいこという事で』
案外チョロかったこの女神。ていうか寝てるの分かってて電話するとかタチ悪いな。分かってるならもうちょい気を使うとかあるだろう。まぁ起きちゃった事だしもういいけど。
「あ、そういえばありがとうございます。素晴らしいスキルをあんなにもらっちゃってもう最高ですよ」
ほぼ全ての固有スキルがプロレス技だった。これも女神のおかげだ。
『礼には及びませんよ。私はあなたの活躍が見たいだけでしたので。しっかりと身体を鍛え、良いものみせてくださいね?』
ここで俺は1番疑問に思っていたことを聞いてみる事にした。
「あのー女神様?1つだけ質問があるんだけど、女神様はそのプロレスが好きなんだよね?決してただの筋肉好きってわけじゃないよね?」
一瞬の沈黙の後……
『やだなぁ当たり前じゃないですか。女神である私が筋肉フェチってどういうことです?それこそ他の神々に示しがつきませんよ〜』
あ、怪しい、怪しすぎる。
別に女神が筋肉好きでも構わないんだが、俺は出来ればプロレス好きであって欲しい。この世界にはプロレスは存在しない。という事はこの女神は唯一、プロレスの話が出来る人だろう。
そもそもただの筋肉好きがプロレスなんて見るだろうか。ただ筋肉が好きならボディビルとかそっちを見たほうが絶対興奮する。と思う。とりあえずこの女神はプロレスが好きという認識でいよう。うん、そうしよう。
「オーケー、信じてますよ。唯一のプロレスファンだからね。それで今回はどういった用件で電話を?」
『あ、そうですね。それでは本題に入らせていただきます』
ホッとしたように女神が落ち着きを取り戻した。そんな焦るような事だったのだろうか。
『この間のあなたの活躍は拝見しました。とても良い事だと思います。そんな中、勇者の1人に不穏な動きが見られました』
えっそれって……
『今回のゴーレムの件、間違いなくその勇者が関わっています。恐らくはその勇者が放ったものかと思われます』
という事はハイルさんの予想は見事的中したわけだ。
でも見ていたならその勇者が何をしようとしているのかわかるんじゃないか。
『偶然にもその時、あなたが所属していた団体でのタイトルマッチがあったので事の顛末は見ていないのですが』
「え?マジで!誰と誰?ど、どっちが勝ったの?じゃなくて、それじゃ何をしようとしてるかはわからないってこと?」
『申し訳ありません……』
肝心な時にこの女神はもう。ま、過ぎたことをあれこれ言うのもな。とりあえず情報がもらえただけでよしとしよう。
『しかしこれだけは言えます。あなたは近いうち、その勇者の1人と戦うことになるでしょう。くれぐれも気をつけてください。あの勇者はゴーレムを使役出来るほどの力を持っているのですから』
そっか、ついに勇者の1人と戦うことになるのか。まぁおそかれはやかれ戦う運命なんだし、しょうがないか。
「分かった分かった。一応肝に命じておくよ」
『あなたなら大丈夫だと思いますが、万が一のこともあるかもしれないので言っておきます。油断だけは絶対にしないようお願いしますね』
そう言って電話は切れた。勇者との対決に向けて一層気合いを入れなおさないとな。
とりあえず勇者のことは黙っておこう。女神の助言とか誰が信用できるんだって話だからな。
そういや今日はシルフィ起こしに来ないな。たまには俺が起こしに行ってやるか。
自分の部屋を出て右に行ったところの突き当たりの部屋だ。とりあえずノックをする。返事はない。まだ寝ているのだろうか。
「シルフィ、入るぞ?」
ガチャっと扉を開けるとそこには着替え途中だったのか半裸のシルフィの姿が目に入る。あまりに綺麗な身体をしているのでつい見入ってしまった。
するとみるみるシルフィの顔が紅潮していき、涙目になっていく。
「ま、まて落ち着け。話せばわかる!だからな?まずは話を……」
そこまで言いかけたところで……
「いいから出てけぇぇぇぇぇぇ!!!」
強烈なボディブローを食らい、部屋の外へ吹き飛ばされる。
なんだろう、あのゴーレムの拳より効いたなぁ……
今回は女神回とちょっとサービス回でした。
次回は調査へと繰り出します。
翌朝、いつまでも鳴り響く音に気づき俺は目を覚ます。もはや異世界感などぶち壊しにするような地球の道具の音である。
異世界に来たことで、俺のスマホに電話をかける人物など1人しかいないだろう。画面を確認するとやはり、女神様☆と出ている。寝起きでダルいしスルーしておくことにして手に取ったスマホを再びベッドの上に置く。すると突如……
『ちょっと!今手に取ったのになんで電話に出ないんですか!』
え?なんで繋がったの?しかも手に取ったってなんでそんなこと分かるんだ。やだほんと怖い。
「あ、おはようございます女神様。本日はお日柄もよく……」
『何のんきに挨拶を始めているんですか!私はなんで電話をスルーしたのかと聞いているんです!』
