魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第62陣支えてくれる者達
ヒデヨシを貫いたと思った瞬間、俺の目の前に救世主が現れた。
「し、師匠、どうして?」
それは俺に魔法を教えてくれたかつての師匠、ノアル師匠だった。あまりの突然の出来事に愕然としていると、俺を見つけた師匠が、俺を見るなりやっと会えたみたいな顔をしていた。
「ようやく見つけましたよヒスイ。何をしているんですか」
「何をやっているも何も、師匠こそ何しているんですかこんな所で」
「質問を質問で返さないでください。あと私はあなたの命をこちらの世界で一度救っていますよ?」
「え?」
師匠が? 俺の事を? そんな事……。
「よくもまあ、ここまで追ってきましたねノアル」
いつの事だったか思い出そうとしていると、先程まで黙っていたマルガーテが口を開いた。
「そちらこそこの世界の人間でもないくせに、派手にやってくれていますね。今度は知らない世界に手を出そうなんて、そうはさせませんよ」
それに答える師匠。
「師匠、俺……」
俺はその光景を見て、先程のことをすっかり忘れて知らぬ間に涙を流していた。
「男のくせに泣いている場合ですか、ヒスイ。あなたには助けるべき人がそこにいるんでしょ?」
「はい。闇触にやられた女の子一人を、俺は今助けています」
「それでいいんです。マルガーテは私が止めておきますから、ヒスイはそちらに専念してください」
「は、はい!」
急いでヒデヨシの所へと戻る途中、リキュウさんには大丈夫だと声をかけた。そして視界の端に微かに見えたノブナガさんには、
「ノブナガさん、ここは大丈夫です! だから城に戻っていてください」
「でも私……」
「いいからお願いします!」
そしてヒデヨシの元へと戻る。少しずつではあるが闇触は消え始めている。これならもしかしたら、治せるかもしれない。
(いや、かもじゃない。治せるんだ俺なら)
自分にそう言い聞かせ、俺はヒデヨシの治療に再度取り組むのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ヒスイが治療を始めてすぐ、ノアルとマルガーテの戦いは繰り広げられようとしてした。
「自分の親を殺された逆恨みで、ここまでするとは思いませんでしたよマルガーテ」
「恨みがあるからこそ、私は世界の全てを手に入れたいんですよ。父が果たせなかった世界征服は、私が果たすべきなんです。下劣な人間どもは、私が支配する世界の中で生き続ければいい。それだけの話」
「そんなのはあなたのエゴに過ぎません」
他の人の安全を考慮して外へ出た二人。本来なら交わるはずのない二人だが、実は因縁の戦いでもあった。
「闇を纏いし剣よ」
闇の魔法を使いしもの。
「光を纏いし剣よ」
光の魔法を使いしもの。
『いでよ!』
正反対のものを魔法を持つもの同士の戦いは、ヒスイが魔法使いになる前から既に行われていた。
「今日こそここであなたを倒させてもらいますよマルガーテ」
「あなたにつけられたこの傷が疼くのも今日が最後にさせてもらいます。ノアル、あなたを倒して!」
そしてその決着が、二人にとっては別の世界となるこの場所でつく。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ヒデヨシの治療を続けながらも俺は、師匠の事が気になって仕方がなかった。何故あのタイミングで彼女がここに現れたのか、謎だけが残る。
(そういえば師匠、マルガーテと因縁があるとか言ってたような……)
少しだけ耳にしたことがあるのだが、どうやら師匠の故郷が彼女によって滅ぼされたとか。あくまで噂ではあるのだけれど。
(って、集中しないと)
残された時間も多くはない。早くヒデヨシを……。
「あれ……」
「ヒスイ様?」
急に力が入らなく……。
「大丈夫ですか、ヒスイ様!」
倒れそうになった間一髪のところでノブナガさんが支えてくれた。
「ノブナガさん、帰ったんじゃ……」
「そろそろ交代の時間でもあったので、リキュウさんに帰ってもらったんです。それよりヒスイ様こそ大丈夫なんですか?」
「大丈夫です……。少し目眩しただけなんで」
「リキュウさんから聞きましたよ。全く休んでないらしいじゃないですか」
「休んでいる時間がないと思ったんです。だから少しくらい無理しても……」
再び体を動かそうとするが、なかなか力が入らない。まさかここにきて魔力が、
「ヒスイ様!」
「やらなきゃ……。やらないと……」
ヒデヨシが……。
『サッキー』
サクラの声がする。どうして彼女の声が? 今俺はヒデヨシの治療しているのに……。
『頑張って』
 
今まで応援する側だったのに、応援されるなんて何か変だな……。
『サッキーには仲間がいるんだから、大丈夫。だから信じて』
でももう体が動かないし、魔力もないから……。
『私も付いているから、頑張って! サッキー』
サクラも一緒か。それなら……。
「まだ……やれる」
「ヒスイ様、これ以上無理したら……」
「ノブナガさんがいるから大丈夫です。できれば体を支えてくれませんか?」
「……はい!」
