記憶喪失の軍人少女と運命改革の所持者が送る学園生活

11月光志/11月ミツシ

1章4話、訓練&墜落現場

 ブォーン
低い唸り声らしき音が空を響かせる。
ス連皇宮財閥MIGCRAFT設計局最古のジェット訓練戦闘機MIGCRAFT-1が12機で1編隊を作りながら皇島沖合38海里の海上で模擬戦を繰り広げていた。
その中の一人、ヘッリツァーゲン大佐は教官機で後輩たちや訓練生に実弾発射なしの戦闘訓練兼模擬訓練を教え込んでいた。

「よし、敵の後ろをとったら、そのまま取り続けなさい。」

彼女は非常に熱心な教官である。
というのも、10歳で士官学校を5位で卒業後、当時最年少であった11歳で空軍機動軍第367機動編隊団第21中隊第7小隊小隊長を務め、現在16歳にして大佐、訓練学校の空戦教官として出世した人物である。

『教官!6時の方向、不審機1機皇島まで接近中!』
「了解した。監視にあたって!」

後部に座っていた観測兵が不審機の接近を告げる。
というのも、皇島までの経由方法は空軍機でない限り、一般機も立ち入り禁止である。
彼女は警告のため訓練を一時中断し、不審機の空域外までの誘導をすることにした。

「司令本部、司令本部、こちら特別訓練編隊隊教官機。不審な航空機を確認、空域外への誘導を開始する」
『了解、そのまま警戒を怠るな』
「了解、オーバー」

念には念をで、燃料メーター、速度計、現在地、高度などを確認する。

「すべて異状ないわね…」
『教官!武装の解除を!』
「許可します」

機関砲M6A1ガトリング砲の安全ピンを後部に座っていた観測員が解除する。

「あれね…」

確かに目の前には緑や白といった迷彩柄で塗装された輸送機らしき機影が確認できた。

「万が一のために、貴方は脱出の準備をしておきなさい」
『了解!』

マニュアル上、不審機の誘導などはもしものため、いつでも脱出できるように準備することが義務付けられている。

「…さて、どこの国籍マークかしら…」

そして、彼女は驚愕と絶句を同時にした。
国籍マークはペルシアント王国空軍特殊作戦用空挺機だった。
彼女が驚いた理由、国際法で問題国家のペルシアント王国空軍機は自国内以外の飛行を禁止されているからである。

「司令本部!こちら教官機!追跡中の不審機、ペルシアント王国空軍の空挺機と確認」
『りょ、了解した。撃墜命令が出されている、直ちに撃墜せよ!』
「了解!」

彼女はガトリング砲の射撃ボタンに手をかけた。
 バララララララ
ガトリングが火をふく。
命中はしている、だが手ごたえをまるで感じなかった。

「仕方がない…」

機首を少し上げ、エンジン部分に対して射撃を行う。
 バキン
金属の鈍い音が聞こえてきたと同時に、右エンジンから火が出る。
後は逆サイド、左エンジンさえ破壊できれば航空機は飛ぶことは出来ない…
彼女は機首を一度深く手前に引っ張り、機首を上げる。
そして反対側、つまり左エンジンを確認した。
そして、彼女は後悔することになった。
ペルシアント王国空軍特殊作戦用空挺機は、地球のAC130をモデルにしていた機体である。
つまり、左側に武装が施されていたわけでありまして…
 ドーン
右側の尾翼が思いっきり吹っ飛ぶ。

「くそ!」

彼女はフルスロットルと長年培ってきた技量で無理やり水平に保ち、皇島まで離脱する。

「メーデー!メーデー!右側の尾翼がやられた!基地に引き返す!」
『了解。』

フルスロットルって便利。
彼女はそう思ったであろう。基地のある皇島が見えてくる…が
ここで燃料切れを知らせるアラームが鳴り響いた。
さらに運悪く、機体のバランスが崩れてきたのである。

「観測員!脱出しなさい!」
『ですが…』
「いいから早く!」

コクピットが開き後部座席が射出される…のを確認したらできるだけ安全に脱出するために、彼女は速度を失いつつある機体を立て直そうとする。
だが、目の前に山が見えた。
MIGCRAFT機にはある特徴があり、不時着しても搭乗員の安全を守るため、200㎞以下で高度が34m以下の場合に限って、航空機用のパラシュートを展開するシステムが搭載されていた。
最新機では知らないが、旧式は確かである。

「やばい…」

彼女は目をつむり、機体に身を任せた。
そして、航空機はハーゲンメルゼン山の頂上付近に不時着した。

  ■  ■

 ドーン
爆発音のようなものが裏山から轟、彼、木城 晴彦はソファーで居眠りをしている中、飛び起きた。

「な、なんだ?」

ただ事ではない。
そう、彼の第6感を感じ裏口から、毛も道を通って山頂付近…つまり音がした方向へと歩き出す。
数分後、開けた場所に出た。
いや、訂正しよう。木々がなぎ倒され、少し奥に鉄くずの残骸などがころがっていた。

「これが…【飛行機が墜落】なのか?」

彼は茫然とたたずんでいた。

「って、そんなことを考えている場合じゃない。」

彼は、ポケットからスマホを取り出し、緊急通報をする。
…と、

「うっ…」

うめき声が聞こえる。

「どこだ?」

鉄くずをかき分け、必死に捜索する…と、

「いた!」

空軍用の軍服を着込み、腰には自動小銃を取り付けていた軍人らしき人が見えた。
だが、顔は鉄くずのテントのようになっていたが…
それをどかして、顔を確認すると彼は驚いた。
同年代くらいの少女の姿だったからである。

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