異世界で魔法兵になったら、素質がありすぎた。
生きていく世界。
鈍い音を立てたのは、カザトでもなく、アカリでもほかの誰でもなく、モンスターの前足だった。モンスターの前足は、膝にあたる部分から、切り落とされていた。断面からは、血が大量に吹き出る。
そこからは、何が起こったのか、カザトには理解出来なかった。モンスターのあらゆるところから血が吹き出し、雄叫びがやがて、悲鳴のようなものになる。
「なっ、何が……」
モンスターの頭から血が吹き出し、モンスターが前に倒れ、周囲に砂埃が舞う。
「カザト! 大丈夫?」
尻餅をついていたカザトにアカリが駆け寄り、手を差し出した。
「ぁ、あぁ。俺は、大丈夫……だよな?」
カザトは、自分の体に外傷がないかを確認すると、胸をなでおろした。
すると、倒れたモンスターの砂煙の中から、二人の男の声が聞こえてくる。何やら、二人で言い争っている。
「班ちょー、五秒って言ったじゃないっスか! 六秒経ってますよ!」
「うるせぇな。てか、お前の数え方がおかしいだけじゃねーの?」
「あぁー! 人のせいにしたよこの人!」
やがて、砂煙が晴れ、人影が見えてくる。そして、二十代前半、十代後半と見える男が二人出てきた。
二人とも、白いローブに黒のズボンとブーツと全く同じものを着ていた。唯一違うのが、肩にある数字のようなものだ。
「あっ、そういやお二人、怪我はないっスか? うん、大丈夫そうッスね。いやー、それにしても、班長が手荒ですみませんね。俺、ヒヤヒヤしていましたもん」
「馬鹿か。俺があんなの、間に合わないはずないだろ」
「そんなこと言っちゃて、めっちゃ、全速力だったッスね」
班長と呼ばれた男は、黒髪の短髪に百八十ぐらいの高身長だ。腰には、大きい剣のようなものがさしてあった。そして、もう一人は、金髪で前髪をヘアバンドのようなもので上げており、身長は、百七十前後といった感じだった。
「あっ、あのー、助けていただき、ありがとうございます!」
アカリが頭を下げて礼を言う。
「いえいえ、これが我々の仕事ですから」
長身の男の方が、笑いながら返す。
「やっぱり、あなた達って、魔法兵団の……」
アカリが肩の数字のようなものに目をやり、おずおずと聞く。
「えぇ。最近は攻めてくる魔物が多くなりましたからね。結界も破られやすくなってる」
魔法兵団、結界……また知らないワードだな……ってか、さっきもそうだったけど、魔法が存在するって、どういうことだよ? と、まぁ、一つ心当たりはあるんだが……
カザトが自問自答をしている間、アカリと班長と呼ばれた男が話していた。
普通の人だったら、もうちょと混乱状態が続くのだろうが、カザトは、もう抜け出していた。
俺の考えが正しければ……
「やっぱり、王都に行くのが一番か。俺の仮説はそこで証明されるだろうからな……」
カザトは、一つ、思い当たる節があった。それも、王都に行けば証明されると踏んでいた。
「カザト……どうかした?」
「いや、何でもない。それより、早く王都に行きたい。そこで知りたいことが山ほどあるんだ」
今まで座っていたカザトが、立ち上がる。
それに気づいた男が、カザトに声をかける。
「王都へ向かいますか? なら、我々が護衛しまょう。今は、ここも危険ですから……とりあえず、自己紹介を、私は、カルガス・ルナーです。で、こっちが……」
「ライナス・コルナーっス!」
二人がそれぞれ名乗り、胸に手を当て、敬礼のような姿勢をとる。
「私は、アカリよ。呼びたいように呼んで」
「俺は、アマミヤ・カザトです。よろしく。それと、俺、堅苦しいの苦手だからタメ口で頼む」
そう言って、カザトが敬礼の代わりに手を差し出す。そして、カルガスがその手を握り返す。
「あぁ、よろしく」
幸い、王都への入口はすぐそこだった。
平原に十メートルを超える扉がたっている。
「うぉぉぉ! でけぇ! これ、どうなってんの?」
カザトが、扉を見上げて叫ぶ。
「本当に、何も知らないんだな……これは、王都への入口、魔道門。魔力を流せば、登録されている場所まで繋がる」
そう、この扉の向こうには、何も無く、平原に扉飲みが存在していた。
「へぇー、どこでもドアみたいな感じか……」
「じゃ、行こう」
カルガスが後ろを振り向き、三人に声をかける。
しかし、アカリは、それ以上に別のことがきになっていた。
「カザト、そのどこでも何とかってなに? 」
「あっ、オレも思ったっス」
ライナスも便乗する。二人がカザトに問う質問、勿論、カザトは知っている。が、あえてカザトは答えなかった。
「さっ、さぁ? それより、早く行こうぜ! 俺、これを早くくぐってみたい!」
そう言って、カザトが扉に向かって走っていく。
その背中をアカリとライナスが、見つめる。
そして、次に互いに見合って、首を傾げる。
「「なんか、釈然としない」っス」
二人の呟きと同時に、王都への扉が開く。