残された魔力は少ないかもしれない。それでも俺はやり通してみせる。ノブナガさんや師匠、そしてサクラがいるから俺は諦められない。
「ヒデヨシ、絶対に救ってやるからな」
「し、師匠、どうして?」
それは俺に魔法を教えてくれたかつての師匠、ノアル師匠だった。あまりの突然の出来事に愕然としていると、俺を見つけた師匠が、俺を見るなりやっと会えたみたいな顔をしていた。
「ようやく見つけましたよヒスイ。何をしているんですか」
「何をやっているも何も、師匠こそ何しているんですかこんな所で」
「質問を質問で返さないでください。あと私はあなたの命をこちらの世界で一度救っていますよ?」
「え?」
師匠が? 俺の事を? そんな事……。
「よくもまあ、ここまで追ってきましたねノアル」
いつの事だったか思い出そうとしていると、先程まで黙っていたマルガーテが口を開いた。
「そちらこそこの世界の人間でもないくせに、派手にやってくれていますね。今度は知らない世界に手を出そうなんて、そうはさせませんよ」
それに答える師匠。
「師匠、俺……」
俺はその光景を見て、先程のことをすっかり忘れて知らぬ間に涙を流していた。
「男のくせに泣いている場合ですか、ヒスイ。あなたには助けるべき人がそこにいるんでしょ?」
「はい。闇触にやられた女の子一人を、俺は今助けています」
「それでいいんです。マルガーテは私が止めておきますから、ヒスイはそちらに専念してください」
「は、はい!」
急いでヒデヨシの所へと戻る途中、リキュウさんには大丈夫だと声をかけた。そして視界の端に微かに見えたノブナガさんには、
「ノブナガさん、ここは大丈夫です! だから城に戻っていてください」
「でも私……」
「いいからお願いします!」
そしてヒデヨシの元へと戻る。少しずつではあるが闇触は消え始めている。これならもしかしたら、治せるかもしれない。
(いや、かもじゃない。治せるんだ俺なら)
自分にそう言い聞かせ、俺はヒデヨシの治療に再度取り組むのであった。
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ヒスイが治療を始めてすぐ、ノアルとマルガーテの戦いは繰り広げられようとしてした。
「自分の親を殺された逆恨みで、ここまでするとは思いませんでしたよマルガーテ」
「恨みがあるからこそ、私は世界の全てを手に入れたいんですよ。父が果たせなかった世界征服は、私が果たすべきなんです。下劣な人間どもは、私が支配する世界の中で生き続ければいい。それだけの話」
「そんなのはあなたのエゴに過ぎません」
他の人の安全を考慮して外へ出た二人。本来なら交わるはずのない二人だが、実は因縁の戦いでもあった。
「闇を纏いし剣よ」
闇の魔法を使いしもの。
「光を纏いし剣よ」
光の魔法を使いしもの。
『いでよ!』
正反対のものを魔法を持つもの同士の戦いは、ヒスイが魔法使いになる前から既に行われていた。
「今日こそここであなたを倒させてもらいますよマルガーテ」
「あなたにつけられたこの傷が疼くのも今日が最後にさせてもらいます。ノアル、あなたを倒して!」
そしてその決着が、二人にとっては別の世界となるこの場所でつく。
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ヒデヨシの治療を続けながらも俺は、師匠の事が気になって仕方がなかった。何故あのタイミングで彼女がここに現れたのか、謎だけが残る。
(そういえば師匠、マルガーテと因縁があるとか言ってたような……)
少しだけ耳にしたことがあるのだが、どうやら師匠の故郷が彼女によって滅ぼされたとか。あくまで噂ではあるのだけれど。
(って、集中しないと)
残された時間も多くはない。早くヒデヨシを……。
「あれ……」
「ヒスイ様?」
急に力が入らなく……。
「大丈夫ですか、ヒスイ様!」
倒れそうになった間一髪のところでノブナガさんが支えてくれた。
「ノブナガさん、帰ったんじゃ……」
「そろそろ交代の時間でもあったので、リキュウさんに帰ってもらったんです。それよりヒスイ様こそ大丈夫なんですか?」
「大丈夫です……。少し目眩しただけなんで」
「リキュウさんから聞きましたよ。全く休んでないらしいじゃないですか」
「休んでいる時間がないと思ったんです。だから少しくらい無理しても……」
再び体を動かそうとするが、なかなか力が入らない。まさかここにきて魔力が、
「ヒスイ様!」
「やらなきゃ……。やらないと……」
ヒデヨシが……。
『サッキー』
サクラの声がする。どうして彼女の声が? 今俺はヒデヨシの治療しているのに……。
『頑張って』
 
今まで応援する側だったのに、応援されるなんて何か変だな……。
『サッキーには仲間がいるんだから、大丈夫。だから信じて』
でももう体が動かないし、魔力もないから……。
『私も付いているから、頑張って! サッキー』
サクラも一緒か。それなら……。
「まだ……やれる」
「ヒスイ様、これ以上無理したら……」
「ノブナガさんがいるから大丈夫です。できれば体を支えてくれませんか?」
「……はい!」
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