魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第53陣再会も喧騒の中で
ミツヒデとの決闘、そしてノブナガさんとヒデヨシの料理対決が決まった日の翌日、俺は一人城下町を歩いていた。
(この世界に来て、大分経つけど、すっかり馴染んでいるよな俺)
最初は色々と訳が分からない事ばかり起きて苦労は絶えなかったけど、今じゃもう慣れてしまった。だがまだ、この世界が一体なんなのか謎が解けていない。一連の騒ぎがあったせいで、忘れていたがもう一人魔法使いが、いやかつて冒険した異世界の人物が、今この世界に紛れ込んでいる。何故紛れ込んだのか、そして何が目的でヨシモトの偽物になっているのか、謎が深まるばかりだ。
(それだというのに、どうしてこうなるんだか)
正直ミツヒデの決闘は本気で戦おうと思っている。勝ってしまったら、かえって状況が悪くなるかもしれない。だけれどそれはまた後で考えればいい。
「ん? 何か騒がしいな」
そんな事を考えていると、広場に人集りができていてどこか騒がしい。何かあったのだろうか。
(あれ、この流れどこかで見たような……)
「この前の戦は私が勝ったんだから、これで私の七十一勝七十敗。いい加減領土をよこしなさいよ」
「馬鹿言えケンシン。この前の戦いは私の勝ちなんだから、そっちの領土をよこせ」
「嫌よ。誰があんたみたいな減らず口女に渡すもんですか」
「それだったら、私もあんたみたいなのっぺらぼう女に渡したくないわよ!」
やっぱり……。
(何でこんな所で喧嘩するかな)
最初に見かけてから一度も会っていなかったが、どうやら二人は相変わらずどこかで戦をしていたらしい。
(女になっても、その関係は変わらないってことか)
また巻き込まれるのが嫌だった俺は、こっそりその場を立ち去ろうした。
「あ、そこにいるのはいつかの」
「化け物男」
だがすぐにバレてしまう。ていうか、その化け物に仕立て上げたのは貴方方なんですけどね。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
見つかってしまった以上無視ができない俺は、喧嘩をやめさせる為に近くの団子屋に二人を連れていった。
「二人っていつも喧嘩しているのか?」
「別に私は好きでしているわけじゃないのよ。シンゲンがいつも喧嘩を売ってくるから悪いのよ」
「ケンシンが苛つかせるような事を言うから悪いんだろ」
「いちいち喧嘩するなって」
だが二人の喧嘩は決して止まることはなく、前回のようにまた巻き込まれるのではないかと、内心ビクビクしていた。
「ていうか二人とも敵軍同士なのに、どうしてそんなに二人きりなれるんだ? そもそもここ、織田軍の領土だし」
「自分達の領土でこんな醜い争いはしたくないのよ」
「醜いかは別として、それはケンシンに賛成だな。それにノブナガに借りがあるから、いつかは返さないといけないし」
「そうそう。だからいつ攻めるかもしれないか分からないから、油断しない方がいいわよ」
「肝に銘じておくよ」
具体的にどんな借りがあるかは聞けなかったが、この時代では当たり前の光景なのかもしれない。まあ、こうして名将の二人と話しているこの光景は、決して当たり前ではないけど。
「あ、そういえばお前あのノブナガと結婚するんだってな」
「え、あ、それは」
突然話題が例のデマに切り替わる。
「式の日決まったら教えろよ。祝ってやるから」
「それだけは勘弁してください」
「どうしてだ? 祝い事は敵同士でも、盛大に祝ってやるのがマナーってものだろ」
「そうよ。結婚は祝ってなんぼなんだから」
「言葉だけありがたく受け取っておきます」
そもそも嘘の話なので、余計な騒ぎになっても困るので未然に防がしてもらう。というか、敵に祝ってもらう結婚式って、どれだけシュールな光景なんだよ。
「何だよつまらないな。折角奇襲かけようと思ったのに」
「余計に呼べるか!」
祝い事が呪い事になりかねないだろ、それ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
夕刻になる前に二人と別れた俺は、城に戻るなりノブナガさんにその事を話した。
「ふふ、何ともお二人らしい言葉ですね」
「いやいやノブナガさん、いくらなんでも楽観的に考えすぎですよ」
式は上げないとはいえ、奇襲をかけるとか言われているのにその発言はどうかと思う。
「そもそも式はやらないんですから、その心配はいらないじゃないですか」
「それはそうですけど」
「それに、たとえ二人が奇襲をかけてこようが、私は負けません」
「すごい自信ですね」
「何度も二人とは戦っていますから」
流石はノブナガさんだけど、一体何度戦を重ねてきたのだろうか? いつか話を聞いてみたいものだ。
「それはそうとヒスイ様。明日時間はありますか?」
「鍛錬する以外は特に用事はないですけど。明日何かありましたっけ」
「いえ、個人的に付き合ってもらいたいことがあるんです」
「個人的に?」
これはもしかして、何かのフラグが立ったか?
