魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第92陣無力な自分
その夜、先程の事が気になってしまい私はなかなか寝付けなかった。あれが私の単なる見間違いなら何一つ気にする事はないのだけれど、どうしても私は気になって仕方がなかった。
(だってあれって……)
嫌なものが蘇ってくる。本当は忘れていたかったのに、それは私の中で鮮明に残り続けていた。
(もう忘れるって決めたんだから、今は気にしない気にしない……)
今度こそ寝れると何度も繰り返した結果、私はまともな睡眠は取れることなく翌朝を迎えることになった。
「どうしたのじゃサクラよ。寝ておらんのか?」
目の下にクマでもできているのか、朝からイエヤスに心配される。
「ヒスイの事が心配で、寝れなかっただけだから大丈夫。心配しないで」
「そうは言ってものう、お主……」
まだ何か言いたそうな顔をするイエヤス。私は気にせずに朝食を済ませた。
だけどその日の昼時、私の身体に異変が起きる。この世界に初めて来た時にも聞こえたあの声が、再び聞こえてきたのだ。
『助けなさい。……を』
今度は以前よりハッキリしていて、助けなさいという言葉が、私の耳にしっかり聞こえた。ただ誰をまでは聞こえず、また私の中に嫌なものだけが残る。
(誰を……助ければいいの私は)
翡翠なら今から動いても間に合うかもしれない。そう思った私は動き出せずにはいられなかった。
「駄目だってヒナッチ、ここで大人しくしてないと。それに今のヒナッチを向かわせるわけにもいかないよ」
だけどやはりヒデヨシに止められてしまう。何だって彼女はそこまでして私を止めたいのだろうか?
「どうして? 私が翡翠を助けに行かないと」
「ヒナッチ、ずっと寝てないでしょ。ヒッシーの事が心配なのは分かるけど、それよりもヒナッチの方が私心配だよ」
「助けに行きたいの……そうしないと私……」
視界がくらむ。ここ数日無理していたのが、身体に祟ったのかもしれない。
「ヒナッチ!」
(ああ、やっぱり私は無力なんだ。こんなに助けに行きたい人がいるのに、何も出来ないなんて)
自分の非力さに悲しみを覚えながら、私の意識は暗闇の中へと消えていった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
道なき道を進む中、俺は一瞬だけ足を止めた。何故だか分からないけど、何か悪い予感がしたからだ。
(桜?)
真っ先に心配したのは桜だった。どうしてかは分からないけど、一番に浮かんだのは彼女だった。
(まさか、な)
再び俺は歩き出す。もうかれこれ一時間は歩いているというのに、一向に何かがあるような気配がしない。一応灯りとして炎を使っているのだけど、それでも先がハッキリしていないくらいだ。
(ん?)
更に歩く事三十分、ようやく出口らしきものを発見した。先ほどのものと同じくらいの扉がそこにはあり、隙間からは光が漏れている。
「開けてみるか」
ドアノブを回して、扉を開けてみる。するといとも簡単にその扉が開かれた。
「うおっ、眩し」
しばらく暗闇を歩いていたので、光に目が慣れるのに少し時間がかかる。そしてようやく目が慣れた先に、俺を待っていたのは、
「誰かの部屋か?」
どこか知らない部屋。しかも誰かが住んでいる気配もあり、家具等がきちんと綺麗にされている。
「いつかはいるとは思ったが、まさかお主みたいなものが生き残るとはのう」
声が聞こえる。この声は、
「ネネが婆様って呼んでいた人か? どこにいる」
「残念ながらそこにはおらぬ」
「じゃあどこにいるんだ! こんな勝手な事をずっとやってきたお前を、俺は殴りたいくらいなんだよ」
「勝手な事? もしやお主何か知ってはいけぬものをしったな」
「ああ。何が百年祭りの為の生贄だ。お前がやっているのはただの人殺しだ」
「人殺し? はっはっは、何を勘違いしておる。あれは立派な天罰ではないか。罪ありし者は神に殺されても当然の話ではなかろう」
シラを切る婆。その態度に俺は怒りを我慢できなかった。
「ふざけるな! あの祭壇の下でどれだけの人の涙が流れたと思っている。その人達の想いが分からないのか!」
「うるさいのう。そんなに許せないなら、私の元に来るが良い。まあ、来れればの話じゃがな」
そう婆が言ったと同時に、部屋の地面が突然揺れ出す。何だ何が起きて……。
「って、おわっ!」
地面から何かが生えてきたので、俺は咄嗟にそれを避ける。生えてきたのは何と巨大な棘。あんなの刺さったらひとたまりもない。
「この屋敷はのう、昔から忍びの特訓の場として使われておる。それを忍びでもないお主が突破できるか、見ものじゃのう」
「くっ」
避けられたのを一安心する間も無く、次の罠が襲いかかる。俺はそれを何とかかわして部屋を出た。だが部屋を出た先で待っていたのは、
「何だよこれ」
廊下全てに罠が仕掛けられている、いかにも突破できなさそうなとても危険なもの達の数々だった。
「さあ、お主の力、見させてもらうぞ」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
小屋で休憩を終えた私達は、早速外に出て祭壇を探しに行動を始めた。三人それぞれ別々の場所を探し、何か有力なものを情報を得たら、それを共有する。その間もできる限り敵に見つからないという、少し難しい捜索だったり
(知るのに一番手っ取り早いのは、一番偉い方に聞くのが早いけど)
そんなの教えてもらえるわけないので、隅々を探索。その間にも見つからないように、何とか頑張った。その道中、
「何ですかこれ」
私は里には似合わないような大きな屋敷を発見した。ここなら何か情報を得られるだろうか。
(不法進入だけど、今は気にしなくていいですよね)
どうしても気になった私は、そこに足を踏み入れた。
(だってあれって……)
嫌なものが蘇ってくる。本当は忘れていたかったのに、それは私の中で鮮明に残り続けていた。
(もう忘れるって決めたんだから、今は気にしない気にしない……)
今度こそ寝れると何度も繰り返した結果、私はまともな睡眠は取れることなく翌朝を迎えることになった。
「どうしたのじゃサクラよ。寝ておらんのか?」
目の下にクマでもできているのか、朝からイエヤスに心配される。
「ヒスイの事が心配で、寝れなかっただけだから大丈夫。心配しないで」
「そうは言ってものう、お主……」
まだ何か言いたそうな顔をするイエヤス。私は気にせずに朝食を済ませた。
だけどその日の昼時、私の身体に異変が起きる。この世界に初めて来た時にも聞こえたあの声が、再び聞こえてきたのだ。
『助けなさい。……を』
今度は以前よりハッキリしていて、助けなさいという言葉が、私の耳にしっかり聞こえた。ただ誰をまでは聞こえず、また私の中に嫌なものだけが残る。
(誰を……助ければいいの私は)
翡翠なら今から動いても間に合うかもしれない。そう思った私は動き出せずにはいられなかった。
「駄目だってヒナッチ、ここで大人しくしてないと。それに今のヒナッチを向かわせるわけにもいかないよ」
だけどやはりヒデヨシに止められてしまう。何だって彼女はそこまでして私を止めたいのだろうか?
