TRIBE OF DESTINIE

狗山 神樹

第一話 追われる者

  もうどれくらい逃げただろう。化け物達に見つかって休む暇もなく走った。
 「ここまでくれば…⁈まだ追ってくるの?ほんとにしつこい連中ね。」
  フードを被った女は更に森の外を目指して走った…
 (あの人達を見つけるまで私は死ねない!死ぬわけにはいかないの!)


  時を同じくして

 「これで全部か。」
  剣を持った男、クレドが疲れきった顔で言った
 「さすがの俺達もこの数相手はきついぜ。」
  槍使いの男、カタトも同じ表情をして言った
  二人が疲れるのも無理はない。なんせ冷黒族が作り出した化け物を約三十体も相手にしたのだ。普通なら死んでいるところ。
 「もう疲れたから帰ろうぜ」
 「ああ、そうだな。」
  二人が村に帰ろうとしたその時、森の木々がなぎ倒される音と共に、一人の女と冷黒族の化け物達が走ってきた。
 「何ッ!」
  カタトが驚いた表情で言った。
 「カタト女だ、女が化け物共に追われてる!」
 「なんだって ︎早く助けに行かねーと!」
 「早く行くぞ!」
  二人はものすごい勢いで走り出した。
 「おい!アンタこっちだ!来い!」
  カタトが声を張り上げ女に呼びかける。それに気づいたのか、女は二人の方へと走ってくる。
 「カタト、女を守れ!俺があいつらの相手をする。」
 「一人で大丈夫か?」
 「あんな奴らにやられる程ヤワじゃねーよ。ハァッ!」
  そう言ってクレドは走ってくる女と入れ違いに化け物の前に出た。
 「おいッ、化け物!俺が相手だ!いくぞ!」
 「危ない逃げて!」
 「大丈夫だ、あいつはあんな奴らに遅れをとる程弱くない。」
 「で、でも…」
 「まぁ見とけって。」
  カタトは女を自分の後ろにさげた。
  絶賛戦闘中のクレドは早急に戦いを終わらせるために大技を発動した。
 「一気に決めさせともらうぞ!秘剣・閃光斬!」
  クレドの剣が光り輝き目にも留まらぬ速さで化け物達を切り裂いた。
 「くらいやがれぇッ!」
  閃光斬で化け物達は切り刻まれていった。そして、ズシンという音を立て倒れた。
 「す、すごい、あの化け物達を一瞬で…」
 「な?俺の言った通りだろ?」
 「ふぅ、さすがに体力がもたねぇな。」
 「だから一人で大丈夫かって言ったろぉ?」
 「倒せればいいんだ、倒せれば。」
  彼らの気の抜けた会話を聞いていた女は脱力した。
 「あなた達は一体何者なの?」
  当然の質問だ。なんせ冷黒族の化け物達を一瞬で倒したのだ。女が驚くのも無理はない。
 「俺達は普通の人間だ。」 
  クレドが当たり前のように返す。
 「ここじゃなんだし、俺達の村に来ないか?あいつらに追われて疲れたろ?」
 「あ、は、はい…」
  女はまだ驚きを隠せないようだ。 
  三人が歩いているとクレドが思い出したように女に質問した。
 「あっ、そういえばお前の名前聞いてなかったな。なんていうんだ?」
  ようやく落ち着いた口調で女が答える。
 「あ、申し遅れました。わたしはウィリアって言います。」
 「ウィリアか。俺はクレド。よろしく。」
 (ウィリア…どこかで聞いたことがあるような…)
 「俺はカタト。よろしくな!」
 (ウィリア…どっかで聞いたことがあるような…)
  二人は同じことを考えていた。
  ウィリアはその名を聞いて驚いた。
 「まさか…ねぇ、あなた達アルトリア王国って聞いたことある?」
 「ん?あー、ある…!まさかお前!」
 クレドは驚きなにかを思い出したように言った。それに続いてカタトも
 「まさかウィリアってあのウィリアか?」
  
  ウィリアは少し泣いた目で言った。
 「やっと…やっと会えた。クレドさん。カタトさん。」
 「あぁ。久しぶりだなウィリア。」
 「懐かしいなぁ。七年ぶりくらいだな。」

  
           …月日は約七年ぐらい前に遡る…


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