魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第129陣捨てられない希望
イエヤスが教えてくれた不治の病という存在。俺はイエヤスの元を出てからその存在について色々な場所を調べ回った。しかしその中で俺が求めているような答えを見つけ出すことができずに、ただ時間だけが経過していた。
一週間
二週間
三週間
移動も含めているので時間が経過するのはあっという間で、気が付かないうちにあれから一ヶ月が経過してしまっていた。
(結局何もできないのか、俺は)
本能寺の変が起きる事よりも、絶対に守ることが不可能な病という相手。イエヤスが言っていた通り、病気を治すことが苦しみから解放する事とは限らないのかもしれない。ノブナガさんは俺がいない間も、本当は苦しんでいるのではないのかと考えると、胸が苦しい。
(ノブナガさん……)
俺はいよいよ解決方法を見つけられないまま安土城へと帰還することになった。
■□■□■□
「そっか、駄目だったんだねヒッシー」
「いくら探しても求めているような答えが見つからなかったんだ。ノブナガさんを救える方法が」
城へと帰還するとノブナガさんよりも先に、ヒデヨシが出迎えてくれた。ヒデヨシはどうやら事情を知ってしまったらしく、俺がその為に一ヶ月離れていたことも理解していた。
「今ノブナガさんはどこにいるんだ」
「部屋で寝てる。最近はほとんど部屋で寝たきりの事の方が多くなってるの」
「それはやっぱり」
「うん……。病は確実にノブナガ様をむしばみ始めている」
「……」
この時俺の心は絶望に染まりかけていた。もう避けられることがほぼ不可能になり始めているノブナガさんの死。救えるはずなのに、俺が無力すぎて救える命も救えない。
「そういえばヒデヨシはリアラから力を授かったけど、それはどうだったんだ」
「今日まで何度も何度も試したよ。だけど何も変わらなかった」
「リアラの力でも無理なのか」
「ごめんね、ヒッシー」
「ヒデヨシが謝るなよ……」
「私だってノブナガ様を救いたいよ。でも何もできないなんて残酷すぎるよ」
「ヒデヨシ……」
「ねえヒッシー、教えてよ。どうすればノブナガ様を救えるの?」
「それは俺にも分からない。一ヶ月ずっとその答えを探してきたけど、見つけられなかったんだよ」
「そんな! 何もできないの? このまま何もできないままノブナガ様が亡くなるのを待つしかできないの?」
「まだ……何かあるはずだ。俺はまだ諦めない」
それは強がりでしかないのかもしれない。でもそうでもしないと、もはや俺の心は限界だった。ヒデヨシもきっとそうだろう。希望を求めて一ヶ月頑張って来たのに、何も結果を得られなかった。
「ヒスイ、戻られていたんですね」
「あ、ノブナガさん」
ヒデヨシとただ落ち込んでいると、その場所にノブナガさんがやって来る。病気によって弱っているからなのか、足取りがおぼつかない。たった一ヶ月前まではあんなに元気だったのに、それと同じ人物とは思えないくらいにノブナガさんは弱っていた。
「すいません勝手に城を飛び出したりしたりして」
「いいんですよ、私の為に頑張ってくれたんですよね」
「はい。でも俺はあなたを救う手だてを見つける事ができませんでした。本当にすいません」
「いいんですよ。そうなるって分かっていたんで」
「ノブナガさん……」
俺はそんな彼女の姿を見て、自然と涙が流れ出してしまっていた。こんなにも俺は彼女の事が好きなのに、病気から救い出してやる事も出来ない。どんなに助け出したいと思っていても、俺はあくまで魔法使い。師匠の時も、その時が迫っているのに救えることができなかった。それが今度はノブナガさんにも……。
「それでヒスイ、一ヶ月前の答えは決めてくれましたか?」
「俺が織田家の跡継ぎになる事、ですよね。やっぱり俺にはできませんよ、ノブナガさんがいなくなったら俺はこの世界にいる事すら辛くなってしまいます」
「そうですか……。ヒスイなら私のこの想いを継いでくれると思ったのですが」
「そんな悲しい事を言わないでくださいよ。まだ……まだ諦めないでください」
「ヒスイこそ本当は分かっているんじゃないんですか? 私のこの病気は治らないって」
「それは……」
「私は……ヒスイが最後まで苦しむ姿を見たくないんです。だからどうか、受け入れてくれませんか? そして最後は」
ノブナガ様が今何を言おうとしているのか何となく分かった。だから耳を塞ぎたかったし、これが全て夢だと思いたかった。
ノブナガさんを病気から苦しまずに解放する方法。
イエヤスのあの言葉を聞いてからずっとその答えを頭の片隅で探していた自分がいた。だけどそれに辿り着いた答えは、あまりに残酷すぎて、あまりにも悲しい。だけどそれが一番優良な事なのかもしれない。
「あなたの手で私を殺してくださいませんか? ヒスイ。あなたの手でなら私は死んでも悔いは残りませんから」
「っ!? そんな事どうして言うんですか? ノブナガ様」
「ヒデヨシさん……。でも私はそんなに長くありませんし」
「どうして諦めるんですか!今までどんな困難でも乗り越えてきたのに、どうしてノブナガ様は諦めようとしているんですか、病気なんかに屈しないでくださいよ。そうでないと私、どうにかなっちゃいます」
