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忍者修行は楽じゃない?!〜普通ライフを送るために修行せざるを得ませんでした〜

フユヤマ

31話 夏休み、そして……

 

   その後、学校の授業が3時間目がちょうど終わったという時間帯だったので、下校時刻まで俺の家に居ることにした。
   帰ってきた時に、玄関先で急にお母さんに抱きしめられた。少し泣きながら。

   「浩ちゃん……よく頑張った!……紗由理ちゃんも無事で本当に良かった……!」

   どうやら、お母さんは俺が紗由理のことを探してる時に師匠から伝達されていたようだ。


 ---

   某時刻、成瀬家にて。

   「成瀬さん、これから窮地に立たされる戦いが起こります」
   「えぇ……」
   「既に感じていると思いますが浩介は今、小学四年生の時に遭遇した悪魔と同じ悪魔のところに向かっています。新島さんが攫われてしまいましたからです」
   「えぇ……」
   「私では殺しきれません。しかし、封印布があるのでその悪魔を封印できます」
   「…………」
   「そこで、弱らせるまでを浩介にやってもらいます……良いですか?」
   「なんで、私に聞くの?」
   「それは、浩介の家族ですから」
   「それは違うわ。確かに浩ちゃんのことは心配よ?死んで、ほしくないわ……でもね、あの子が選んだ道よ。その道を邪魔するわけにはいかない。あの子がやっと守る力を手に入れようとしてるんだから」
   「そういう、もんなんですか?」
   「えぇ、家族なんだもの。血が繋がっているかどうかなんて関係ないわ。もう家族なのだから、ましてや息子の選んだ道なのだからその道を応援できないでお母さんなんて名乗ってられないわ」
   「…………」
   「それに、あなたが師匠なんだから」
   「……はい」
   「浩ちゃんを、頼んだわよ?」
   「ふっ……任せてください、
   

 ---

   何か余計な事を言ってなければいいのだが。まぁ、そんなことを気にしても仕方ない。今は助かったことを喜ぼう。
   そういえば、師匠とお母さんって面識あったのか?……あぁ、俺を連れて行く時の口実のために一度会ったか。でも忍者のことを隠してたよな?あれ?でも、お母さんは元忍者なわけだし……あれ?
   ……まぁいっか!

   その後、俺は久しぶりにお母さんのご飯を食べた。
   確かに師匠のご飯も美味しかったが、お母さんの味というものを感じた。流石、お母さん!
   そして、紗由理の足にちょっとした擦り傷が何箇所かあったので、そこを治療した。
   その時、時計の針がちょうど14時を指していた。
   今日の下校時間は14時なのでナイスタイミングだった。
   俺は、紗由理を家まで送りに行った。

 〜〜〜

   「ありがとう、浩介。わざわざ家まで送ってもらって」
   「当たり前だろ?あんなことがあった直後だぞ?放ったらかしにできるわけないだろ?」
   「それもそうね」
   
   俺たちは紗由理の家に着いた後も雑談をしていた。何か懐かしい気分がした。ほんの数週間喧嘩しただけなのに。さすが幼馴染だなと思わざるを得なかった。

   「紗由理、本当にごめん!」
   
   俺は紗由理に頭を下げる。

   「何よ、今更……もうそのことは良いって言ったじゃない?」
   「いや、改めてというか、なんというか……」
   「もう、バカね……んっ」
   「ん?」

   すると、紗由理が手を前に突き出してきた。

   「その……仲直りの握手よ。私たち、親友でしょ……?」
   「紗由理……!」

   俺は紗由理の寛大さに感動した。約束を破るは愚か、約束したことすら覚えていなかったこの俺を許してくれるのだから。
   だから俺は、
   
   「ありがとう、紗由理!」
  
   紗由理の手を取り、固い握手を交わした。小さくて柔らかく、とても暖かい手だった。
   思えば小さい頃、紗由理と喧嘩した時は握手で仲直りしたなぁ。……あ!だからか。
   そんな、思い出に浸っていると、紗由理が急に手を離し、勢いよく頭を下げた。

   「わ、私も、いくらなんでも酷い事を言いすぎたよ。本当にごめん!」
   「いや、俺はそれ以上に酷い事をしたわけだし……」
   「それに、浩介の体がボロボロに……ってあれ?」
   「あぁ……俺、ほとんど治ちゃった」
   
