忍者修行は楽じゃない?!〜普通ライフを送るために修行せざるを得ませんでした〜

フユヤマ

16話 師匠もお年頃



授業の間は10分と短いが、色んなことを聞いた。
先生が、年下である師匠の補佐役だってこと。
師匠の素質は小さい頃が凄かったこと。
この学校にいる忍者は師匠と先生だけ。
師匠はまだ若すぎるから、他の上忍の補佐としてこの神奈川県を任されているということ。
そのうち、他の上忍の部下を何人か招集し、関東の半分を担うことになるということ。

あと、女性に年齢は聞いちゃいけないということ……。本当に気をつけよ…。
職員室から出ようとした寸前で先生に止められた。
「高島。…新島と幼馴染らしいが、新島には……何も言うなよ?言ったら、新島とお前両方とも始末されるからな。」
「重々承知です。」

俺はそう言い残し、職員室を出た。


〜〜〜


2時間目、3時間目、4時間目と特に何も起こることなく時間は過ぎていった。
……疲れすぎて寝てたからだけど。
俺は師匠との約束があったので、すぐに屋上へ向かおうとしたが、
「こうすけ!ご飯食べよぉ!♪」
「あぁ、……悪い!」
両手を合わせて、謝罪を表明する。
「また、師匠と食べなきゃだから…」
「……え、あ、そうなの、それは仕方ないよね…!」
「あぁ、本当ごめん!明日ならいけるかもだから!じゃあ!」

俺はそう言って、教室を出て屋上に走って向かう。

「約束と……違うじゃん……」

またしても、紗由理の声は届くことはなかった。
俺はこの時気づかなかった。いや、見ようとしなかった。
紗由理から黒いオーラが出ているということに……。


〜〜〜


俺は教室を出て、急いで屋上に向かう。
立ち入り禁止の柵を越えて階段を登り、屋上の扉を開ける。
屋上に出たら師匠が仁王立ちして待ってる。
…そう思っていたが、どこにも居なかった。
と思ったら空から何かが落ちてきた。
地面に着地と思いきや、また上に飛んでいった。
まぁ、師匠以外にこんな事できる人いないけどね。
いや?俺もできるわ。おぉ、すげぇ俺。

「来たか、浩介。」
「いや、ぴょんぴょんしながら言われても……」

俺がそう言うと、師匠は少し恥ずかしがりながら着地した。師匠もお茶目なところあるんだな。

「いやぁ、お前がやってたマナ性質をちょっと真似してみたら案外楽しかったもんでな。それにしても、これはすごいの考えたな浩介。」
「……え、真似できるの…?」
「まぁ、難しいがイメージすれば少なくとも私はできる。」
「………。」

そりゃ師匠だからできることだと思うんだが……。
俺は移動時にマナを性質変化して、ビーム(?)型からバネのようなものにし、そのマナを両手両足の裏につけ。バネのはたらきを真似て高く飛んだり、壁を蹴ったり、もちろん速く走れるようにした。
まぁ、格好は四足歩行状態でダサいが…。
でも、師匠曰くそれを発射すれば強いって言ってたな。発射する前に性質変化すればいいのか。
……うん、できる気がしねぇ。いやほんと難しいんだよ?マナのコントロール。

「じゃあ、今日から本格的に修行しようと思う。」
「おぉ!」
「それじゃあ、今私がやってたことをやってみろ。」
「…ん?」
「いやだから、今私がやってたことをやって?」
「……無理でしょ?俺四足歩行状態でやんないとできないし。」
「いいからやってみろ。」
「えぇ……。」

俺は嘆きながらも立ったまま、足の裏にマナを集中させる。
そして、維持をして性質を変化させた。
よし、とりあえずできた!

「よし、そのまま朝やっていたように飛んでみろ。」

俺はマナをバネのように凹ませて、飛んだ。
しっかりと真上を飛べたようだ。
そのまま着地する。

「おぉ、意外にも簡単にできた…!」
「その体勢の方が動きやすいだろうし、四足歩行よりはカッコいいだろう。」

まぁ、確かに四足歩行はさすがにダサいな。

「それにその方がマナ放出する時にわざわざ性質変化せずにそのまま放出できるからインターバルがなくなる。」
「言われてみればそうだな……」
「よし、今日はそれで帰ってみろ。それを1週間続けられたら次の修行にいく。でも1週間続けた後でも
やってもらうけどな?1週間で片道最悪10分で行けるようになってたら上出来だ。」
「まぁ、やってみるしかねぇか!」

こうして、昼休みは終わったのだった。
……あれ、終わっちゃった…?

「やばい!飯食ってねぇ!」
「まだ5分ある。慌てず食べろ。」
「お前は親かよ!」

俺は購買で買った弁当を急いで貪りついた。
戦う自分の姿を思い描きながら。
あの四足歩行状態のままで戦うってなってたら相当ダサかっただろうな。
そして、師匠に1つ申す事があった。
 
「師匠…」
「どうした…?」
「ぴょんぴょん飛ぶのは構わないんですが、スカートがめくれて、パンツが丸見えでしたよ?無防備すぎません?」
とおちゃらけて言う。

師匠はスカートを抑えながら、顔がみるみる赤くなっていき、
「……バ、バカやろぉおお!」
「くべはっ!!」
師匠がマナの力で勢いをつけて、俺の顔面に拳がクリーンヒットした。
今までに食らったパンチで一番痛かった。
師匠もやっぱり女の子なんだなと実感した時であった。

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