忍者修行は楽じゃない?!〜普通ライフを送るために修行せざるを得ませんでした〜
27話 覚醒
  師匠は刀に手をかけながら悪魔に突進し、激突する寸前で斜め45度に飛び、クナイを懐から数十本取り出し、それらを正確に物凄いスピードで飛ばす。
  悪魔はそのクナイをすべてごつい両腕で防ぐ。もちろんクナイが刺さったところから血しぶきをあげていた。その血は紫色でナメ◯ク星人の血の色と同じだった。しかし、
  「いてぇじゃねぇかぁ…!」
  
  そう言うと、悪魔の腕の傷口は一瞬にして塞がり、クナイがじゃらじゃらと落ちる。
  「再生スピードが速い……?!」
  師匠が驚嘆する。
  「キヒヒッ…!そんじゃあ…お返しだ!!」
  悪魔は落ちたクナイを拾い、それを束ねて師匠に向かって豪速球で投げ飛ばす。
  木の上にいた師匠はすぐに木の後ろに隠れる。しかし、悪魔の飛ばしたクナイはその木を真っ二つにする。
  「……死ぬところだった……」
  師匠の顔は青ざめていた。
  「意外と余裕そうじゃねぇか……よ!!」
  悪魔は手のひらに溜めていたマナをさっきのクナイの比にならないスピードで師匠めがけて飛ばす。
  「…斬れ」
  師匠は刀を前にしてそう呟くと、飛んできたマナを真っ二つにし、空中分解した。師匠は1ミリも動くことなく。
  「……なに…!?」
  「フン、こんなもんか……?」
  なんなんだ今のは……?まるで刀に命じたような言い方だ。……そうか!
  「そういう事だ浩介。この刀の中にいる式神に能力に応じた命令をすればある程度の事はやってくれる。察しが良いじゃないか。そういうことで、お前もマナ放出で援護しろ。こいつ、そんなに強くない」
  「まじかよ……」
  こんなごつい奴でも強くないって、師匠はどんだけ強いんですかね……。ていうか、師匠が来てからなんか心に余裕ができてきてんだけど…。まぁ、冷静になるっていう面では良いことだけど。
  「舐めんじゃ……舐めんじゃねぇぇぞぉぉおお!!」
  悪魔の叫びが響き渡る。物凄い威圧だ。
  悪魔から湧いて出てくる黒いマナが一瞬にして神社を覆いつくす。
  
  『てめぇら……殺すっ!』
  「「ッ?!」」
  俺たちは変わり果てた悪魔の姿に驚愕した。
  さっきに比べ、全体的にごつくなり、悪魔の全身から角らしき何かが飛び出ていた。
  「なんだよ、これ…!」
  「こんな悪魔は初めて見た…だけど、これは書物に記されていた件と似ている……!確か、怒りによって突然変異することを…『覚醒』という……!」
  「いや、もうそれだから絶対!」
  
  覚醒って……中二病くさいが確かにその言葉がぴったりだろう。この変化具合……アニメとか漫画とかだったら絶対に強くなってる奴だ。
  「師匠!援護するぜ!」
  「そうだな、とりあえず足の震えをどうにかしろ?」
  「そうは言ったって、初めて悪魔を見たんだぞ?!しかも初対戦!そりゃ怖いでしょ!」
  「そうも言ってられん。慣れろ」
  「師匠、辛辣すぎる!」
  少し、というかかなり緊張感のない会話だ。まだ紗由理は捕らえられたままなのに。でも、こうしてないとこの悪魔を憎い気持ちに押し潰されてしまう。
  それじゃあ、こいつを倒せない。それに師匠に迷惑がかかって危険な目にあってしまう。
  
  「とりあえず、マナ放出をしてみろ。お前のマナ放出は結構強いからな」
  「わ、わかった」
  
  俺は左手を悪魔に向けて、手のひらにマナを全力で集中させた。
  『キヒッ……キヒヒッ!』
  悪魔は余裕な笑みを浮かべて、指をくいくいと挑発のポーズをとった。
  「マナの力よ!目の前のモノを粒子残らず吹き飛ばせ!!」
  俺はあの時と同じ言葉でマナ放出をした。
   
  『そんじゃあ……いただくぜぇ?』
 
  悪魔はそう言うと、大きく口を開け俺が放出したマナを食った。
  「「……は?」」
  これには師匠も驚いていた。
  『おいおい、考えてみろよぉ?そのマナは俺がいたことによって作られたもんだぞ?俺が吸収できないわけないだろぉ?キヒヒヒヒッ!』
  「まじかよ……!」
  
  そんなんありかよ……?!
  隣では師匠は刀にマナ補強を施していた。初めて俺がマナを見たときにやっていたやつだ。
  「いくぞ…!」
  『来やがれ…これるならな…?』
  師匠はマナ補強の準備が終わると、地面を抉る程の勢いで悪魔に斬りかかる。しかし、
  「くそっ…!なんだこれは……?!」
  『キヒッ…残念だったな、俺は今超パワーアップしてるからてめぇの刀じゃあ、俺のバリアは通らねぇぜ?』
  師匠の刀からバリアとの衝撃で火花が散る。あまりの勢いだったのだろう、師匠は前のめりになって後ろに下がれないでいた。その一瞬の好機を悪魔は逃さなかった。
   『もらいぃい!!』
  ごつい拳が師匠の胴体に直撃。したかと思ったら師匠は吹っ飛び数十メートルも飛ばされ、木に背中を打ち、その木が抉れ倒れる。
  「師匠ぉぉおお!」
  俺は慌てて師匠に駆け寄る。
  師匠は頭から血を流し、気絶していた。
  
  
  
  
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