   どうやら、俺の体はあの悪魔の能力が多少でも使えるようだ。『再生』と『覚醒』。
   『再生』は多少の擦り傷なら数十分で治ってしまった。しかし、この『再生』は師匠曰く、マナを多少なりとも使うようだ。
   あの封印された悪魔も『再生』にはマナを使っていたようだ。まぁ、最後は俺がエンチャントした拳にその悪魔のマナをすべて吸収したので、『再生』できなかったようだが。そういうところからもやはり『再生』の際にはマナが必要不可欠のようだ。
   『覚醒』は額から角が生えてきた。しかし、強くなったかどうかというとまだわからない。
   あの悪魔が『覚醒』した時は禍々しいオーラを放っていた。そして、同時に殺気が半端じゃなかった。これは修行の身の俺でも分かることだ。
   『覚醒』するにはどうやらが必要らしい。あの時は無我夢中だったからあんまり覚えてない。言えることは、急に力が湧いてきたということのみ。
   でも、この『覚醒』をうまく使いこなせれば確実に忍者最強の道の近道になるだろう。

   紗由理は俺の傷の無い綺麗な腕や足を見て、「ほえぇ」と驚嘆しながら、じろじろ見ていた。すると、「そっか」と小さく呟き、安堵した表情になった。

   「浩介、頑張ってんだね。でも、無茶しないでよ?」
   「それはちょっと……」
   「ただしっ!」

   紗由理がビシッ!と指を立て、話を遮る。

   「誰かを守るため!という時だけなら許可する!」
   「許可って……」
   「わかった?わかったなら……はい、指切り拳万!」
   「今時、指切り拳万って……」
   「いいからっ!」

   紗由理が俺の小指を無理矢理……って痛い痛い痛い!

   「はい、せーの!」
   「「指切り拳万、嘘ついたら針千本飲ーます、指切った!」」

   こんなにブンブン振られる指切り拳万は初めてだ……!

   「これで約束ね!」
   「っ!」

    そう言って、はにかんだ紗由理の顔を見て一瞬ドキッとしてしまうから女性は怖い。

   「イチャイチャしてるとこ申し訳ないんだが……」
   「「?!」」
   
   いつの間にか、俺たちの横には制服姿の師匠が腕を組んで立っていた。
   
   「新島さん、話があります」
   「……わかったわ」

   師匠は手短に俺たちの正体や紗由理が襲われたモノの正体などを話した。

   「……大体わかったわ」
   「話が通じる人で助かる、じゃあ、浩介帰るぞ」
   「え、あ、もう?」

   師匠はそう言うと、その場からすぐに消えていた。 
   相変わらず行動が速い!
   じゃあ、俺もそろそろ行くかぁ……!
   足にマナを集中させ、飛上がろうとした時に紗由理に遮られる。

   「まって、さっきの約束事にもう一つ追加!」
   「え、もう一つ?」
   「必ず、最強の忍者になること!わかった?」
   「……はいはい、わかってるよ」

   俺は改めて、マナを集中させ、屋根の上に飛上がった。
   
   「じゃあ、また明日な!紗由理!」
   「うん!また明日!」

   こうして、長い1日が終わったのであった。
   まぁ、まだ14時ちょっと過ぎだけど!

 〜〜〜

   師匠宅にて。

   「師匠、わざわざありがとう」
   「気にするな。私も流石に女の首に『トン』はしたくなかったしな。ボスなんか『あ?そんなことか、別
 に平気じゃぞ?うん』と言っていたしな。それにもう一つ朗報を手に入れたからな」
   「朗報?」
   「あぁ、試験についてだ」
   「おぉぉおおぉぉ?ぉぉおお!」
   「お前、忘れてたろ?」
   「すみません……」
   「まぁいい、試験は7月23日だ。ちょうど夏休みに入る日だ。だから、まだ時間はあるっちゃある。試験までに剣術と、マナの修行の第2ステップまでは進んでおきたいところだ」
   「遂に、剣術を学ぶ時が……!」
   「剣を振るうためには多少なりとも筋力が必要になる。そのために筋トレをしてもらっていた」
   「確かに、筋は通っている……!」
   「そういうことだ。明日から私が木刀で修行する。それまでしっかり休め。いいな?」
   「おう!」
   
   とりあえず、明日の修行はもちろん学校に遅刻しないためにも早く寝とこう。まだ17時ぐらいだが、流石にあの後じゃあ、疲れた。……なんで俺立っていられんだろ。
   その日の俺は夢も見ることなく、ぐっすりと眠るのであった。

 〜〜〜


    なんだかんだで夏休み入る前に俺は剣術の基本の型や攻撃の受け流しを覚えることに成功した。
   最初は師匠にボッコボコにされ、身体中に痣を大量に作っていた。学校に行くと紗由理に心配されたりするので困っていたが、修行を続けるうちに相手の動きを読んだり、攻撃を受け流したりする回数が上がり痣の数も少なくなっていった。
   
   そして、本日7月23日午前6時。

   「よし、準備できたぞ、師匠」
   「じゃあ、出発するぞ!」

   俺たちは試験会場に向かうのであった。
   

   うん…………会場、どこ?
   

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