世界最強都市"ヨミ"の魔王

もちあ

第11話 雪斗と雪斗の力

 雪斗達は、地上へとつながる穴の中を進んでいた。
 その為、今は【ツキミ】がいない。しかしちゃんと会話はしている。約10分間進み続け、地上に着いた。【ツキミ】もそのタイミングで立体映像になる。【ツキミ】は(腕時計)この世界用に改造してあるので、この世界の地図や食べ物、魔物の事などは学習済みだ。

「やっと着いたぜ、結構長かったからな…」
『お疲れ様です!』
「【ツキミ】ここはどこだ?見た感じ俺達は、森の中に迷ってしまったようだけど……」
『ここは、[ピルシャ森林]と呼ばれているLv.5程度の魔物がでる森です。後、この近くには商業国「ザ・プルーン」があります。まずはそこに向かいましょう』
「ああそうだな。それと、とりあえずここら辺の魔物を殺しておこう。魔法を使えるとしても、実際に戦ったことがあるわけじゃないからな…ここはLv.5の魔物が出るらしいから丁度いい」
『とりあえずザ・プルーンに向かいましょう。距離的に後10㎞です。今は10時24分19秒なので夕方ごろには着きます』
「分かった。んじゃあ、とりあえず進むか。魔物がどんなやつなのか楽しみだぜ!」

 ザ・プルーンに向けて出発してから15分後…

「ん?あの木の上にいる虎みたいなのは何だ?」

 雪斗が見たのは、全身を花やツタなどで覆った虎だった。

『あれは魔物ですね。名前は「フォレストタイガー」です。主に自然魔法を使うLv.6の魔物です。この森の中では、どっちかというと強い部類です』
「ウォーミングアップでいきなり上級の魔物かよ…楽しみだぜ!!!っと、最初は弱めの魔法でいいか…“ファイア”」
『グゥァァァァアアア』
「へ?……弱くね……」
『いえ、雪斗様が強すぎるんです』
「いやいやいや、流石に弱すぎでしょ、いくらなんでも……」
『それはやはり、空間竜のマナが凄まじかったたのでしょう…なにせ七竜のすべての竜のLv.はMAXですから』
「まじかよ…って事は、この世界での俺って強いんじゃないのか?」
『雪斗様の力はすでにLv.7…新上級魔法師です。恐らく魔法に慣れていないだけで、慣れればLv.8の力はあるでしょう。さらに今後も強くなるのであれば、Lv.MAXだって夢じゃありませんよ!』
「まじか…空間竜に感謝だな」
『とにかくあの虎の魔物のマナストーンをとりましょう。調べた結果「フォレストタイガー」の固有魔法は“植物生成”です。自分が決めた位置に植物を育てることができます』
「バトルには向いていないのか……」
『そんな事はありません。例えば相手の動きをツタを使って封じ込めたりできます。唯、森の中でしか使えません』
「まぁ、4分の1ぐらいは埋め込んでおくか」

 その後も次々に魔物を倒していき、夕方までには30匹を超えていた。その中にこの森の主らしき熊にも出会ったが、秒殺だった。そして商業国「ザ・プルーン」に着いた。街の中は大きな壁に囲まれており、門の近くには門番らしき兵隊が2人いた。

「こんばんわ。この国へは観光が目的ですか?それとも滞在ですか?」
「森で魔物を倒した、金に帰る場所はどこだ?」
「それはお疲れでしょう。とにかくこの国に入るには、身分証となる“ステイタスカアド”が必要です」
「持ってない」
「!では、どこから来たのですか?」
「森」
「君が、住んでいた村の名前は?」
「知らん…………ってゆーか、さっさと入らせてくれないか…俺は話し合いが嫌いでねぇ、そろそろキレちまうから、早く中に入らせてくれないか?」
『フフッ、流石雪斗様です』

 すると、さっきまで穏やかだった兵隊たちの顔が、だんだん敵を見る目になっていった。おまけに口調も変わっている。

「お前さん、ちょっと調子乗りすぎではありませんか?どこから来たかさえ教えれば、中に入れるんですよ」
「だから森から来たっつってんだろ」
「それじゃ中に入れませんねぇ……とにかく、痛い目に会う前にどっか行くか、“ステイタスカアド”を出しな」
「お前は敵か?」
「ん?誰の敵だって?     ああ、もしお前が“ステイタスカアド”を出さなかったらそんときゃあ俺はお前のて、『ボゴォオ』!?」
「そうか、そうか、よーくわかった。とりあえずお前らは、俺の敵なんだな」
「ヒィィィィイイ」

 兵隊2人は門の中に消えていった。

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