殺せば殺すほど命が増える!!??~命喰らい~

タッツァー

マナリィ王国到着

「ついに、着きましたね!レイ様!」

「あぁ。」

俺たちはようやくマナリィ王国の門まで辿り着いた。
しかしマナリィ王国は広大な都市だ。見渡せば大きな壁で国を囲っている。やはり人間領の中で1番繁栄している国と言われているだけあるな。

「門を通るには門番によるチェックが入ります。この列に並びましょう。」

「しかし長いな…。王女なんだから前に言ってもいいんじゃねえの?」

「いえ、王族だからと言って横暴な行動は国民に不満を与えます。私たち王族は国民の気持ちに寄り添い、さらにより良い国にするためにも王族を特別視する必要はありません。」

「あっそ。」

           :
           :
           :

「では次の者、入れ!」

門番のチェックは小さな6畳くらいしかない部屋の中で行われるようだ。

「はいよ。」

「よし!どこからき、た………。リリィ王女!!?
どうしてここにリリィ王女が……。き、貴様ぁぁぁ、リリィ王女を連れ去った犯人か!!この罪を償って貰う!!死ねぇぇ!!」

「はぁ?」

門番は俺に向かって剣を振り下ろしてきた。
のろまな動きだ。振り切るまでにどれだけの時間がかかるか…。昨日の死鬼の方がまだマシだな。
俺は門番の腹に拳を軽く入れた。

「ぐはっっっっっ…!!」

その門番は部屋をぶち破り、15メートル以上飛んだ。

「なっ、何事だ!!?」
「おい!誰か来てくれ!!」
「侵入者だ!!魔族かも知れない!!」
「なんだと!!?魔族だと!!?」
「王国騎士団に連絡してくれ!!」
「逃げろぉぉぉ!!」
「どけ!!早く進め!!逃げ遅れるだろ!!」
「きゃぁぁぁ!」
「お母さんーー、どこに居るの!!?」

なんかいろいろ勘違いで俺が魔族と思われ、混沌と化した。

「聞け!貴様ら!!俺がすぐに魔族を討ち取ってやる!!だから大人しく見ていろ。」

「あれは!B級冒険者の《迅雷》のイズマだ!目にも見えぬ速さでB級冒険者最速と名高いらしい!!」

金色の髪を上げた男が屋根の上に立ち、今にも襲ってきそうだ。また面倒ごとが増えた…。

「おいおい、この獲物は俺のものだ!!」

180センチはあるガチムチボディの男が声を荒げながらイズマに言った。

「あれは、B級冒険者の《獰猛》のガルスだぞ!!自慢の力で敵を圧倒する姿はまさに獰猛な獣らしいぞ!」

また1人増えたよ。はぁ、どうせ上にいる奴もこいつらと一緒なんだろな…。

「ちょっと待った!この魔族は僕が倒させてもらう!」

「上を見てみろ!!あそこに居るのは確かC級冒険者の《従属》のシン!レアスキル《魔物使役》を持っていて魔物を操る。しかも魔物の数が今は10体以上いてどんな場所、相手にも対応できる魔物がいるらしい!!」

上に鷹のような魔物に乗った14歳くらいのガキが俺を見下ろす。

「先に来たのは俺だ!貴様らが出しゃばる所はない!」
「なんだと!?スピードしか取り柄の無いお前ごときが魔族を倒すなんて無理だ!!だから俺がやる。」
「いーや、僕の魔物ならどんな魔族でも対応できるし僕が貰うよ!」
「「ふざけるな!!」」
「ちっ!仕方ねえな。先に倒した奴の手柄ってことでいいだろ?ガルス、シン。」
「仕方ねぇ。」
「りょーかい!!」

一斉にこちらを見た。さっきまで放置されていたのに急だな…。
いい加減鬱陶しくなった俺はスキル《命の取引ライフ・トレード》でスキルを取引した。

ースキル《命の取引ライフ・トレード》を発動しますー
ースキル《殺気》を獲得しましたー

スキル 殺気
効果  自分の全ステータスが全て相手より上回って
    いるとき効果を発動する。
    ステータスの差だけ相手に恐怖を埋め込む。

殺気を発動させた。

「ひっ!!!あ、あわわわわ…。」

バタッ!バタッバタッ!バババババババババタッ!

冒険者以外全員口から泡を出して倒れてしまった。
冒険者でさえ恐怖でズボンから水溜まりが出来た。

「な、なんだよ!これは!!」
「魔族がこれほどとは…。」
「う、うわぁぁぁ!!早く逃げろぉぉぉ!」

やり過ぎたな。まさか少し黙らせるくらいのつもりで発動したのにこんな事になるなんて…。

「おい、リリィ今のうちに行くぞ!…ん?リリィ?
あ…、リリィも殺気にやられたのか……。」
    
現在の命 582

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