魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第95陣信じて待つその先に 後編
二人で相手しても、敵はかなりの力を持っていた。おまけに二人とも体力を消耗しているし、この火の中に俺が慣れていてもノブナガさんが慣れていない。
「ノブナガさん……大丈夫ですか?」
「まだ、ゲホッ。大丈夫です」
あれからそんなに時間が経っていないのに、お互いの消耗は激しかった。それはあちらも一緒で、与えられても残り一撃。そんな状態だった。
「これで終わりにするぞ、全部」
「お主達にそんな力はもう残っておらんのは見て分かる。じゃからこそ、ここは一時休戦とはいかぬか? この炎ではまともに戦えぬ」
「そういうわけには、いかないんだよ! ノブナガさん」
「はい」
二人で同時に斬りかかる。あちらもそれを察したのか最後の一撃に入る。そして三つの刃は交錯し、
「がっは」
三人に傷を負わせた、どうやらこの戦い、簡単には決着がつかないのかもしれない。だけど俺とノブナガさんにはもう体力なんて……。
「残念……じゃったな。私は簡単には負けられぬ。この里を統べるものとして、簡単には……」
そう言いながら、婆は近くの窓から飛び降りる。あの傷でこの高さから飛び降りるなんて、普通は死ぬ。まさか自殺したのか?
「ノブナガさん、俺達も早くここから……」
逃してしまったからにはどうしようもないので、俺はノブナガさんに声をかける。だけど反応がない。
「ノブナガさん?」
慌てて心臓の音を聞いてみる。よかった、気絶しているだけか。でもこれで一つ問題が発生する。倒れたノブナガさんを連れてここから脱出しなければならない。しかももうすぐ崩れてしまいそうなこの場所から。
(ちょっとマズイかもな)
俺も先程の攻撃で傷を負ってしまっている。だからまともに動けない。一人を担ぐとなると、尚のことだ。
「いや、諦められるか」
こんな所で死ぬわけにはいかない俺は、頑張って体を動かす。早くここから、出ないと。
「ヒスイ……様? 私達今どうなって……」
移動中にノブナガさんが目を覚ます。今のこの状況が理解できてないようだ。
「今俺達は屋敷から出ようとしています。けど、この炎の回り方だと時間もないです」
「じゃあ私達……」
「死にません。いや、絶対に死なせませんから」
自らを鼓舞するかのように俺はそう呟く。そして出口が目の前までやって来たところで……。
「やっと……出口……」
ようやく出れるという安心感からか、そこからの事をほとんど覚えていない。ただ一つ言えるのが、目を覚ましたらいつもの安土の天井が目に入ったことだった。
(あれ? ここ……)
ようやく帰ってこれた俺の場所。ただそこにノブナガさんの姿はなかった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「翡翠! よかった無事で……」
翡翠が無事に私達の元に帰ってきたという知らせが入ったのは、翌日の早朝だった。ネネとボクっ娘の忍者が翡翠を抱えて帰還。私はそれを発見するなり、翡翠の元へ駆け寄った。あまりの嬉しさに涙が止まらない。
だけどその私とは裏腹に、ヒデヨシは何かに気づいたかのように、こう言った。
「ねえ二人とも、ノブナガ様は?」
その言葉を聞いて、私の涙が止まる。そうだ、そういえばノブナガさんがいないような……。
「ノブナガ様は……見つかりませんでした」
その問いに対して、最初に口を開いたのはネネだった。帰還したというのに、彼女の表情らどこか暗く、一気に場が静まり返る。
「見つからなかっ……た? どういう意味よネネ!」
「分からないんです。誰も……。ノブナガ様を見ていないんですよ、唯一分かるとしたらヒスイくらいかもしれないけど、それもどうか分かりません」
涙を我慢しながらネネは言う。いったいこの数日間で彼女達の身に何が起きたのだろうか?
(それを翡翠は知っているの?)
押し寄せる不安に私は翡翠に問う。だけどその答えは勿論帰ってくるわけがなく、私達の間には重い空気だけが流れ続けていた。
「と、とりあえずヒッシーの治療をして、それからこの話はしよう」
「は、はい」
翡翠を背負ったままネネが運んでいく。彼もかなりの傷を負っているみたいだけど、大丈夫かな。心配だ。
(翡翠のこの怪我、そしてノブナガさんの行方不明って、本当に何が起きたのよ翡翠)
結局翡翠が帰ってきたのに、喜ぶこともなく皆各々眠りにつくのだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「ノブナガさんが……行方不明?」
目を覚まして一番最初に俺が聞いた言葉がそれだった。あまりの衝撃さに、俺は何も言えなくなってしまう。
「だったら探さないと……」
あの時確かに俺は彼女を連れて出口までやって来ていた。それなのに俺が気を失ってしまっている間に、俺の知らない何かが起きてノブナガさんはどこかへ消えてしまった。その事実が俺に重くのしかかる。
(はやく見つけないと駄目だ……早く)
だけど体は動かせない。先の戦いでの傷が深いからなのかもしれない。
(あの時一体何が起きたんだ?)
