マッチでお金を稼ぐ方法……一応恋愛です。【舞花お姉様へその2】
マッチでお金を稼ぐ方法……一応恋愛です。【舞花お姉様へその2】
「マッチはいりませんか?マッチを買ってください」
少女はあかぎれの手で、マッチを売っていた。
大人用のヒビの入った木靴から雪が溶け、水となって染みる。
この国は貧富の差が激しい上に、お金持ちは湯水のようにお金を使い、使えるものもゴミとして道端に捨てる。
しかしそれは貧しい人にはお金になる……身にまとうことができる。
だが、道に捨てているというのに、それを拾いに行くと泥棒として訴えると言った理不尽な目に遭った。
少女も中央通りに出ると追い払われた。
今日も本当は、お金持ちの多いそちらでマッチを売り、ついでにこの靴の代わりになるものを手に入れたかった。
でも、殴られたり、罵られたりというのも辛い、それに、売り物のマッチに何かあったら父にまで……。
「あぁ、どうかお願いいたします。全部売れないと……」
吹雪いていた雪が服を顔を覆う。
と、鼻から息を吸い、ツーンっと鼻の奥、頭にまでとどくほどの強力な痛みに腕で顔を覆った。
そして、払いのけながら、呟いた。
生活に疲れ切っていた少女が、目をキリッとさせ考え込むように呟く。
「あぁ、何で……ものすごいリアルすぎて嫌なんだけど。もう!何なのよ。貴族?金持ち、貧乏人?かなり差がひどくない?やだ〜童話が、これじゃ失望だわ〜。えっと、確か、アンデルセンの『マッチ売りの少女』が発表されたのは1848年……確かお母さんがマッチ売りとか箱を作ったりする内職をしていたのよね……」
ブツブツ呟く。
「あぁ、寒い。でも、マッチを擦ったくらいで温まるわけじゃないし、それよりも本当に、しちゃいけないけど、どんど焼きとかいらないものを集めて燃やすのも手かしら……本当に、バカにしてるわ」
自分が着ている服は擦り切れた服と薄手のフード付きのコート、靴下はなく大人用の木靴。
マッチはカゴに入れているが、その上に湿気ないように何枚か布をかけている。
「マッチはいりませんか?……って、吹雪がひどい上に人もいないのに誰が歩くのよ。ついでに、このマッチって、現代の『安全マッチ』の前段階のはずよ。1830年の黄燐マッチって毒性が強かったはずなんだけど?やっぱり、黄燐マッチ?それとも安全マッチに近い1845年の赤燐マッチ?」
少女は、売り物を一つ取り、マッチを一本取る。
匂いを嗅ぎ、
「……多分……大丈夫よね。うん。って、マッチは大丈夫でも自分が、寒さで死ぬか生きるかじゃないの!」
と、ハッと我にかえり叫ぶ。
「嫌だわ〜本当に。それに、何で前世は現代だったのに、150年以上も前にタイムトリップしてるのかしら。それに、こんな時に記憶を思い出すなんて、『あたし』って、どんだけ弱っちいのよう!」
心の中でメソメソする『自分』に文句を言い、
「まぁ、死にたくないし……あ、そうだわ。どうせ死ぬんだもの、最後にドッカーンと大きく行こうじゃない!」
少女は裏道で声をかけていたのだが、吹雪が少し落ち着いた頃を見計らい、雪をかく道具と、ポケットに入れていた油紙を手に、そっと大通りに向かった。
大通りはお城と街を出る門を一直線になっていて、少女が普段は入れない高級ブティックや宝石店などが並んでいるが、雪のせいでお客はいない。
その上、想像以上にゴミだらけ!