「どうして? 私が翡翠を助けに行かないと」
「ヒナッチ、ずっと寝てないでしょ。ヒッシーの事が心配なのは分かるけど、それよりもヒナッチの方が私心配だよ」
「助けに行きたいの……そうしないと私……」
視界がくらむ。ここ数日無理していたのが、身体に祟ったのかもしれない。
「ヒナッチ!」
(ああ、やっぱり私は無力なんだ。こんなに助けに行きたい人がいるのに、何も出来ないなんて)
自分の非力さに悲しみを覚えながら、私の意識は暗闇の中へと消えていった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
道なき道を進む中、俺は一瞬だけ足を止めた。何故だか分からないけど、何か悪い予感がしたからだ。
(桜?)
真っ先に心配したのは桜だった。どうしてかは分からないけど、一番に浮かんだのは彼女だった。
(まさか、な)
再び俺は歩き出す。もうかれこれ一時間は歩いているというのに、一向に何かがあるような気配がしない。一応灯りとして炎を使っているのだけど、それでも先がハッキリしていないくらいだ。
(ん?)
更に歩く事三十分、ようやく出口らしきものを発見した。先ほどのものと同じくらいの扉がそこにはあり、隙間からは光が漏れている。
「開けてみるか」
ドアノブを回して、扉を開けてみる。するといとも簡単にその扉が開かれた。
「うおっ、眩し」
しばらく暗闇を歩いていたので、光に目が慣れるのに少し時間がかかる。そしてようやく目が慣れた先に、俺を待っていたのは、
「誰かの部屋か?」
どこか知らない部屋。しかも誰かが住んでいる気配もあり、家具等がきちんと綺麗にされている。
「いつかはいるとは思ったが、まさかお主みたいなものが生き残るとはのう」
声が聞こえる。この声は、
「ネネが婆様って呼んでいた人か? どこにいる」
「残念ながらそこにはおらぬ」
「じゃあどこにいるんだ! こんな勝手な事をずっとやってきたお前を、俺は殴りたいくらいなんだよ」
「勝手な事? もしやお主何か知ってはいけぬものをしったな」
「ああ。何が百年祭りの為の生贄だ。お前がやっているのはただの人殺しだ」
「人殺し? はっはっは、何を勘違いしておる。あれは立派な天罰ではないか。罪ありし者は神に殺されても当然の話ではなかろう」
シラを切る婆。その態度に俺は怒りを我慢できなかった。
「ふざけるな! あの祭壇の下でどれだけの人の涙が流れたと思っている。その人達の想いが分からないのか!」
「うるさいのう。そんなに許せないなら、私の元に来るが良い。まあ、来れればの話じゃがな」
そう婆が言ったと同時に、部屋の地面が突然揺れ出す。何だ何が起きて……。
「って、おわっ!」
地面から何かが生えてきたので、俺は咄嗟にそれを避ける。生えてきたのは何と巨大な棘。あんなの刺さったらひとたまりもない。
「この屋敷はのう、昔から忍びの特訓の場として使われておる。それを忍びでもないお主が突破できるか、見ものじゃのう」
「くっ」
避けられたのを一安心する間も無く、次の罠が襲いかかる。俺はそれを何とかかわして部屋を出た。だが部屋を出た先で待っていたのは、
「何だよこれ」
廊下全てに罠が仕掛けられている、いかにも突破できなさそうなとても危険なもの達の数々だった。
「さあ、お主の力、見させてもらうぞ」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
小屋で休憩を終えた私達は、早速外に出て祭壇を探しに行動を始めた。三人それぞれ別々の場所を探し、何か有力なものを情報を得たら、それを共有する。その間もできる限り敵に見つからないという、少し難しい捜索だったり
(知るのに一番手っ取り早いのは、一番偉い方に聞くのが早いけど)
そんなの教えてもらえるわけないので、隅々を探索。その間にも見つからないように、何とか頑張った。その道中、
「何ですかこれ」
私は里には似合わないような大きな屋敷を発見した。ここなら何か情報を得られるだろうか。
(不法進入だけど、今は気にしなくていいですよね)
どうしても気になった私は、そこに足を踏み入れた。
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