どうやらご立腹らしい。電話をスルーすることは地球ではよくある事だが、この女神の場合、電話に気づいている事に気づいていたために機嫌を損ねてしまったようだ。とりあえず適当に理由つけて謝っておこう。
「あー、それに関してはすいません。なんだか寝起きで凄い眠かったので1度顔を洗って目を覚ましてから改めてこちらからお電話差し上げようと思った次第でして……」
まぁ半分嘘だが。この程度の言い訳で騙されてくれるほどチョロくはないだろうな。一応女神だし。
『そういう事ならしょうがないですね。まぁ私もあなたが眠っているのを分かってて電話したわけですからこの話はおあいこという事で』
案外チョロかったこの女神。ていうか寝てるの分かってて電話するとかタチ悪いな。分かってるならもうちょい気を使うとかあるだろう。まぁ起きちゃった事だしもういいけど。
「あ、そういえばありがとうございます。素晴らしいスキルをあんなにもらっちゃってもう最高ですよ」
ほぼ全ての固有スキルがプロレス技だった。これも女神のおかげだ。
『礼には及びませんよ。私はあなたの活躍が見たいだけでしたので。しっかりと身体を鍛え、良いものみせてくださいね?』
ここで俺は1番疑問に思っていたことを聞いてみる事にした。
「あのー女神様?1つだけ質問があるんだけど、女神様はそのプロレスが好きなんだよね?決してただの筋肉好きってわけじゃないよね?」
一瞬の沈黙の後……
『やだなぁ当たり前じゃないですか。女神である私が筋肉フェチってどういうことです?それこそ他の神々に示しがつきませんよ〜』
あ、怪しい、怪しすぎる。
別に女神が筋肉好きでも構わないんだが、俺は出来ればプロレス好きであって欲しい。この世界にはプロレスは存在しない。という事はこの女神は唯一、プロレスの話が出来る人だろう。
そもそもただの筋肉好きがプロレスなんて見るだろうか。ただ筋肉が好きならボディビルとかそっちを見たほうが絶対興奮する。と思う。とりあえずこの女神はプロレスが好きという認識でいよう。うん、そうしよう。
「オーケー、信じてますよ。唯一のプロレスファンだからね。それで今回はどういった用件で電話を?」
『あ、そうですね。それでは本題に入らせていただきます』
ホッとしたように女神が落ち着きを取り戻した。そんな焦るような事だったのだろうか。
『この間のあなたの活躍は拝見しました。とても良い事だと思います。そんな中、勇者の1人に不穏な動きが見られました』
えっそれって……
『今回のゴーレムの件、間違いなくその勇者が関わっています。恐らくはその勇者が放ったものかと思われます』
という事はハイルさんの予想は見事的中したわけだ。
でも見ていたならその勇者が何をしようとしているのかわかるんじゃないか。
『偶然にもその時、あなたが所属していた団体でのタイトルマッチがあったので事の顛末は見ていないのですが』
「え?マジで!誰と誰?ど、どっちが勝ったの?じゃなくて、それじゃ何をしようとしてるかはわからないってこと?」
『申し訳ありません……』
肝心な時にこの女神はもう。ま、過ぎたことをあれこれ言うのもな。とりあえず情報がもらえただけでよしとしよう。
『しかしこれだけは言えます。あなたは近いうち、その勇者の1人と戦うことになるでしょう。くれぐれも気をつけてください。あの勇者はゴーレムを使役出来るほどの力を持っているのですから』
そっか、ついに勇者の1人と戦うことになるのか。まぁおそかれはやかれ戦う運命なんだし、しょうがないか。
「分かった分かった。一応肝に命じておくよ」
『あなたなら大丈夫だと思いますが、万が一のこともあるかもしれないので言っておきます。油断だけは絶対にしないようお願いしますね』
そう言って電話は切れた。勇者との対決に向けて一層気合いを入れなおさないとな。
とりあえず勇者のことは黙っておこう。女神の助言とか誰が信用できるんだって話だからな。
そういや今日はシルフィ起こしに来ないな。たまには俺が起こしに行ってやるか。
自分の部屋を出て右に行ったところの突き当たりの部屋だ。とりあえずノックをする。返事はない。まだ寝ているのだろうか。
「シルフィ、入るぞ?」
ガチャっと扉を開けるとそこには着替え途中だったのか半裸のシルフィの姿が目に入る。あまりに綺麗な身体をしているのでつい見入ってしまった。
するとみるみるシルフィの顔が紅潮していき、涙目になっていく。
「ま、まて落ち着け。話せばわかる!だからな?まずは話を……」
そこまで言いかけたところで……
「いいから出てけぇぇぇぇぇぇ!!!」
強烈なボディブローを食らい、部屋の外へ吹き飛ばされる。
なんだろう、あのゴーレムの拳より効いたなぁ……
今回は女神回とちょっとサービス回でした。
次回は調査へと繰り出します。
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