ナマモノはないが、色々なものを当たり前のように道に捨てている。
「よっしゃ!行くか!」
門を守る衛兵が見えない場所に、油紙を敷きマッチ箱を立てる。
そして、離れすぎないようにして、二つ目を立てる。
それを順番に並べながら、時々キョロキョロとして見つけたものを回収する。
「おいっ!」
声が聞こえ、振り返ると、この国の騎士団の末端の青年。
「アネッテ、お前何をしてるんだ?」
「あ、えっと、バート。お父さんに言われたのよ。これを売れるまで帰ってくるなって」
「またか……あのおっさん」
バートは近所に住む年上の幼馴染である。
ちなみに、春に二人の幼馴染と結婚する予定である。
「で、お前、頭おかしくなったのか?売れなかったマッチで何するんだよ」
「えっ?まぁいいじゃない。バート手伝いなさいよ。寒いんだから動かなきゃ死んじゃうわ!」
「何なら、俺たちの待機場に連れて行ってやるけど」
「男ばっかりだから嫌!手伝ってくれないなら、倒したりするバカを追い払ってよ」
少女はビシッと言い放ち、作業に戻る。
そして、マッチが終わると、落ちていたゴミを拾いその中で小さい板などを並べて行き、それが少しずつ大きくなる。
かじかむ手に息を吹きかけながら、痛くなった腰を叩くと、
「あまり見えないわね。本当は室内なら図書室なんて倒したい放題じゃない……あぁ、生まれ変わるなら、暖かい……暑すぎない春の国がいいわ」
とぼやく。
再び作業に戻り、そして、色々なものを立てて行き、お城の前に来た。
衛兵が厳しい顔をすると、槍を突き出す。
「お前!何をしているのだ!」
「邪魔ですよ〜」
と槍をすり抜け階段に積んで行く。
そして、腕に抱えていたゴミもなくなり……、
「じゃぁ、倒さないようにしてくださいね。行って来ます」
と、少女は去って行った。
「どうしたのだ?」
寒さと雪を心配した、まだ若いが未婚の王が姿を見せる。
「これは?」
「あ、あの……一人の子供が……積み上げて……」
「あの娘か?」
小さくなって行く少女の背を、王は追いかけた。
慌てて側近もついて行く。
そして、一番最初に立てたマッチに戻ると、何人か集まっていた人々の一人……身なりがよい貴族らしい男が、
「お前か!貴様のような貧乏人が、人の家の前に何をしておる!どけろ!」
と怒鳴りつける。
「うるさいわね。ゴミを出しているのはあんたたちでしょ!道が汚いのを綺麗にできないあんたたちが、口出すなっての。あとで綺麗にしてあげるわよ!有料だけどね!」
あっかんべーとすると、
「という事で、いっくわよ〜!」
少女は膝をつくと、最初のマッチを倒した。
トン……トン……
と音がして小さいマッチ箱が倒れて行く。
「さーて、追いかけよっと。マッチは売り物だもの、回収しないとお父さんに殴られるわ」
少女は言いながら、追いかけて行く。
文句を言っていた男や、好奇心に負けた若い王や集まって来ていた観客もついてくる。
「頑張れ頑張れ〜と、皆さん、マッチいかがです?次のマッチを倒したマッチです。ちゃんと軸が下になるように立てていますよ。それに油紙の上に敷きました。いかがですか?」
少女は商魂たくましく、手に取ったマッチを見せる。
「強いマッチですよ〜!」
「買おう!」
「ありがとうございます!」
油紙に包み、手渡す。
「私も頂戴」
「私は10もらおう」
「ありがとうございます!」
少女はニンマリ笑う。
通常の二倍でも買ってくれる。
ありがたい。
マッチは軽いが、今度はゴミのエリアに入る。
反動を使ってマッチが小さい板のゴミを倒して行くと、少しずつ速度が早まった。
「最後のマッチです!いかがですか〜!」
「買おう!」
「ありがとうございます。えっと……」
身奇麗な端正な青年が、隣にいた男から受け取った金貨を渡す。
「えっ……き、金貨!お、お釣りありません!」
「構わぬ。面白いものを見せてもらっている。ありがとう」
「マッチ……いえ、せっかくの美しいお城に向かう道が、ゴミの道……とても悲しかったので、後で集めてゴミを処理する人を貧しく仕事のない人に……と、思いまして……い、いただいたこのお金で、声をかけようと思います」
「貧しい者に仕事……」
「はい!……あ、邪魔しないで!するなら、お金ちょうだい!」
手を伸ばそうとする先程の金持ちの男に睨みつける!
