転生召喚士の成り上がり~初めては神獣でした~

雪桜 尚

東京じゃ見れなかったよな

GYAOOOOOOOOOOOOOOO

スウィートルームから足を出して三秒、異世界初バトルが始まった。
俺が持っているのは召喚魔法とエリィだけである。

「エリィ!!」
「はい!!」
「やれるか?」
「いけます!!」

エリィが体制を低くしてクマに飛び込む。
そして、熊の腹に拳を叩き込んだ。

GUO!!

クマは苦しそうな声を上げて後ろに下がる。
しかし、その戦意は衰えておらず、ぎらぎらとした目でこちらを睨んでいた。

「思ったより強いですね……」

俺はライトノベルで培った知識を総動員して解決策を見出す。

召喚サモン・アイアンゴーレム」

俺はアイアンゴーレムを三体召喚し、エリィのサポートに回す。
残りMPは7000。

超振動衝撃波ソニックブーム!!」

エリィが魔法を放つ。
クマは内臓がつぶれたのか、血を吐いた。

憑依召喚ポゼション・サモン・アイアンゴーレム」

俺はアイアンゴーレムを体に宿す。

「エリィ、魔法で隙を作ってくれ!!」
「はい!ご主人様!!」

エリィが詠唱を始める。

「天を駆ける紫電の雷よ 大地に降り注げ 紫電雷光サンダーボルテクス!!」

エリィの突き出した両手の先に紫電の輝きがともる。
轟っという音とともに、雷光がクマの体を焼いた。
その轟雷によって三体のアイアンゴーレムが無きものとなってしまう。

「すいません、ゴーレム三体も焼いてしまいました」
「構わない!!」

俺は右腕に魔力を流し、限界まで強化した状態で、クマの腹を殴る。

メシャァ

いやな感触とともにクマの命の灯が消える。
こうして、俺の異世界初バトルは幕を閉じた。

身体強化を覚えました。
憑依召喚ポゼション・サモンを覚えました。
召喚できる魔物が増えました。
エリィのレベルが上がりました。

どうやらエリィのレベルが上がったらしい。

「やりましたね!!ご主人様!!」
「そうだな、今日はこいつを食うか」

俺は地に付したクマを見て提案する。

「そうですね、それじゃあ私が調理します」

エリィの手料理が食べれるらしい。

「そりゃあうれしいな。でも何よりも、この森を今日中に抜けないとな」
「今日中に抜けれるんですか?」
「勿論、召喚サモン・ワイバーン」

俺は、この戦いで召喚できるようになったワイバーンを召喚する。

「わぁ、ワイバーンじゃないですか!!この子がいるんなら今日中に森を抜けれますね」
「だろう、じゃあ行くぞ」

俺はワイバーンの背中に飛び乗る。
エリィはその後ろに抱き着くように乗った。

「こいつも運んでくれ、ワイバーン」

俺はさっき倒したばかりのクマを指さす。
ワイバーンはギャオと一声鳴くと、クマをくわえて大空に飛び立った。

「うわぁ!!」

俺は初のワイバーン騎乗で興奮を隠せないでいた。
頬をなでる風が心地よく、ワイバーンのうえから望む景色は絶景と言っても景色だった。

「うぅ、高いの怖いですぅ。ご主人様ぁ」

エリィがぎゅっと俺の体を抱きしめる。
エリィのたわわと実った果実が俺の背中でつぶれるわけで……
何と言うか、夢のような時間でした。

「よし、ワイバーン、ここで下してくれ」

ワイバーンは大きく鳴くとしぐに俺たちを下してくれた。

「ありがとな」

俺はワイバーンを撫でると、送還した。

「うぅ、怖かったですぅ」
「わかった、わかったから」

さっきからエリィはずっとこんな感じである。
ほんとに高いところが苦手らしい。

「ほ、ほら!!ご飯作って食べようぜ」
「は、はぃ」

しかし、料理を始めるとてきぱきとやるべきことをこなし、おいしい料理を作ってくれた。

「は~、おいしかったよ。ありがとな、エリィ」
「お粗末さまでした、それでは寝床を作ってまいります」
「ああ、大丈夫大丈夫。もう作らせたから」
「誰にですか?」
「勿論ゴーレムだよ」

合図を送ると、五体ほどのゴーレムが俺のもとに集合した。

「夜の見張りもこいつらにやってもらうから、エリィはもう楽にしていいよ」
「はぁ」

俺は、ゴーレムたちが作った寝床に横になる。
もう日はとっくにくれていて、それには美しい星々が浮かんでいた。

「はぁ、こんなの東京じゃ見れなかったよな」
「どうしたんですか?ご主人様、そんな顔して」

エリィが俺の顔を覗き込んでくる。

「何でもない、今日はもう寝よう。明日は町に行こう」
「はい、おやすみなさい」
「ああ、お休み」

そういうと、ほどなくして俺の意識は闇に沈んでいった。

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