魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
外伝 戦国婚活事情 前編
「ノブナガ様、最近元気がありませんけど、どうかしましたか?」
ヒデヨシさんはある日私にそんな事を言ってきた。勾玉の行方とかが気になっていた私は、確かに少しだけ元気がなかったのかもしれない。けど、それが周りに心配されるほどの物なのかと言われれば、そうではないと私は言いたい。
「どうして急にそんな事を?」
「だってノブナガ様、ずっと部屋にいてばかりでしたし、最近笑ってるところも見てませんよ?」
「いや、決してそんな事はないと思いますけど」
どうも他に意味がありげな聞き方をするヒデヨシに私は少し疑問に思う。どうして彼女はそんなに私を心配しているのだろうか?
「最近負け戦が多いからですかねやっぱり」
「だからどうしてそんな言い方を……」
「ミツヒデさんもネネも同じように心配しているからですよ。決してこれは私一人の意見ではないです」
「え?」
そう言われて初めて私は驚く。皆さんがそんなに心配を?
「ネネさんはともかくミツヒデにまで私を?」
「はい。やはり何かあったんですか?」
「何かって事は特にないんですけど」
「けど?」
「私達の周り、女性だらけじゃないですか」
「そうですね」
「だから……その、私達の後継ぎとかどうすればいいのかなって」
「はい?」
負け戦が多い以上に、私が心配していたことは後継ぎの事だった。それ相応の年もとり始めているのに、未だに結婚の目処も立っていない。このままでは織田家の存続にも関わってきてしまう深刻な問題だった。
「それはつまり、子供が欲しいってことですか?」
「はい」
しかしその解決策は未だに掴めないでいた。何せこの世界のほとんどの人物が女性。つまり子供を生むことすらできない状態なのだ。理想の相手もいないし、どうすればいいのやら。
「でもその悩み、私も一緒ですよノブナガ様」
「ヒデヨシさんにはネネがいるじゃないですか」
「冗談でも怖いことは言わないでください」
「まさか、冗談な訳ないじゃないですか」
「せめてそこは否定してくださいよ」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
お互い共通の悩みを持つということで、その日から私とヒデヨシさんはどうしたものかと恋愛トークに華を咲かせていた。
「でもこの戦だらけの時代に、理想の相手なんて見つかりますかね」
「うーん、それは私もなんとも言えません。でも一族の存続には関わりますよね」
「ノブナガ様同様、私も、いや他の方も同じ悩みじゃないですかきっと」
「言われてみればそんな気がしますけど」
「でも私達の先代とかはどうしていたんですかね。女ばっかりなのに」
「それはちょっと気になりますね」
ヒデヨシさんの言葉一つ一つに同感だった。私達がここにいるという事は先代はちゃんと結婚している事になる。実際私にも父親がいるし、ヒデヨシさんも同じだろう。
「私達が知らないだけで、本当はこの世界にも男性はいるのかもしれませんね」
「でも私は見たことないんですけど。ノブナガ様は?」
「見たことないです」
「やっぱりそうですよね」
二人でうーんと唸る。私達以外では果たしてどうなのだろうか?
「あ、私なら見たことありますけど。ただ、男は汚らわしいので、私はお姉様一筋ですけど」
試しにネネさんに聞いてみたところ知っているらしい。ただ本人は全くそういうのには全く興味ないみたいだけど。
「ちょっ、ネネ。いつもくっつくのやめて」
「何言っているんですかお姉様。私にとってお姉様はお姉様一人しかいないんですから、もっとイチャイチャしましょうよ」
「意味が分からないから! ああもう、やめて」
相変わらずの二人を私は眺めながら、ネネさんが織田軍に入った頃の事を思い出す。
ある日の遠征でボロボロになっている彼女を助け出したのがキッカケで、その時一緒にいたヒデヨシさんに一目惚れしてしまったらしい。
『私のお姉様、是非結婚してください!』
目を覚ました彼女の最初の一言がそれだったのをハッキリと覚えている。それからというものの、彼女はヒデヨシさんに付きっきり。
「ノブナガ様助けてくださいよぉ」
「仲良しでいいじゃないですか。しかも結婚まで申し込まれてますし」
「それ一番最初にネネが言ったことですよね?!   なんで覚えているんですか」
「面白かったからに決まっているじゃないですか」
「私は面白くないですよー」
実際私は面白いと思った。まあでも、同性結婚では後継ぎとかも生まれないし、彼女じゃ駄目なのだろう。
「問題はそこですか? もっと大事な事があるじゃないですか」
「ああ式場ですか。それなら城で是非」
「そこじゃないです。色々問題が他にありますから!」
と言いながら、じゃれ合う二人。この光景をいつまでも眺めていたいけど、とりあえず手がかりだけはありそうなので、二人を一度引き離した。
「それでネネさん。その男性を見た場所とは」
「ここから少し遠くの場所だった気がしますけど、まさかお姉様の結婚相手を探すつもりでは」
「ご心配なく。いつかは二人もきっと結ばれますから」
「だからノブナガ様、私にはそんな気がありませんから」
色々あったけど、手がかりだけは見つかったので、私達はとりあえずネネさんの思い当たる場所を探すことになったのであった。
ヒデヨシさんはある日私にそんな事を言ってきた。勾玉の行方とかが気になっていた私は、確かに少しだけ元気がなかったのかもしれない。けど、それが周りに心配されるほどの物なのかと言われれば、そうではないと私は言いたい。
「どうして急にそんな事を?」
「だってノブナガ様、ずっと部屋にいてばかりでしたし、最近笑ってるところも見てませんよ?」
「いや、決してそんな事はないと思いますけど」
どうも他に意味がありげな聞き方をするヒデヨシに私は少し疑問に思う。どうして彼女はそんなに私を心配しているのだろうか?
