妖怪狩人
第2話 里見が狩りをはじめるキッカケ
森原総合病院
医者「里見君、若い君にこんな話は酷だと思うが、落ち着いて聞いてほしい。検査の結果、今回できた腫瘍は悪性で、できた場所が悪く手術も不可能だ。早急にご家族と連絡をとって、君自身も覚悟しておいてほしい。
ただ希望がないわけではないよ!投薬治療で病状の悪化を遅らせることはできるかもしれない。
治療方法としては・・・」
医者が今後の治療方針について詳細を説明していたが、里見の耳には全く入ってこない。
里見の心の声(ついにきたのか・・・俺は、死ぬ、のか?
まだ17だぞ?・・今までの治療も手術も結局は無駄かよ)
医者の話はまだ続いていたが、1番大切な事を聞くために里見は話をさえぎった。
里見「・・・先生!僕の余命は実際どのくらいなんでしょうか?」
医者「何もしなければ、あと半年もつか分からない。でも投薬治療が上手くいけば、1年はもつかもしれないんだ!」
(薬の副作用に耐え抜いても1年で死ぬのかよ。・・・死にたくねぇ。)
里見「すみません、今日はここで失礼します。今は、今後の事を冷静に考えられそうにないです。」
医者「そうだね、日を改めよう。ご家族・・・君のお父様やお兄さんにも早めに伝えるんだよ?」
医者からの言葉に軽く会釈で返し、診察室をでた。
里見は幼少期に悪性腫瘍が見つかり手術をして以降、再発、入院、手術を繰り返していた。8歳の頃には今回同様に余命宣告を受けたが、奇跡的に完治。一時は健康なまま安定するのかも、と希望がもたれたが、一年後にまた再発。今日まで手術は5回、入院や投薬治療は数え切れないほどだった。
力なく病院内を歩きながら、絶望の中で8歳の頃の記憶を思い出していた。
里見「あの時は今ほど死が怖くなかったな・・・。むしろ体の不調が辛くて、いっそ死んでしまえたらなんて考えたっけ。今は体調がさほど辛くないから実感わかねぇんだよな。
医療でなんとも出来ないなら、あの時の奇跡をまた起こすしかないんじゃないか・・・?
あの時の、
【妖怪の力】!
今度は偶然にじゃなくて、自分から動くしかないかもしれない・・・でもちくしょう、どう動けって言うんだよ!」
里見は藁をもすがる思いで、当時の不思議な体験にヒントがないか順を追って思い返した。
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