林檎と陽炎前世

ノベルバユーザー161937

林檎と陽炎前世

あなたは前世の記憶を持っていますか?
突然何を言っているんだこいつはと思う方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、前世の記憶なんて持っているわけないじゃんという気持ち、非常にわかります。
ただ、時には前世の記憶を持っているという方も中にはいらっしゃいます。
前世の記憶を持っているなんて、注目されたい為にウソを言っているんじゃないの?と思う方も多いかと思いますが、前世の記憶を持っている人はしっかりと鮮明に前世の記憶を持っているんだと主張します。
今回は前世のお話。春に桜が舞い落ちる季節。死んだ息子に腕に家の住所名前などをペンで書いたら、違う家でそれが書かれた赤ちゃんが生まれ、慌ててその家に行ったそう。そう前世に書かれた赤ちゃんだった。そのあと交友を深め、月に一回会いに行っているそうだ。その赤ちゃんは住所を書いた人をお父さんと呼ぶことがあった。その人は泣いた、顔がそっくりだから。綺麗な笑顔で笑うから。他にも行ったことないところを私ここに行ったことがあるの!楽しかったとまだ3歳の子が遊園地を指している。親は驚きテレビに釘付けだ。前世の記憶があるならばそれは綺麗に輝くだろう。
前世なんて最近流行った君の名はみたいな話あるわけないって思う人もいるだろう。そう思う人はここでやめてもよろしいですよ。これは自分に起きた奇妙で恋の物語。僕が16歳の高校時代、交差点で事故にあった、後ろに乗ってた自分は即死だった。そこに自分と同じ形の自分と同じ声の人に出会う。それは僕自身だった。その人から馬鹿げた提案を一つ。どうでもいい人1人と入れ替えしようよ。君は生きて、その人が死ぬけどね。とニヤリと不気味な笑顔を浮かべる。誰か決めたかいと質問される。もう決まってた。同じクラスの麻上由香。目が合うと顔を赤くして下を向く。話したこともなく、頭がいい陰が薄いやつ。この子なら誰に見悲しまれないだろうとその子を選ぶ。その子は目の前で即死。僕は犯罪者になった。その子は被害者になる。その子は小さい頃始めて遊んだ異性だった。その子に恋をした。はじめての恋だった。笑顔が好きになってて綺麗なえくぼもあった。狂った恋だった。夏でセミがうるさかったのを覚えてる。
それが10年前で今は26歳だ。ある秋の枯れ葉が舞う季節の変わり目。赤、黄色などの枯れ葉が落ち、踏むとパリパリいう。その音が心地よく響く。あなたは前世を信じますかと、会社の隣の女性に声を掛けられる。あったらいいと思うけどと素っ気なく返す。その人は容姿が整っていてモテていた。話してるところを見られたら怒られそうな美しさ。恋をしたら釣り合わずにもったいないだろう。僕の前世はナマケモノだって親に言われたことがあった。急に思い出した。たしかに家で本や音楽を聴いてゴロゴロしてるのが好きだった。ナマケモノのように見てて癒されないし、損するだろうからオススメしない。隣にいる女性は動物に例えるなら孔雀にように美しい。孔雀は求愛の時に羽を広げ綺麗に羽を振る大きい方がいいらしい。緑色の求愛は成功する。誰の視野からも奪い去る。
前世の記憶を思い出したのは16歳の高校時代で身代わりにしてから数日後、僕は麻上由香だった。記憶を探るように思い出した。私は2000年9月海の近くで生まれる。波の音がとても綺麗で半透明の海の上石はキラキラと輝く太陽の光で。ザザッと波が打つ僕はこの景色を知ってる。2000年9月海の近くのいえで生まれる。僕らは前世と来世の関係じゃない。記憶は存在しない。なぜなら僕らは双子だったから。麻上由香と麻上雪夜僕らは同じ日同じ時間に生まれた。2歳の時に誰かがあの交差点で死んだ。代わりに選ばれたのは父親だった。なにも特徴がないが家族だけは愛し尽くしてくれた。パッとしないから選ばれた。母はワンワン泣いた。みんな父親が大好きだった。葬式の棺桶には父はいないバラバラで発見された父は燃やされた。
その後由香は母と雪夜は親戚に預けられた。由香は静かで頭が良く褒められた。僕は逆で頭が悪く、運動ができた。騒がしく入れさせられた体操もすぐに開花し捻りが得意だった。高校入学式友達と撮った写真の一枚に後ろに由香が写っていた。やっと会えた。自然と涙が出てくる。嬉しかった。クラスも同じで驚いた。名簿も近い。そりゃ同じ苗字だし。黒すぎる髪に見とれてると目が合い由香は顔を赤くして伏せる。
それから時はやって春から冬へ変わる。雪が降り、みんなマフラーをしている。由香も同じくしていて、マフラーからふんわり髪が出ている。可愛いなと思った。自分の姉を。
才能に恵まれた天才はなんでもできたが故に死んでいく。重力という恋の実を落として禁断の恋が生まれる。木が生えてまた禁断の果実を実らせる。美しく醜い恋。二人は恋に落ちた。前世でいけない恋をした。恋に落ちる理由を、恋に落ちた理由を解明した。僕らは重力で恋に落ちていた。謎の林檎。二人は林檎が好きだった。小さい頃からよく食べた。禁断の実と言われてる林檎。その名の通り禁断の恋に落ちる。重力に操られているにならそれは仕方がないことだ。結婚はそりゃできない。でも薄々気づいてる。教室で顔を伏せる由香も顔を赤くする理由も知ってた。
そんな時両思いの時に幸せに溢れていた時に、交差点で事件が起きる。知らないはずの由香を殺した。はずだった。全部由香のことを知っていた。林檎も恋も。公園も。全部好きで、覚えてたし、自分にとって大きな存在だったのに身代わりにした。僕が車の後ろで死んだ時、自分んと同じ姿で同じ声の人がいた。そいつに身代わりを提案された。そいつが俺の前世だった。こうなることを知っていた。夏起きたしかも8月。同じ姿をしたやつは陽炎だった。見えるのにさわれない近づくと遠ざかる。陽炎のような奴だった。あいつのせいで由香は死んだ。そう思いたかった。自分がしたと認めたくなかったから。最初で最後のキスをしたのは1日前いけないことと知ってながら、暑い時にキスをした。お互い顔を赤くして。ずっと禁断の恋が続くと思ってた。お互い結婚はしないで、ずっと続くはずだったのに陽炎が現れた。触れることができない陽炎は、時間と人を操ることができた。操り人形だった。終わりを迎える。恋も全て。前世が陽炎で触ることもできない。夏だけに出てくる前世は憎たらしかった。戻すことができない時間に想いを込めて泣いた。泣き喚いた。声が出なくなるまで。涙は枯れた枯れ葉のように。君は今思うと林檎だった。



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