☆うさねこ☆

ずんだもち

1.四ツ葉商店街

ざわざわざわ、、、がやがや、、
でさー、、がー、、それなー、、
らっしゃいらっしゃい、、
凍弥が降りて来た先は、人が沢山いる賑やかな商店街。
(おっと、このままじゃ見つかっちまう。)
『クラトリティー』
すぅっ
凍弥は透明化の魔法を使い自分の姿を消した。
そして、行き交う人の頭の上まで近づくと、ひょいひょいとその上を飛んでみる。
どうやら本当に見えていないようだ、と確認すると、
「へへっ、ちょろいちょろい。」
ひょいひょい、すいっすいっ
調子に乗りスピードを速めていく。

真ん中辺りに差し掛かると、
「わぁーん、わぁーん」

(ん?うるさいな、なんだろう。)
向こうの人混みから泣き声がする。
ここからでも煩いくらい、ぎゃんぎゃん聞こえている。

「アイスがいいーアイスがいいーわぁーん」
ばたばた、ばたばた、、、
小さい男の子が地面に仰向けに、手足をバタバタさせて泣き叫んでいる。
「今日はもうチョコ買ったでしょ!明日にしなさい!、、はぁ。」
母親らしき女性は男の子を叱る。
周りの目を気にしつつ困っているようだ。
周りもそんな様子を迷惑そうな雰囲気を出しつつ避けて歩いている。

(ふむ、この煩いのを止ませれば良いんだな!早速挽回のチャンスじゃないか。)
『フリーズドゥスノー』
ボウン!カチーン、、、
男の子は仰向けのまま、雪だるまの形した氷に閉じ込められた。

「きゃー!」
急に変わり果てた姿に驚いた母親は、雪だるまを揺すったり叩いたりする。
ぽろぽろと、涙を流している。

周りの人は、驚きながらも、カメラや動画を撮ったり、避けるように歩いたり、特にその親子を助けようとする動きは無かった。

と、またカードが光り出し点数は−12となった。

(な!?なんでだ?せっかく黙らしてやったのに!くそっ、解!)

ボゥン!
慌てて魔法を解くと、男の子は何が起きたか分からずきょとんとしていた。
「けんた!」がばっぎゅー
母親は男の子に抱きつく。
周りの人々も、興味を無くしたかのように人混みへと消えていった。

(これでどうだ?)
もう一度カードを確認するが点数は変わらなかった。
(ちぇ、なんだよ、わけわからねぇ。)
ブツブツ文句を言いながらカードをしまうと、親子もすでに移動したのか居なくなっていた。
(あー、面白くねぇ!)
凍弥もイライラしながらその場を離れ、再び力任せにびゅんびゅんと勢いよく飛び回る。

ブロロロロォォォーーーー!!!
横から凄い勢いで何かが走ってきた。
ドッ!!!鈍い音がする。
(なっ!ぐがっ!)
避ける間も無く何かにぶつかった凍弥の身体は遠くへ飛ばされた。
凍弥は飛ばされながらも、それがトラックだと気づく、が、そのまま意識を失ってしまった。

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