と、青年が、
「邪魔をすれば、王に頼んで罰するぞ?どうする?」
青年を見て、ハッとした男が数歩下がる。
「は、はい。かしこまりました」
「先程、王宮の階段までそなたは並べていたな?」
「えぇ」
視線はゴミを追う少女に、王は、
「では、全て倒れたら、我……私が国王にお願いして、ゴミを処理する仕事を提供して、集めてもらい、ゴミを捨てる場所を探そう」
「あ、ゴミは焼いたらいいのよ。それに、焼いた火で水を沸かして、お風呂にするとか、部屋を暖めたりすればいいのに」
「……そなたは賢いのだな」
「そりゃ、考えないとゴミだって資源でしょ?燃やしただけだと意味ないじゃない。熱も出るし、灰だって畑に撒いたらいいもの……」
「ふむ……」
倒れて行くゴミを共に追いかけていった。
最後に、城に到着すると倒れながら階段を登って行くのをついて行く。
そして、最後に捨てられていたぼろぼろの本が倒れると、
「わぁぁ!」
「門からだぞ?」
「しかも、最初はマッチ!」
「すげぇ!」
沸く観客に、にっこり笑い、
「ありがとうございます!皆さん!これから、国王陛下にお願いするだけじゃなくて、私達の手で、街を綺麗にしていきませんか?ほんの少しのお金でいいのです。ゴミを収集する人たちにチップを渡し、その人たちが、ゴミの収集場に持っていき、そこでまだ使えるものと焼くものと埋めるものを分別して、使えるものは安く譲り、壊れたりいらないものは燃やして、街を綺麗にすることで、人々の心も綺麗にしませんか?仕事のない人に仕事を……どうぞよろしくお願いします!」
頭を下げる。
人々が手を叩く。
「よし!そうだな!」
「俺たちの街だ!」
と、少女の籠にチップを入れて行く。
そして、少女は王を振り返り、見上げる。
「あの、これを国王陛下にお願いします。これで街を綺麗にしてください」
「へ、陛下にですか?」
「はい、陛下ですよね?前に遠くからお目にかかりました。お願いします」
にっこりと笑った少女に、手を伸ばす。
「……ありがとう。私の力不足を、君はたった1日で変えてくれた。本当にありがとう」
かさかさの手を取り、王は頭を下げる。
「頑張ってください」
「……君の名前は?」
「アネッテです……じゃぁ、私は、陛下に頂いた金貨を持って帰ります」
「待って!」
手を握る。
「冷えて凍えているだろう?アネッテ。身体を温めて、何か一緒に口にしてくれないか?」
「でも、この姿だし……」
「構わない。誰か……」
これからの恋のお話は、国王陛下とマッチ売りの少女にお任せするとして、国は変わり、国民は幸せになったのだった。
少女はあかぎれの手で、マッチを売っていた。
大人用のヒビの入った木靴から雪が溶け、水となって染みる。
この国は貧富の差が激しい上に、お金持ちは湯水のようにお金を使い、使えるものもゴミとして道端に捨てる。
しかしそれは貧しい人にはお金になる……身にまとうことができる。
だが、道に捨てているというのに、それを拾いに行くと泥棒として訴えると言った理不尽な目に遭った。
少女も中央通りに出ると追い払われた。
今日も本当は、お金持ちの多いそちらでマッチを売り、ついでにこの靴の代わりになるものを手に入れたかった。
でも、殴られたり、罵られたりというのも辛い、それに、売り物のマッチに何かあったら父にまで……。
「あぁ、どうかお願いいたします。全部売れないと……」
吹雪いていた雪が服を顔を覆う。
と、鼻から息を吸い、ツーンっと鼻の奥、頭にまでとどくほどの強力な痛みに腕で顔を覆った。
そして、払いのけながら、呟いた。
生活に疲れ切っていた少女が、目をキリッとさせ考え込むように呟く。
「あぁ、何で……ものすごいリアルすぎて嫌なんだけど。もう!何なのよ。貴族?金持ち、貧乏人?かなり差がひどくない?やだ〜童話が、これじゃ失望だわ〜。えっと、確か、アンデルセンの『マッチ売りの少女』が発表されたのは1848年……確かお母さんがマッチ売りとか箱を作ったりする内職をしていたのよね……」
ブツブツ呟く。
「あぁ、寒い。でも、マッチを擦ったくらいで温まるわけじゃないし、それよりも本当に、しちゃいけないけど、どんど焼きとかいらないものを集めて燃やすのも手かしら……本当に、バカにしてるわ」
