この世界の頂点へ ~Shangrila war ~

田中ももんが

第一章 3 出発

「うわーー!おっきいね~!」
窓側に座っている音歌が楽しそうにはしゃいでいる。
そういえばもうすぐ着くってアナウンスがあったな。
俺も見てみようと、反対側の窓側の座席へと移動した。
こういうこと普段ならできないからな!役得、役得!
ずっと話をしていたせいで気づかなかったが、日はとっくに落ちていた。
空とは対照的に、シャングリラは本当に幻想郷のように光輝いていた。
「きれいだ…」
俺はそう呟いたまま、シャングリラをじっと眺めていた。
「当機はまもなく着陸します。座席にしっかり座り、シートベルトをお閉めください。」
そろそろ着陸するらしい。俺は音歌の隣に戻り、シートベルトをしっかり閉めた。
飛行機に乗るたび思うのだが、自分が乗ったときだけ墜落しそうな気がするのはなぜだろう。そんなに乗ったことないけど笑
そんなことを考えている間に飛行機は着陸し始めていた。
本当に無事に着いて良かったと俺はホッと息をはいた。
音歌は着陸の間ずっと俺の手を握っていた。ずっと目をつぶっており、とても怖いというのが俺にも伝わってきた。
「学戦都市シャングリラに到着いたしました。」
俺はシートベルトをはずし座席を立つ。
音歌も笑顔を取り戻し、広げていたお菓子などをせっせと片付けていた。
俺も忘れ物がないか確認し、飛行機を出た。俺を追いかけるように慌てて音歌も着いてきた。
「お待ちしておりました御堂様、桃姫様。さ、こちらへどうぞ。」
飛行機をおりた俺たちを待っていたのは、ホテルマンのような格好をした男の人だった。男に連れられ、俺たちは建物の中へ入っていった。
「うわーー!ひろーい!」
建物に入るやいなや音歌ははしゃぎだした。
その気持ちも確かにわかる。俺も走り回りたいもん笑。それくらいとても大きなホテルだ。最近完成しただけあって、内装もとてもきれいだ。そういえば入り口に【JAPAN】と大きく書かれてあったな。とするとここは…
「あの~。ここは?」
「失礼いたしました紹介が遅れましたね。私は田口と申します。御堂様達のお世話役をさせていただきます。まず、ここは学戦都市シャングリラの日本人専用の寮となっております。日本人で選ばれたのは16人ですので、16人での共同生活となっております。」
マジか。たった16人でこの広さ!?ってくらい広いな。
ん?待てよ、16…なんか引っ掛かるな…
「あの~!日本人で選ばれたのは15人じゃなかったんですか?」
いつの間にか戻っていた音歌がそう言った。
確かに俺が見たニュースでは15人って言ってたな。
田口さんはそれを聞くと、あ、と小声で言った。
「あぁそうでしたね!うっかり間違えたようです。誠に申し訳ございません。」
うーん実に怪しい。まぁ今はそんなことどうでもいいか。それよりも聞きたいことが山ほどあるからな。
「そうですか。気をつけてくださいね!それよりもシャングリラでの生活について詳しく教えてくれませんか?」
「はい。以前お渡しした入学案内にも記載されていたとおり、シャングリラは全寮制となっております。ここは日本人のかた15名の寮となっており、御堂様のお部屋は307号室。桃姫様のお部屋は308号室となっております。出発前にいただいたお荷物も部屋へと運んでおります。部屋の鍵ですが、ご自身のシャングリラパスで開けるようになっております。寮内にある施設も同様にシャングリラパスでご自由にお使いいただけます。その他何かご不明な点などございましたら寮内にいる、私と同じような格好をしている者になんなくお聞きください。それとこれは寮内の地図でございます。どうぞご覧ください。」
「ありがとうございます。それで学校は?…」
「私としたことが何度もすいません。学校は2日後からのスタートとなりますので、明日は学戦都市シャングリラ内の案内をしたいと思っております。」
「そうですか。わかりました。じゃあまた明日お願いします。」
「はい。それでは。」
と、一礼をして、田口さんはいってしまった。
「良かった!要くんと隣だよ!遊びに行ってもいいかな!?」
「もちろんいいぞ。じゃあとりあえず部屋まで行くか。」
うん、と音歌は言い、俺達は部屋に向かった
しかしこれは寮とはいえないな。俺たちは田口さんにもらった寮の地図を見ながらそう思った。ビリヤード場、ボーリング場ダーツ場。
カラオケや大浴場、映画館まで!あ!ここにはプールもある!
おいおい、ここは天国か!
他にもまだ施設はあったが、音歌が眠そうにしていたので俺達はとりあえず部屋に行くことにした。確かに俺も疲れたし、眠いな。
3階に着き、音歌に別れをつげ、俺は自分の部屋へ入った。
うん。思った通り広い。部屋のなかにも大きな浴槽がある。テレビは家にあったやつの2倍近くある。おまけにベットは超フカフカで、一生住める!と言っても全く過言ではない部屋だった。
俺はこれまた大きなソファーに座り、そっと目を閉じた。
そういえば来る途中、音歌以外の日本人に会ってないな。
まぁこれだけ広いんだもんな、きっと皆さん施設を満喫してるんだろう。
聞けば、俺たちが最後の到着だったらしいしな。
一番早い人は1週間前にはもういたらしい。
俺ももっと早く来ればよかったな。
「はぁ…」
広い、というのは嬉しいが、なんだか寂しいな。
「美咲…母さん…今頃何してるかな…」
ついつい弱気になってしまう。早く慣れなければ。
そう思っていると、
ピンポーン
と、俺の部屋のチャイムがなった。
音歌か?眠そうだったけどあまりの部屋の大きさに目を覚ましたのか?
そう思いながら、俺はドアを開けた
「はい、どなたですか?」
「こんばんは、御堂要くん!」
そこに立っていたのは音歌ではなく、見覚えのない、男だった…






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コメント

  • 田中ももんが

    貴重なご意見ありがとうございます!
    これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!

    3
  • ヒデ

    今日初めて拝見させていただきました。
    最後の行がどの話も次回が気になる表現をしてて、とても好きです!
    これからも楽しみにしてますので頑張ってください!

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