「大切な用事なので、いかがですか?」
「分かりました」
「絶対にですよ」
「は、はい」
ここまで強く言われると、どんな用事なのかかなり気になる。でも詳しくは聞けずに、翌日を迎えた。
「実はですね、ヒスイ様に話しておきたいことがあるんです」
(この世界に来て、大分経つけど、すっかり馴染んでいるよな俺)
最初は色々と訳が分からない事ばかり起きて苦労は絶えなかったけど、今じゃもう慣れてしまった。だがまだ、この世界が一体なんなのか謎が解けていない。一連の騒ぎがあったせいで、忘れていたがもう一人魔法使いが、いやかつて冒険した異世界の人物が、今この世界に紛れ込んでいる。何故紛れ込んだのか、そして何が目的でヨシモトの偽物になっているのか、謎が深まるばかりだ。
(それだというのに、どうしてこうなるんだか)
正直ミツヒデの決闘は本気で戦おうと思っている。勝ってしまったら、かえって状況が悪くなるかもしれない。だけれどそれはまた後で考えればいい。
「ん? 何か騒がしいな」
そんな事を考えていると、広場に人集りができていてどこか騒がしい。何かあったのだろうか。
(あれ、この流れどこかで見たような……)
「この前の戦は私が勝ったんだから、これで私の七十一勝七十敗。いい加減領土をよこしなさいよ」
「馬鹿言えケンシン。この前の戦いは私の勝ちなんだから、そっちの領土をよこせ」
「嫌よ。誰があんたみたいな減らず口女に渡すもんですか」
「それだったら、私もあんたみたいなのっぺらぼう女に渡したくないわよ!」
やっぱり……。
(何でこんな所で喧嘩するかな)
最初に見かけてから一度も会っていなかったが、どうやら二人は相変わらずどこかで戦をしていたらしい。
(女になっても、その関係は変わらないってことか)
また巻き込まれるのが嫌だった俺は、こっそりその場を立ち去ろうした。
「あ、そこにいるのはいつかの」
「化け物男」
だがすぐにバレてしまう。ていうか、その化け物に仕立て上げたのは貴方方なんですけどね。
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見つかってしまった以上無視ができない俺は、喧嘩をやめさせる為に近くの団子屋に二人を連れていった。
「二人っていつも喧嘩しているのか?」
「別に私は好きでしているわけじゃないのよ。シンゲンがいつも喧嘩を売ってくるから悪いのよ」
「ケンシンが苛つかせるような事を言うから悪いんだろ」
「いちいち喧嘩するなって」
だが二人の喧嘩は決して止まることはなく、前回のようにまた巻き込まれるのではないかと、内心ビクビクしていた。
「ていうか二人とも敵軍同士なのに、どうしてそんなに二人きりなれるんだ? そもそもここ、織田軍の領土だし」
「自分達の領土でこんな醜い争いはしたくないのよ」
「醜いかは別として、それはケンシンに賛成だな。それにノブナガに借りがあるから、いつかは返さないといけないし」
「そうそう。だからいつ攻めるかもしれないか分からないから、油断しない方がいいわよ」
「肝に銘じておくよ」
具体的にどんな借りがあるかは聞けなかったが、この時代では当たり前の光景なのかもしれない。まあ、こうして名将の二人と話しているこの光景は、決して当たり前ではないけど。
「あ、そういえばお前あのノブナガと結婚するんだってな」
「え、あ、それは」
突然話題が例のデマに切り替わる。
「式の日決まったら教えろよ。祝ってやるから」
「それだけは勘弁してください」
「どうしてだ? 祝い事は敵同士でも、盛大に祝ってやるのがマナーってものだろ」
「そうよ。結婚は祝ってなんぼなんだから」
「言葉だけありがたく受け取っておきます」
そもそも嘘の話なので、余計な騒ぎになっても困るので未然に防がしてもらう。というか、敵に祝ってもらう結婚式って、どれだけシュールな光景なんだよ。
「何だよつまらないな。折角奇襲かけようと思ったのに」
「余計に呼べるか!」
祝い事が呪い事になりかねないだろ、それ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
夕刻になる前に二人と別れた俺は、城に戻るなりノブナガさんにその事を話した。
「ふふ、何ともお二人らしい言葉ですね」
「いやいやノブナガさん、いくらなんでも楽観的に考えすぎですよ」
式は上げないとはいえ、奇襲をかけるとか言われているのにその発言はどうかと思う。
「そもそも式はやらないんですから、その心配はいらないじゃないですか」
「それはそうですけど」
「それに、たとえ二人が奇襲をかけてこようが、私は負けません」
「すごい自信ですね」
「何度も二人とは戦っていますから」
流石はノブナガさんだけど、一体何度戦を重ねてきたのだろうか? いつか話を聞いてみたいものだ。
「それはそうとヒスイ様。明日時間はありますか?」
「鍛錬する以外は特に用事はないですけど。明日何かありましたっけ」
「いえ、個人的に付き合ってもらいたいことがあるんです」
「個人的に?」
これはもしかして、何かのフラグが立ったか?
「大切な用事なので、いかがですか?」
「分かりました」
「絶対にですよ」
「は、はい」
ここまで強く言われると、どんな用事なのかかなり気になる。でも詳しくは聞けずに、翌日を迎えた。
「実はですね、ヒスイ様に話しておきたいことがあるんです」
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