「最近負け戦が多いからですかねやっぱり」
「だからどうしてそんな言い方を……」
「ミツヒデさんもネネも同じように心配しているからですよ。決してこれは私一人の意見ではないです」
「え?」
そう言われて初めて私は驚く。皆さんがそんなに心配を?
「ネネさんはともかくミツヒデにまで私を?」
「はい。やはり何かあったんですか?」
「何かって事は特にないんですけど」
「けど?」
「私達の周り、女性だらけじゃないですか」
「そうですね」
「だから……その、私達の後継ぎとかどうすればいいのかなって」
「はい?」
負け戦が多い以上に、私が心配していたことは後継ぎの事だった。それ相応の年もとり始めているのに、未だに結婚の目処も立っていない。このままでは織田家の存続にも関わってきてしまう深刻な問題だった。
「それはつまり、子供が欲しいってことですか?」
「はい」
しかしその解決策は未だに掴めないでいた。何せこの世界のほとんどの人物が女性。つまり子供を生むことすらできない状態なのだ。理想の相手もいないし、どうすればいいのやら。
「でもその悩み、私も一緒ですよノブナガ様」
「ヒデヨシさんにはネネがいるじゃないですか」
「冗談でも怖いことは言わないでください」
「まさか、冗談な訳ないじゃないですか」
「せめてそこは否定してくださいよ」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
お互い共通の悩みを持つということで、その日から私とヒデヨシさんはどうしたものかと恋愛トークに華を咲かせていた。
「でもこの戦だらけの時代に、理想の相手なんて見つかりますかね」
「うーん、それは私もなんとも言えません。でも一族の存続には関わりますよね」
「ノブナガ様同様、私も、いや他の方も同じ悩みじゃないですかきっと」
「言われてみればそんな気がしますけど」
「でも私達の先代とかはどうしていたんですかね。女ばっかりなのに」
「それはちょっと気になりますね」
ヒデヨシさんの言葉一つ一つに同感だった。私達がここにいるという事は先代はちゃんと結婚している事になる。実際私にも父親がいるし、ヒデヨシさんも同じだろう。
「私達が知らないだけで、本当はこの世界にも男性はいるのかもしれませんね」
「でも私は見たことないんですけど。ノブナガ様は?」
「見たことないです」
「やっぱりそうですよね」
二人でうーんと唸る。私達以外では果たしてどうなのだろうか?
「あ、私なら見たことありますけど。ただ、男は汚らわしいので、私はお姉様一筋ですけど」
試しにネネさんに聞いてみたところ知っているらしい。ただ本人は全くそういうのには全く興味ないみたいだけど。
「ちょっ、ネネ。いつもくっつくのやめて」
「何言っているんですかお姉様。私にとってお姉様はお姉様一人しかいないんですから、もっとイチャイチャしましょうよ」
「意味が分からないから! ああもう、やめて」
相変わらずの二人を私は眺めながら、ネネさんが織田軍に入った頃の事を思い出す。
ある日の遠征でボロボロになっている彼女を助け出したのがキッカケで、その時一緒にいたヒデヨシさんに一目惚れしてしまったらしい。
『私のお姉様、是非結婚してください!』
目を覚ました彼女の最初の一言がそれだったのをハッキリと覚えている。それからというものの、彼女はヒデヨシさんに付きっきり。
「ノブナガ様助けてくださいよぉ」
「仲良しでいいじゃないですか。しかも結婚まで申し込まれてますし」
「それ一番最初にネネが言ったことですよね?!   なんで覚えているんですか」
「面白かったからに決まっているじゃないですか」
「私は面白くないですよー」
実際私は面白いと思った。まあでも、同性結婚では後継ぎとかも生まれないし、彼女じゃ駄目なのだろう。
「問題はそこですか? もっと大事な事があるじゃないですか」
「ああ式場ですか。それなら城で是非」
「そこじゃないです。色々問題が他にありますから!」
と言いながら、じゃれ合う二人。この光景をいつまでも眺めていたいけど、とりあえず手がかりだけはありそうなので、二人を一度引き離した。
「それでネネさん。その男性を見た場所とは」
「ここから少し遠くの場所だった気がしますけど、まさかお姉様の結婚相手を探すつもりでは」
「ご心配なく。いつかは二人もきっと結ばれますから」
「だからノブナガ様、私にはそんな気がありませんから」
色々あったけど、手がかりだけは見つかったので、私達はとりあえずネネさんの思い当たる場所を探すことになったのであった。
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