世界最強都市"ヨミ"の魔王

もちあ

第5話 雪斗とお父さん&隕石の落下

「!?」

(なんで、どうして……俺はいるんだ!)

「……雪斗、ちょっと話がある。このオーラボールの事でだ……」
「うん…」
「もし、超高圧圧縮砲ゼロヴァニッシュが隕石に対抗できずに終わったら、このオーラボールを持って、私の研究室に行け。………………そこに、【ツキミ】がいるから…とりあえず、聞けばわかる」
「!?」
「…………」
「【ツキミ】がいるのか?でも、なんでお父さんの研究室に……」
「それは、【ツキミ】に聞いてくれ。まぁ、今は超高圧圧縮砲ゼロヴァニッシュの最終調整をしよう」
「……分かったよ」

 雪斗は、この時これまでのお父さんへの疑惑が、少し凶悪なものへと変わっていった。唯一の友達、【ツキミ】を勝手に使ったという事実に、雪斗は我慢がならなかった。

 7月10日午前9時31分56秒

 肉眼でも、隕石の姿を捉えられるまでになった。
 これまでも、隕石が落ちてくるなんて嘘だと信じていた人達も、あの空に浮かぶ、小さな球体を見れば、この隕石衝突が、嘘じゃないとわかるだろう。それと同時に、もう、死んでしまうと分かってしまい、そのもの達は皆、走馬灯が見えているだろう。だって、俺もそうだったから……緊張はしている。心臓の刻むリズムがどんどん早くなって行くのがわかる。でも、なぜか怖くはない。雪斗はまだ知らない。自分自身のは、まだ心の底で眠っている事を……

「あれが隕石か、とうとう俺達死ぬんだな……そういえば、【ツキミ】は、お父さんの研究室にいるんだったな、今から取りに行ってもいいよな。どうせ…最後なんだから、最後くらい友達と話しながら死にたい…」

 そう言い、雪斗は研究所へと、向かった。

「お父さんの研究室は地下3階だからな、今日は階段で降りよう」

 研究所には、誰もいない。いつもの混乱が夢の様に感じるくらい静かだった。お父さんの宣言で、皆、家族の所へ帰ったからだ。『最後くらい、一緒に居てあげてくれ…』との事だ。

 そして、お父さんの研究室に入った。

(【ツキミ】は、ここにいる、何としてでも探し出す‼︎!)

 雪斗は、無我夢中にお父さんの研究室を荒らしているが、【ツキミ】を見つける気配はない。そして、【ツキミ】を探し始めてから30分が経った時。

「ドゴォォォオオ‼︎‼︎」
「!?」

 雪斗は分かった、それが隕石が落ちてきた音だと、雪斗は即座に腕 時計を見る。いつもなら、【ツキミ】に聞くのだが、今は居ない。

([午前10時3分11秒]予定時刻より30分早い!おそらく隕石のかけらが落ちてきたんだな…)

 雪斗はすぐに研究所を出ようとしとした。しかし……

「!?開かない」

 ドアは開かなかった。おそらく、隕石のかけらが落ちたせいで、研究所が崩壊し始めているのだろう。
 雪斗は、そう考えるとすぐに、研究所にある、一つの箱を漁りだした。その箱はおそらく、お父さんの開発した道具か、その試作品などをを入れた箱だろう。雪斗はその中からドリルみたいなものを出すと、ドアを削り始めた。普通のドリルよりはマシだが、地面を掘るには時間がかかりそうだ。
 雪斗は、ドアをくり抜くとその穴から、廊下に出て、階段を上がって言った。幸いにも、瓦礫はドアの前から右にかけて落ちて居たので、階段には、瓦礫が落ちてきてない。雪斗は、外の事を心配しながら、自動ドアを通り抜けた…

 外は、『悲惨』という言葉が当てはまる状況だった。

 建物は崩壊し、所々燃えている。地面は割れており、山では、土砂崩れが起きていた。何より、目の前には、壊れた超高圧圧縮砲ゼロヴァニッシュが、置いてあった。もちろんぐしゃぐじゃになって…….そして、1人の人が雪斗の足元に転がっていた。上半身だけの人が……

「うっ…」

 雪斗は、吐きそうになった口を押さえつけ、目を閉じた。自分もこうなる事を覚悟をしたように…しかし、

「ゅ…きと……」
「!?」

 雪斗は、すぐに斜め右にある瓦礫の山を見た。その声の主は、お父さんだったからだ。
 頭からは、血が出ている。雪斗は必死に、瓦礫をどかして、お父さんを起こした。

「お父…さん……」    
「ハァ…ハァ……いんぜ、きの……かけ、らがおちてきた……ゆき、と……これを、もつて……ゲホォ ゲホォ」
「お父さん‼︎‼︎」
「これを、もって……わた、し、の…けんきゅ、うしつのおくへ……いけっ…」

 お父さんから渡されたのは、オーラボールと、お父さんの研究室の奥の部屋の鍵だった。 お父さんの研究室の奥に部屋があることは知っていたが、そこに行こうとすると、いつもお父さんに止められる。しかも、ものすごく頑丈に出来ているから、壊すこともできない。おそらく、先程のドリルでも貫けないだろう。

「お父さん、どうして、なんでっ……どうせ死ぬなら、お父さんと死にたいよ……」
「おま、えは……しなな、い」
「え?」
「わたしの、、かいはつし…たかぷせ……るがある……それ、にはいれば…もしかし……たら、いや、ぜつたいに……たすかる……だか、ら………はや、くわたし……のけんきゅ、しつに行け」
「お父さんは?どうするの?」
「わた、しは…もういい」
「でもっっ……」
「ハァ…ハア…ゆき、と……………………………早く行け!!!!!」
「!?」
「さよならだ」
「ありがとう、お父さん。ありがとう、ございます。ありがとう、お父さん………………さよなら」

 雪斗は、研究所へと走っていった……

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