今度は必死に思い出そうとしてみるも、やはり思い出せない。
「ヒッシー、具合はどう?」
「いいわけないだろ。ノブナガさんがいなくなったんだから」
「そうだよ……」
いつも元気なヒデヨシですら、かなりのショックを受けている、
(ノブナガさん、本当にどこへ行っだよ)
結局それから三日が過ぎても、ノブナガさんの消息はつかめずに、俺達の不安だけがずっと残り続ける事になるのであった。
「ノブナガさん……大丈夫ですか?」
「まだ、ゲホッ。大丈夫です」
あれからそんなに時間が経っていないのに、お互いの消耗は激しかった。それはあちらも一緒で、与えられても残り一撃。そんな状態だった。
「これで終わりにするぞ、全部」
「お主達にそんな力はもう残っておらんのは見て分かる。じゃからこそ、ここは一時休戦とはいかぬか? この炎ではまともに戦えぬ」
「そういうわけには、いかないんだよ! ノブナガさん」
「はい」
二人で同時に斬りかかる。あちらもそれを察したのか最後の一撃に入る。そして三つの刃は交錯し、
「がっは」
三人に傷を負わせた、どうやらこの戦い、簡単には決着がつかないのかもしれない。だけど俺とノブナガさんにはもう体力なんて……。
「残念……じゃったな。私は簡単には負けられぬ。この里を統べるものとして、簡単には……」
そう言いながら、婆は近くの窓から飛び降りる。あの傷でこの高さから飛び降りるなんて、普通は死ぬ。まさか自殺したのか?
「ノブナガさん、俺達も早くここから……」
逃してしまったからにはどうしようもないので、俺はノブナガさんに声をかける。だけど反応がない。
「ノブナガさん?」
慌てて心臓の音を聞いてみる。よかった、気絶しているだけか。でもこれで一つ問題が発生する。倒れたノブナガさんを連れてここから脱出しなければならない。しかももうすぐ崩れてしまいそうなこの場所から。
(ちょっとマズイかもな)
俺も先程の攻撃で傷を負ってしまっている。だからまともに動けない。一人を担ぐとなると、尚のことだ。
「いや、諦められるか」
こんな所で死ぬわけにはいかない俺は、頑張って体を動かす。早くここから、出ないと。
「ヒスイ……様? 私達今どうなって……」
移動中にノブナガさんが目を覚ます。今のこの状況が理解できてないようだ。
「今俺達は屋敷から出ようとしています。けど、この炎の回り方だと時間もないです」
「じゃあ私達……」
「死にません。いや、絶対に死なせませんから」
自らを鼓舞するかのように俺はそう呟く。そして出口が目の前までやって来たところで……。
「やっと……出口……」
ようやく出れるという安心感からか、そこからの事をほとんど覚えていない。ただ一つ言えるのが、目を覚ましたらいつもの安土の天井が目に入ったことだった。
(あれ? ここ……)
ようやく帰ってこれた俺の場所。ただそこにノブナガさんの姿はなかった。
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「翡翠! よかった無事で……」
翡翠が無事に私達の元に帰ってきたという知らせが入ったのは、翌日の早朝だった。ネネとボクっ娘の忍者が翡翠を抱えて帰還。私はそれを発見するなり、翡翠の元へ駆け寄った。あまりの嬉しさに涙が止まらない。
だけどその私とは裏腹に、ヒデヨシは何かに気づいたかのように、こう言った。
「ねえ二人とも、ノブナガ様は?」
その言葉を聞いて、私の涙が止まる。そうだ、そういえばノブナガさんがいないような……。
「ノブナガ様は……見つかりませんでした」
その問いに対して、最初に口を開いたのはネネだった。帰還したというのに、彼女の表情らどこか暗く、一気に場が静まり返る。
「見つからなかっ……た? どういう意味よネネ!」
「分からないんです。誰も……。ノブナガ様を見ていないんですよ、唯一分かるとしたらヒスイくらいかもしれないけど、それもどうか分かりません」
涙を我慢しながらネネは言う。いったいこの数日間で彼女達の身に何が起きたのだろうか?
(それを翡翠は知っているの?)
押し寄せる不安に私は翡翠に問う。だけどその答えは勿論帰ってくるわけがなく、私達の間には重い空気だけが流れ続けていた。
「と、とりあえずヒッシーの治療をして、それからこの話はしよう」
「は、はい」
翡翠を背負ったままネネが運んでいく。彼もかなりの傷を負っているみたいだけど、大丈夫かな。心配だ。
(翡翠のこの怪我、そしてノブナガさんの行方不明って、本当に何が起きたのよ翡翠)
結局翡翠が帰ってきたのに、喜ぶこともなく皆各々眠りにつくのだった。
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「ノブナガさんが……行方不明?」
目を覚まして一番最初に俺が聞いた言葉がそれだった。あまりの衝撃さに、俺は何も言えなくなってしまう。
「だったら探さないと……」
あの時確かに俺は彼女を連れて出口までやって来ていた。それなのに俺が気を失ってしまっている間に、俺の知らない何かが起きてノブナガさんはどこかへ消えてしまった。その事実が俺に重くのしかかる。
(はやく見つけないと駄目だ……早く)
だけど体は動かせない。先の戦いでの傷が深いからなのかもしれない。
(あの時一体何が起きたんだ?)
今度は必死に思い出そうとしてみるも、やはり思い出せない。
「ヒッシー、具合はどう?」
「いいわけないだろ。ノブナガさんがいなくなったんだから」
「そうだよ……」
いつも元気なヒデヨシですら、かなりのショックを受けている、
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