世界最強都市"ヨミ"の魔王

もちあ

第7話 雪斗と雪斗の過去

 今から5年前、その時の雪斗は小学6年生だった。その時の雪斗は、今の雪斗とは真逆と言っていいほどの性格だった。喧嘩になれば必ず勝つ、闘った相手は大人でも必ず体のどこかが骨折以上になっていた。そして、そんな絶対的魔王の雪斗が一番嫌いだった言葉が、『敵』だ。
 雪斗は、喧嘩になると必ず……

「お前は敵か?」

 と言った。その問いに頷いたり、無視したり、YESと言った『敵』は皆、見るに耐えない姿になっていた。
 しかし雪斗は、『敵』には容赦ない代わりに、ものすごく仲間思いの優しい奴だ。しかし、雪斗の仲間と認めてもらうには、ただ、雪斗に媚びるだけじゃダメだった。雪斗が自分の目で見て、仲間を決めていた。大体、100人の内1人雪斗が、仲間と認めた奴が現れたらいい方だった。普通は、500人に1人の割合だった。実際、あの頃の雪斗の仲間と呼べる存在は、3人だけだった。もしその3人に『敵』が少しでも触れたら…………まぁ、とにかくボコボコにされた。正直雪正も、雪斗の性格にはものすごく困っていた。ほぼ毎日、家に雪斗がボコった相手の両親が来た。しかし、大人相手でも容赦しない雪斗は、家に来た大人達を言葉と暴力で脅して、帰ってもらっていた。雪正は、科学の力でなんとかしようとしたが、直ぐに言葉と暴力でその計画をぐちゃぐちゃにされた…

 そんな雪斗に事件が起きたのが

 2095年10月25日

 この日が、雪斗が初めて日だった。
 この日も雪斗は、仲間の3人と森の奥で待ち合わせしていた。この時代での森というのは、ほとんどが人工的に作られた森だった。天然の木は、もうほとんど残っていなかった。雪斗は、待ち合わせ場所の森の中でも特に大きな木にたどり着いた。その後だった、雪斗の目の色が徐々に白と黒から、と黒になったのは…そう、その仲間の3人は、殺されていた。背中からは、血が溢れている。その直後、雪斗の周りから、約10人程度のガタイのいい大人達が森の中から出て来た。そのもの達の顔は知っている。これまで雪斗が、闘って来た大人達だ。するとその内のリーダーっぽい人が前に出て来て…

「よぉ、このクソ野郎。 …俺らは、お前に負けてからなぁ、ずっとずっと、お前を恨んでいたんだよ~   もちろんタイマンでお前に勝てるとは思っちゃいねぇからなぁ。とりあえずあんたの仲間って奴を殺してやったぜぇ、お前の仲間っていうからどんなやつかと思ったら、全然強くねぇじゃねぇかぁ……まぁ、そういうのはどーでもいーさ……俺はあんたが憎いんだよ!!!子供の癖にイキりやがって、子供は大人の言うことを聞いてりゃいいんだよぉ、まぁっ、お前に恨みを持ってる奴を探すのは、結構簡単だったな~
 クックックッ  ……ああ、今から楽しみだぜぇぇぇ!!!さあこのクソ野郎、とっとと、降参ッ!?」

「ウルセェ…………テメェらのカオなんか見たくもナイ……とっととキエロ!!!」

「ひっ!!!だっ、だいじょーぶだ!みんなで行けば勝てっっ!?……ぁぁ…」

 その瞬間、『敵』のリーダーの首から上は、森のどこかへ消えて行った……
 その後も、雪斗の暴走は止まらない。『敵』を躊躇無く殺していく姿は、まさに人間に憑依した悪魔のようだった……

「ひっ……たっ、、たすけぇぇぇぇ………………」
「あぁ、あぐぅ…まぁ、め……」
「やっ、ヤメろォォォ!!!」

 実に、30秒。雪斗が『敵』を全滅させた時間だ。そして雪斗は、膝から崩れ落ちた。人を殺したから怖くて崩れたんではない。雪斗は、人を殺している時、物凄くのだ。人を殺す時の感覚、音、悲鳴。何もかもが雪斗にとって、心地良かったのだ。
 その後、雪正が警備ロボットから事情を聞き、森へと向かった。そこにいたのは、悪魔…いや、だった。直後、気絶した雪斗を研究所まで持っていき、すぐさま手術した。まず、雪斗の脳からこれまでの記憶を抜き取り、代わりに新しい記憶を埋め込んだ。しかし、この手術の効果は、歳をとるにつれて薄れてくる。また、雪斗にとって当時を思い出すような過激な出来事が雪斗の周りで起きてしまっては、直ぐに思い出してしまう。なので父、雪正は、雪斗に学校に行かせる事をやめ、代わりに開発者になるように進めた。その後の雪斗の成長は、雪正も驚くほどに早かった。直ぐに、世界の中でもトップクラスの開発者になっていった……

 そうして、その日から5年が経った………………


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