自分が着ている服は擦り切れた服と薄手のフード付きのコート、靴下はなく大人用の木靴。
マッチはカゴに入れているが、その上に湿気ないように何枚か布をかけている。
「マッチはいりませんか?……って、吹雪がひどい上に人もいないのに誰が歩くのよ。ついでに、このマッチって、現代の『安全マッチ』の前段階のはずよ。1830年の黄燐マッチって毒性が強かったはずなんだけど?やっぱり、黄燐マッチ?それとも安全マッチに近い1845年の赤燐マッチ?」
少女は、売り物を一つ取り、マッチを一本取る。
匂いを嗅ぎ、
「……多分……大丈夫よね。うん。って、マッチは大丈夫でも自分が、寒さで死ぬか生きるかじゃないの!」
と、ハッと我にかえり叫ぶ。
「嫌だわ〜本当に。それに、何で前世は現代だったのに、150年以上も前にタイムトリップしてるのかしら。それに、こんな時に記憶を思い出すなんて、『あたし』って、どんだけ弱っちいのよう!」
心の中でメソメソする『自分』に文句を言い、
「まぁ、死にたくないし……あ、そうだわ。どうせ死ぬんだもの、最後にドッカーンと大きく行こうじゃない!」
少女は裏道で声をかけていたのだが、吹雪が少し落ち着いた頃を見計らい、雪をかく道具と、ポケットに入れていた油紙を手に、そっと大通りに向かった。
大通りはお城と街を出る門を一直線になっていて、少女が普段は入れない高級ブティックや宝石店などが並んでいるが、雪のせいでお客はいない。
その上、想像以上にゴミだらけ!
ナマモノはないが、色々なものを当たり前のように道に捨てている。
「よっしゃ!行くか!」
門を守る衛兵が見えない場所に、油紙を敷きマッチ箱を立てる。
そして、離れすぎないようにして、二つ目を立てる。
それを順番に並べながら、時々キョロキョロとして見つけたものを回収する。
「おいっ!」
声が聞こえ、振り返ると、この国の騎士団の末端の青年。
「アネッテ、お前何をしてるんだ?」
「あ、えっと、バート。お父さんに言われたのよ。これを売れるまで帰ってくるなって」
「またか……あのおっさん」
バートは近所に住む年上の幼馴染である。
ちなみに、春に二人の幼馴染と結婚する予定である。
「で、お前、頭おかしくなったのか?売れなかったマッチで何するんだよ」
「えっ?まぁいいじゃない。バート手伝いなさいよ。寒いんだから動かなきゃ死んじゃうわ!」
「何なら、俺たちの待機場に連れて行ってやるけど」
「男ばっかりだから嫌!手伝ってくれないなら、倒したりするバカを追い払ってよ」
少女はビシッと言い放ち、作業に戻る。
そして、マッチが終わると、落ちていたゴミを拾いその中で小さい板などを並べて行き、それが少しずつ大きくなる。
かじかむ手に息を吹きかけながら、痛くなった腰を叩くと、
「あまり見えないわね。本当は室内なら図書室なんて倒したい放題じゃない……あぁ、生まれ変わるなら、暖かい……暑すぎない春の国がいいわ」
とぼやく。
再び作業に戻り、そして、色々なものを立てて行き、お城の前に来た。
衛兵が厳しい顔をすると、槍を突き出す。
「お前!何をしているのだ!」
「邪魔ですよ〜」
と槍をすり抜け階段に積んで行く。
そして、腕に抱えていたゴミもなくなり……、
「じゃぁ、倒さないようにしてくださいね。行って来ます」
と、少女は去って行った。
「どうしたのだ?」
寒さと雪を心配した、まだ若いが未婚の王が姿を見せる。
「これは?」
「あ、あの……一人の子供が……積み上げて……」
「あの娘か?」
小さくなって行く少女の背を、王は追いかけた。
慌てて側近もついて行く。
そして、一番最初に立てたマッチに戻ると、何人か集まっていた人々の一人……身なりがよい貴族らしい男が、
「お前か!貴様のような貧乏人が、人の家の前に何をしておる!どけろ!」
と怒鳴りつける。
「うるさいわね。ゴミを出しているのはあんたたちでしょ!道が汚いのを綺麗にできないあんたたちが、口出すなっての。あとで綺麗にしてあげるわよ!有料だけどね!」
あっかんべーとすると、
「という事で、いっくわよ〜!」
少女は膝をつくと、最初のマッチを倒した。
トン……トン……
と音がして小さいマッチ箱が倒れて行く。
「さーて、追いかけよっと。マッチは売り物だもの、回収しないとお父さんに殴られるわ」