「カザト、ここが俺たち、魔法兵団の本部がある、王都、グラントリスタだ!」
そこからは、何が起こったのか、カザトには理解出来なかった。モンスターのあらゆるところから血が吹き出し、雄叫びがやがて、悲鳴のようなものになる。
「なっ、何が……」
モンスターの頭から血が吹き出し、モンスターが前に倒れ、周囲に砂埃が舞う。
「カザト! 大丈夫?」
尻餅をついていたカザトにアカリが駆け寄り、手を差し出した。
「ぁ、あぁ。俺は、大丈夫……だよな?」
カザトは、自分の体に外傷がないかを確認すると、胸をなでおろした。
すると、倒れたモンスターの砂煙の中から、二人の男の声が聞こえてくる。何やら、二人で言い争っている。
「班ちょー、五秒って言ったじゃないっスか! 六秒経ってますよ!」
「うるせぇな。てか、お前の数え方がおかしいだけじゃねーの?」
「あぁー! 人のせいにしたよこの人!」
やがて、砂煙が晴れ、人影が見えてくる。そして、二十代前半、十代後半と見える男が二人出てきた。
二人とも、白いローブに黒のズボンとブーツと全く同じものを着ていた。唯一違うのが、肩にある数字のようなものだ。
「あっ、そういやお二人、怪我はないっスか? うん、大丈夫そうッスね。いやー、それにしても、班長が手荒ですみませんね。俺、ヒヤヒヤしていましたもん」
「馬鹿か。俺があんなの、間に合わないはずないだろ」
「そんなこと言っちゃて、めっちゃ、全速力だったッスね」
班長と呼ばれた男は、黒髪の短髪に百八十ぐらいの高身長だ。腰には、大きい剣のようなものがさしてあった。そして、もう一人は、金髪で前髪をヘアバンドのようなもので上げており、身長は、百七十前後といった感じだった。
「あっ、あのー、助けていただき、ありがとうございます!」
アカリが頭を下げて礼を言う。
「いえいえ、これが我々の仕事ですから」
長身の男の方が、笑いながら返す。
「やっぱり、あなた達って、魔法兵団の……」
アカリが肩の数字のようなものに目をやり、おずおずと聞く。
「えぇ。最近は攻めてくる魔物が多くなりましたからね。結界も破られやすくなってる」
魔法兵団、結界……また知らないワードだな……ってか、さっきもそうだったけど、魔法が存在するって、どういうことだよ? と、まぁ、一つ心当たりはあるんだが……
カザトが自問自答をしている間、アカリと班長と呼ばれた男が話していた。
普通の人だったら、もうちょと混乱状態が続くのだろうが、カザトは、もう抜け出していた。
俺の考えが正しければ……
「やっぱり、王都に行くのが一番か。俺の仮説はそこで証明されるだろうからな……」
カザトは、一つ、思い当たる節があった。それも、王都に行けば証明されると踏んでいた。
「カザト……どうかした?」
「いや、何でもない。それより、早く王都に行きたい。そこで知りたいことが山ほどあるんだ」
今まで座っていたカザトが、立ち上がる。
それに気づいた男が、カザトに声をかける。
「王都へ向かいますか? なら、我々が護衛しまょう。今は、ここも危険ですから……とりあえず、自己紹介を、私は、カルガス・ルナーです。で、こっちが……」
「ライナス・コルナーっス!」
二人がそれぞれ名乗り、胸に手を当て、敬礼のような姿勢をとる。
「私は、アカリよ。呼びたいように呼んで」
「俺は、アマミヤ・カザトです。よろしく。それと、俺、堅苦しいの苦手だからタメ口で頼む」
そう言って、カザトが敬礼の代わりに手を差し出す。そして、カルガスがその手を握り返す。
「あぁ、よろしく」
幸い、王都への入口はすぐそこだった。
平原に十メートルを超える扉がたっている。
「うぉぉぉ! でけぇ! これ、どうなってんの?」
カザトが、扉を見上げて叫ぶ。
「本当に、何も知らないんだな……これは、王都への入口、魔道門。魔力を流せば、登録されている場所まで繋がる」
そう、この扉の向こうには、何も無く、平原に扉飲みが存在していた。
「へぇー、どこでもドアみたいな感じか……」
「じゃ、行こう」
カルガスが後ろを振り向き、三人に声をかける。
しかし、アカリは、それ以上に別のことがきになっていた。
「カザト、そのどこでも何とかってなに? 」
「あっ、オレも思ったっス」
ライナスも便乗する。二人がカザトに問う質問、勿論、カザトは知っている。が、あえてカザトは答えなかった。
「さっ、さぁ? それより、早く行こうぜ! 俺、これを早くくぐってみたい!」
そう言って、カザトが扉に向かって走っていく。
その背中をアカリとライナスが、見つめる。
そして、次に互いに見合って、首を傾げる。
「「なんか、釈然としない」っス」
二人の呟きと同時に、王都への扉が開く。
「カザト、ここが俺たち、魔法兵団の本部がある、王都、グラントリスタだ!」
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