世界の裏側で愛を叫ぶ!

まひる

序章02

「ド、ド、ドラゴン!?」


神崎寛人。年齢16の普通の高校生なのだがーー。
突如気絶してしまい気づいたら何も無い草原で目を覚ましてしまった。
絶望している暇もなく、目の前にはアニメやマンガの世界と思っていたドラゴンが晴天の空に君臨していた!
「どうすんだよこれ」

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バサバサと音を立て弱者を見るような軽蔑したような赤い目。全身赤色の"赤龍"。早く逃げ出したくなるような殺気。
火を吹いたり、飛びかかってくることもない。
こちらの動きを見ているようだ。
「ま、まじかこれ」余りの迫力に開いた口が動かない。それどころか手、足、体さえもピクリとも動かない。
周りは何も無い草原と役に立たない木一本。
逃げることも隠れることも出来ない。
そしてドラゴンを目の前にして非現実的(リアル)な妄想を目にして戦うなどありえない。
諦めるしかなかった。認めるしかなかった。
この世界の事をーー。
寛人の両膝は絶望するように地面に落ちた。
「くそ、くそ、何なんだよ。この世界は!人一人倒せない俺にこんな奴どうしたらいいんだよ」
それは心からの叫びだった。訳の分からない世界にぶち込まれ、非現実的な物見せられて。
人口的に作られたような隙間ひとつ無い草原の草を、雑草を、感情のままにむしり取った。この世界に足掻くように。
「グォォォォーーッ」
ものすごい勢いで声を上げるドラゴン。いや雄叫びだろうか。
唾の混じった風は、周りの草という草を桜風吹のように蹴散らした。
そしてドラゴンは口を開きブラックホールの様に宙を舞った草を吸い込んでいく。
これはあれだ。よく敵が技を出す前に周りの「気」を集め力を蓄えているやつだろう。寛人は絶望の中まじでどうでもいい解説をする。
「やばくないか?」
落とした膝は思ったよりすぐ上がり、逃げの体制をとる。しかしそれよりも早くドラゴンの口から高熱の"ブレス"が飛んで来る。
「やばい、やばい、どうしたらいいんだ!?えーと、えーと」
走るのを辞めブレスの飛んで来る数秒必死に考える。
しかしどんなものでも溶かす高熱のブレス。スピードは遅いが、当たれば即死。
寛人は必死の覚悟で暗闇の中をもがく様にして言った。
「ーーー今までありがとうーーー。」
もう二度と繰り返したくない過去。反射的に思い出してしまう記憶。
「くそ、俺にはまだやらなくちゃいけねぇ事があるんだよ!」
思いっきり叫び。
「邪魔すんじゃねぇ!!」
体を180度回転させ右足を力強く踏み出し、
思いっきり右手をブレスに向けて打ち出した。
全てを薙ぎ払うように。
全てを守るように。
全てを壊すように。
・・・・。

コメント

  • ノベルバユーザー161484

    最高です‼応援してます!!

    2
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