少女は言いながら、追いかけて行く。
文句を言っていた男や、好奇心に負けた若い王や集まって来ていた観客もついてくる。
「頑張れ頑張れ〜と、皆さん、マッチいかがです?次のマッチを倒したマッチです。ちゃんと軸が下になるように立てていますよ。それに油紙の上に敷きました。いかがですか?」
少女は商魂たくましく、手に取ったマッチを見せる。
「強いマッチですよ〜!」
「買おう!」
「ありがとうございます!」
油紙に包み、手渡す。
「私も頂戴」
「私は10もらおう」
「ありがとうございます!」
少女はニンマリ笑う。
通常の二倍でも買ってくれる。
ありがたい。
マッチは軽いが、今度はゴミのエリアに入る。
反動を使ってマッチが小さい板のゴミを倒して行くと、少しずつ速度が早まった。
「最後のマッチです!いかがですか〜!」
「買おう!」
「ありがとうございます。えっと……」
身奇麗な端正な青年が、隣にいた男から受け取った金貨を渡す。
「えっ……き、金貨!お、お釣りありません!」
「構わぬ。面白いものを見せてもらっている。ありがとう」
「マッチ……いえ、せっかくの美しいお城に向かう道が、ゴミの道……とても悲しかったので、後で集めてゴミを処理する人を貧しく仕事のない人に……と、思いまして……い、いただいたこのお金で、声をかけようと思います」
「貧しい者に仕事……」
「はい!……あ、邪魔しないで!するなら、お金ちょうだい!」
手を伸ばそうとする先程の金持ちの男に睨みつける!
と、青年が、
「邪魔をすれば、王に頼んで罰するぞ?どうする?」
青年を見て、ハッとした男が数歩下がる。
「は、はい。かしこまりました」
「先程、王宮の階段までそなたは並べていたな?」
「えぇ」
視線はゴミを追う少女に、王は、
「では、全て倒れたら、我……私が国王にお願いして、ゴミを処理する仕事を提供して、集めてもらい、ゴミを捨てる場所を探そう」
「あ、ゴミは焼いたらいいのよ。それに、焼いた火で水を沸かして、お風呂にするとか、部屋を暖めたりすればいいのに」
「……そなたは賢いのだな」
「そりゃ、考えないとゴミだって資源でしょ?燃やしただけだと意味ないじゃない。熱も出るし、灰だって畑に撒いたらいいもの……」
「ふむ……」
倒れて行くゴミを共に追いかけていった。
最後に、城に到着すると倒れながら階段を登って行くのをついて行く。
そして、最後に捨てられていたぼろぼろの本が倒れると、
「わぁぁ!」
「門からだぞ?」
「しかも、最初はマッチ!」
「すげぇ!」
沸く観客に、にっこり笑い、
「ありがとうございます!皆さん!これから、国王陛下にお願いするだけじゃなくて、私達の手で、街を綺麗にしていきませんか?ほんの少しのお金でいいのです。ゴミを収集する人たちにチップを渡し、その人たちが、ゴミの収集場に持っていき、そこでまだ使えるものと焼くものと埋めるものを分別して、使えるものは安く譲り、壊れたりいらないものは燃やして、街を綺麗にすることで、人々の心も綺麗にしませんか?仕事のない人に仕事を……どうぞよろしくお願いします!」
頭を下げる。
人々が手を叩く。
「よし!そうだな!」
「俺たちの街だ!」
と、少女の籠にチップを入れて行く。
そして、少女は王を振り返り、見上げる。
「あの、これを国王陛下にお願いします。これで街を綺麗にしてください」
「へ、陛下にですか?」
「はい、陛下ですよね?前に遠くからお目にかかりました。お願いします」
にっこりと笑った少女に、手を伸ばす。
「……ありがとう。私の力不足を、君はたった1日で変えてくれた。本当にありがとう」
かさかさの手を取り、王は頭を下げる。
「頑張ってください」
「……君の名前は?」
「アネッテです……じゃぁ、私は、陛下に頂いた金貨を持って帰ります」
「待って!」
手を握る。
「冷えて凍えているだろう?アネッテ。身体を温めて、何か一緒に口にしてくれないか?」
「でも、この姿だし……」
「構わない。誰か……」
これからの恋のお話は、国王陛下とマッチ売りの少女にお任せするとして、国は変わり、国民は幸せになったのだった。
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