転生召喚士の成り上がり~初めては神獣でした~

雪桜 尚

行ってまいります

「ご主人様、朝ですよ。起きて下さい」
「ん?もう朝か?」

俺は、寝ぼけ眼をこする。

「もうご飯も出来ております」
「ああ、ありがとう。エリィ」

俺はエリィの作ったご飯を口いっぱいにほおばる。

「うまいな!エリィの作るご飯は」
「ありがとうございます」

俺たちはご飯を食べ終わると、ワイバーンを呼び出し街に向かった。

「なあ、エリィ?ここから町までってどのくらいかかるんだ?」
「そうですねぇ」

エリィは少し考えるようなしぐさをしてから答えた。

「おそらくワイバーンに乗って小一時間ほどでしょうか?」
「分かった。後二十分くらいしたらワイバーンから降りるぞ」
「はい」

俺たちは残り二十分ほどの空の旅を存分に楽しむのだった。
もっとも、エリィは怖がってそれどころではなかったようだが。

「ワイバーン、そろそろ下してくれ」

俺たちはワイバーンから降りると、馬を召喚してそれにまたがる。

「はぁ、やっと地に足をつけれます」
「そこまでのことじゃなかっただろ」

俺たちはそんな雑談をかわしながら近くの町に向かった。

「うわぁああああああああああ」

突如として悲鳴が響き渡った。

「エリィ!!」
「はい!」

俺とエリィは場所を特定し、即座に馬を走らせる。

「大丈夫ですか!」
「わ、私は何とか。しかし私の奴隷が」

どういう男の指さす方にはファンタジーでは定番と言っていいオークが馬車を襲っていた。
その数十。

「やるぞ!!エリィ!!召喚サモン・リザードマン」
「はい!超振動衝撃波ソニックブーム

俺はリザードマンを二体召喚し、オークに向かわせる。
エリィはリザードマンがオークにたどり着くより少し前にオークに一撃を食らわせる。

GUGYAOOOO

オークはその醜悪な顔をゆがめ苦しそうにうめく。
しかし、数の暴力と言ったところか、徐々にエリィが押される。

「エリィ、いったん下がれ!!」
「はい!!」

俺はエリィが下がった瞬間ある召喚獣を召喚する。

神霊召喚セイント・サモン

一気に俺のMPが減少する。
そして、魔方陣から出てきたのは一体の聖騎士だった。

「円卓の騎士王・アーサー=ペンドラゴン、ここに見参!!」
「アーサー、オークを倒せ!!」
「あなたがマスターか、了解した」

アーサーは流れるような速さでオークを屠っていく。
それはさながら演武のようであった。

「ご主人様、私も行けます」
「分かった、エリィは魔法でアーサーを援護してくれ」

エリィが的確に魔法を放ち、先ほどとは一転、オークが追い込まれていった。

BUMOOOOOOOOOO

オークの一体が明らかに今までとは違う雄叫びを上げた。

「何か来るぞ!!気をつけろ!!」
「「はい(了解)!!」」

そしてそいつは現れたのだ。
真っ赤な体躯を持ち、その手には双ふりの魔剣。

「なんだあいつ!!」
「おそらくオークの上位個体かと」
「エリィ、急いであいつらを非難させてくれ。ワイバーンを二体召喚したから」
「分かりました」

エリィは戦線を離脱して、避難に向かった。

「さてどうしたもんか」

俺は拮抗した戦いを見せるオークとアーサーを見てぽつりと漏らした。

「アーサー、いけそうか?」
「すまない、マスター!!このままでは押し負けそうだ」
「そうか……」

そして、絶望的なことが起きた。
遠くからオークの大集団が迫ってくるのが見えたからだ。

「アーサー、そいつをいったん吹き飛ばして俺の所に戻ってこい!!」
「了解した」

アーサーは、手にしていた剣に魔力を流して詠唱を始めた。

「光を覆う見えざる闇よ 光無き所に闇はあらず 閃光をもって闇を切れ 暗黒斬閃光レイヴィンアルマス

カッと剣の刀身が光り輝き、眩い輝きを放つ。
オークはそれだけで大きく後方に吹き飛ばされた。

「どうした、マスターよ」
「今からお前と真の契約をする。鎧を外せ」
「了解した」

アーサーの鎧が霧散した。
そこにあったのはエリィに負けず劣らずの絶世の美女だった。
俺はすぐにその唇を奪うと、また指示を出す。

「これで真の契約は終わりだ。もうちょっとだけ足止めを頼むぞ」
「わかった。不肖アーサー。押してまいる」

ダンっと地面を強くけり一瞬で戦線井復活するアーサー。
俺はそれを見て安堵の息をこぼし、再度召喚魔法を唱える。

「神魔召喚」

漆黒の魔方陣が浮かび上がり、今までの比にもならないほどのMPが持って行かれる。
それどころか、MPがからっきしなくなってしまった。

「主がわしを召喚したのか?」
「ああ、アーサーと一緒にオークを片付けてくれ」
「心得た。魔王・キシリカ参る」
「まて、真の契約をする」

俺は強引に貴志里香の唇を奪う。

「よし、行け!!」
「分かった」

少し赤みのさした顔でキシリカは前線に飛び出していった。
俺はMPが完全になくなったために、地面に倒れこんでしまった。

「ご主人様!!」

エリィの声が遠くから響いた。

「ああ、エリィか。前線で二人戦ってるから援護を頼む」
「分かりました、けどご主人様の回復が先です」
「そんなの後で、むぐっ」

エリィは自分の唇を俺の唇に押し付けた。
そして、即座に舌を入れてくる。

「はぁ、はぁ、私のMPをご主人様に分けました」
「ああ、ありがとう」
「それでは行ってまいります」

エリィもまた前の二人と同じように前線に駆けだしていった。

「ステータスオープン」

俺は自分の残りMPを確認する。
残り700ほどしかなかった。

「これだけあれば何とか」

俺はある一つの秘策を持って前線に向かった。



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