忍者修行は楽じゃない?!〜普通ライフを送るために修行せざるを得ませんでした〜
44話 挑む資格
  翌日、俺たちは最後の準備のため商店街に立ち寄っていた。
  昨日の会議の後、他にも武器があった方が良いと思い俺は武器屋に立ち寄っていた。
  刀以外に何か小型の武器が欲しいところだ。投擲武器などが良いな。俺は命中率は人並み以上にあると自負している。
  ハイドラと初めて戦った時も刀を投げ、思ったところに投げることができた。なので、小型ナイフなどそういった相手の気を紛らす武器が欲しい。
  忍者なのでクナイや手裏剣を使いたいところだが、ワガママも言ってられない。師匠が使っていたので使いたい。 
  「ナイフナイフ……あ、あった」
  そこにあったナイフは
  『斬れ味抜群!ロープを切る時、モンスターを斬りつける時、料理を作る時、どんな時にも役に立つ小型ナイフ!!¥100!!』
  と書かれていた、まさに100均に売ってそうなナイフがあった。安すぎて胡散臭い。他のナイフも見てみよう。
  隣にあったナイフは
  『隣のよりも斬れ味抜群!¥300!!』
  急に雑!!しかも3倍の値段!
  
  「…………」
  俺は迷わずに100円ナイフを持てる分だけ持ち、レジに持っていった。
  「こちら、小型ナイフが30点で3000円となります!」
  
  俺は財布から3000円を取り出すと
  「お客様ぁ……」と声をかけてきた。
  「はい?」
  「こちらのナイフ100点ご購入されると半額の5000円になりますが、いかがいたしましょう」
  「まじか」
  これはラッキー!
  「じゃ、じゃあ100本買います」
  「かしこまりました、あのお客様……」
  「は、はい?」
  「こちら100点ご購入されるのは良いのですがお客様のカバンでは入らないのではないですか?」
  「た、たしかに」
  言われてみれば、ナイフ100本もカバンに入らないし重い。どうしよう。
  「それならこちら!こちらのポーチはナイフを何本でもしまうことができる魔道具です!中は異空間に繋がっていまして、そこでナイフを管理するのですがなんと!錆びないんです!」
  「へ、へぇ」
  突然饒舌に接客をし始める店員。そんなに売りたいかそのポーチ。 
  確かに使えそうなポーチだ。異空間に繋がっていると言われると買いたくなってしまう。
  待てよ、魔道具?
  「一応、値段を聞いても?」
  「50000円になります!」
  「すみません、ナイフ10本で」
〜〜〜
  俺たちはぼったくり武器屋で買い物済まし、魔王城の入り口までとぼとぼと歩いて向かっていた。
  よくよく考えたら俺、魔力0だから魔道具使えねぇや。この世界の魔道具は魔力を注いで使うらしいし。
  「そんな安そうなナイフ10本で良いの?」
  「良いかリン、どんな武器も使いこなせば一流の鍛治職人が造りあげた素晴らしき剣になり得るのだよ」
  「でも所詮100円だよね?」
  「所詮とか言うなよ!」
  「しかし、10本で足りるのか?」
  「大丈夫だ!投げたら取りに行く。俺はエコな人間なのだよ」
  「「エコってなに?」」
  どうやらこの世界ではエコという言葉を知らないようだ。
  魔王城が1番大きく見えるところ、つまり魔王城の入り口まで来た俺らだが、入り口の近くで何やら人集りが出来ていた。
  その中央では尻餅をつく20代ぐらいの男が頭以外鎧を装備しており、頰にはバツの傷がついているいかにも歴戦の強者を思わせる40代のおじさんに剣を突きつけられていた。
  「貴様は、魔王に挑む資格を持っておらん。即刻、ここから立ち去れ」
  低くそして太い声でそう言うと、男はひぃぃと喚きながらどこかへ逃げていった。
  「私に勝てない者が魔王に挑むなど、反吐がでる」 
  「「「うおおおおお!!!」」」
  おじさんがそう言い放つと、群衆が歓喜に満ち溢れる。
  うわぁ、面倒くさぁ。
  俺と同じ事を思ったのか、2人とも顔を引きつらせていた。
  「いいか2人とも」
  「「うん」」
  俺たちは肩を組み、話を誰にも聞かれないようにする。
  「あのおじさんにバレないように如何に魔王城に入るか。実に簡単なことだ。俺は元々魔力がないから良いとして、2人とも魔力が有る。だから魔力をできるだけ抑えて、この人集りに紛れてササッと魔王城に侵入。良いか?」
  「「了解!!」」
  短く端的に囁くように作成内容を伝え、一列に並ぶ。そして、観光客になりすまし人を掻き分け、魔王城の入り口に真っ直ぐに進んでいった。
  何故こうも容易く魔王城入り口が分かったかというと、あちらこちらに『魔王城の入り口はこちら!』と矢印の看板が貼り出されていたからだ。遊園地かここは。
  そしてあと少し、ほんの少しというところで。
  
  「そこの者、止まれ」
  「くっそぉぉお!!」
  おじさんにバレちゃった。
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