「……」
「誰がなんて言っても、私は絶対にノブナガ様の事は諦めません!」
一週間
二週間
三週間
移動も含めているので時間が経過するのはあっという間で、気が付かないうちにあれから一ヶ月が経過してしまっていた。
(結局何もできないのか、俺は)
本能寺の変が起きる事よりも、絶対に守ることが不可能な病という相手。イエヤスが言っていた通り、病気を治すことが苦しみから解放する事とは限らないのかもしれない。ノブナガさんは俺がいない間も、本当は苦しんでいるのではないのかと考えると、胸が苦しい。
(ノブナガさん……)
俺はいよいよ解決方法を見つけられないまま安土城へと帰還することになった。
■□■□■□
「そっか、駄目だったんだねヒッシー」
「いくら探しても求めているような答えが見つからなかったんだ。ノブナガさんを救える方法が」
城へと帰還するとノブナガさんよりも先に、ヒデヨシが出迎えてくれた。ヒデヨシはどうやら事情を知ってしまったらしく、俺がその為に一ヶ月離れていたことも理解していた。
「今ノブナガさんはどこにいるんだ」
「部屋で寝てる。最近はほとんど部屋で寝たきりの事の方が多くなってるの」
「それはやっぱり」
「うん……。病は確実にノブナガ様をむしばみ始めている」
「……」
この時俺の心は絶望に染まりかけていた。もう避けられることがほぼ不可能になり始めているノブナガさんの死。救えるはずなのに、俺が無力すぎて救える命も救えない。
「そういえばヒデヨシはリアラから力を授かったけど、それはどうだったんだ」
「今日まで何度も何度も試したよ。だけど何も変わらなかった」
「リアラの力でも無理なのか」
「ごめんね、ヒッシー」
「ヒデヨシが謝るなよ……」
「私だってノブナガ様を救いたいよ。でも何もできないなんて残酷すぎるよ」
「ヒデヨシ……」
「ねえヒッシー、教えてよ。どうすればノブナガ様を救えるの?」
「それは俺にも分からない。一ヶ月ずっとその答えを探してきたけど、見つけられなかったんだよ」
「そんな! 何もできないの? このまま何もできないままノブナガ様が亡くなるのを待つしかできないの?」
「まだ……何かあるはずだ。俺はまだ諦めない」
それは強がりでしかないのかもしれない。でもそうでもしないと、もはや俺の心は限界だった。ヒデヨシもきっとそうだろう。希望を求めて一ヶ月頑張って来たのに、何も結果を得られなかった。
「ヒスイ、戻られていたんですね」
「あ、ノブナガさん」
ヒデヨシとただ落ち込んでいると、その場所にノブナガさんがやって来る。病気によって弱っているからなのか、足取りがおぼつかない。たった一ヶ月前まではあんなに元気だったのに、それと同じ人物とは思えないくらいにノブナガさんは弱っていた。
「すいません勝手に城を飛び出したりしたりして」
「いいんですよ、私の為に頑張ってくれたんですよね」
「はい。でも俺はあなたを救う手だてを見つける事ができませんでした。本当にすいません」
「いいんですよ。そうなるって分かっていたんで」
「ノブナガさん……」
俺はそんな彼女の姿を見て、自然と涙が流れ出してしまっていた。こんなにも俺は彼女の事が好きなのに、病気から救い出してやる事も出来ない。どんなに助け出したいと思っていても、俺はあくまで魔法使い。師匠の時も、その時が迫っているのに救えることができなかった。それが今度はノブナガさんにも……。
「それでヒスイ、一ヶ月前の答えは決めてくれましたか?」
「俺が織田家の跡継ぎになる事、ですよね。やっぱり俺にはできませんよ、ノブナガさんがいなくなったら俺はこの世界にいる事すら辛くなってしまいます」
「そうですか……。ヒスイなら私のこの想いを継いでくれると思ったのですが」
「そんな悲しい事を言わないでくださいよ。まだ……まだ諦めないでください」
「ヒスイこそ本当は分かっているんじゃないんですか? 私のこの病気は治らないって」
「それは……」
「私は……ヒスイが最後まで苦しむ姿を見たくないんです。だからどうか、受け入れてくれませんか? そして最後は」
ノブナガ様が今何を言おうとしているのか何となく分かった。だから耳を塞ぎたかったし、これが全て夢だと思いたかった。
ノブナガさんを病気から苦しまずに解放する方法。
イエヤスのあの言葉を聞いてからずっとその答えを頭の片隅で探していた自分がいた。だけどそれに辿り着いた答えは、あまりに残酷すぎて、あまりにも悲しい。だけどそれが一番優良な事なのかもしれない。
「あなたの手で私を殺してくださいませんか? ヒスイ。あなたの手でなら私は死んでも悔いは残りませんから」
「っ!? そんな事どうして言うんですか? ノブナガ様」
「ヒデヨシさん……。でも私はそんなに長くありませんし」
「どうして諦めるんですか!今までどんな困難でも乗り越えてきたのに、どうしてノブナガ様は諦めようとしているんですか、病気なんかに屈しないでくださいよ。そうでないと私、どうにかなっちゃいます」
「……」
「誰がなんて言っても、私は絶対にノブナガ様の事は諦めません!」
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