私【悪役令嬢】の婚約者【王子】を目の敵にしているのは私の親友【ヒロイン】です!?
【避けられぬ運命】
城でのお茶会から数日たったある日。
今日はリリィを屋敷に招いてお茶会をする日であり、先日の城のお茶会についての報告会でもある。庭にある小さなサロンでふたりだけの小さなお茶会。リリィはニコニコと笑顔を浮かべ、口を開く。
「どうだった?城のお茶会」
「どうって。目立たないようにと思っていたのに、ダメだったわ」
「一応、王子の婚約者を決めるお茶会だったのでしょう?行く前から、私にずっと言ってたじゃない。社交辞令のお世辞は言わないだの、かかわらないだのって。なのに、なんでまた」
「お世辞は言ってないわ。したのは挨拶だけよ。でも、トラブルがあったのよ」
お茶会で起こったトラブルを事細かに説明する。リリィは私に関することはすべて、細かく知ろうとする。知っててもいいことないけどなぁ。
「そっかぁ。ラーリアム家のおかげで、ティアは命を落としかけているのね。やっぱり私も、侍女の格好してついていけば良かった」
顔は笑ってるのに目が笑ってないよ、リリィ。侍女としてついてきても、会場には入れないよ?
「ま、過ぎたことだしいっか。それより、王子はどうだった?私の話した通りな感じ?」
「そのままだったわ。挨拶を序列順にしていくから見ていたんだけど、褒められてるのに眉一つ動かさなかったわね」
「そのままかぁ。そこはゲーム通りなんだ。」
「あ、そうだ。私が挨拶したときは少し固まっていたわね。あと、王妃様も嬉しそうな顔してた気がするの。なんでかしら?」
挨拶のとき、私の前までが公爵の爵位をもつ家の令嬢だった。つまり、私よりあとに挨拶をする令嬢よりも未来の王妃に相応しい身分の者ということだ。にもかかわらず、彼女たちの挨拶に興味など一切無いと言わんばかりに表情を変えなかった。王妃様も特に気にするわけでもなかった。
だからこそ、私に対して王子と王妃様がほかの令嬢たちとは違う対応をしたことに驚いた。
「えぇ?あぁ、でも。ティアは文筆家だし、それで知ってるからじゃないかな?」
「それでも、王妃様は私のこと知っててもおかしくないけど、王子は知らないと思うけれど」
「王子は、ティアに一目惚れじゃない?ティアはそこらの令嬢より何倍も可愛いしね」
「えぇ!?あ、ありえないわよ」
そこからずっとリリィは話し続けていた。主に、私について。彼女曰く『ティアは可愛いんだから』『どんなに剣が使えるからって言ったってティアは女の子なんだからね』etc…     
泣いていい?恥ずかしくって泣いていい?あと、リリィのガチな顔怖い……。
ひととおり話し終えると今度は、私がお茶会でつくった詩の話に。
「素敵だったわ。途中まで悲恋かと思ってたんだけど、最後にはお互いの気持ちが通い会った瞬間が特に良かったわ。詩なのにまるで物語のようだったわ」
なんて言ってくれた。いつも、お母様とリリィに出来上がったらすぐに見てもらう。素敵だと、言ってくれる。今度小説にしてみようかな。なんなら、ジャンルのまったく違うものを書こうかな。
噂話もリリィから聞いた。ラーリアム公爵が伯爵まで爵位を落とされたとかエルザ様が謹慎中だとか私の命を狙った者(城に不法侵入した者)を捕まえたとかとか。そんな話をしながら、今日のお茶会も終わった。
夜になって、お父様の仕事が終わり城から帰ってくる。宰相という立場のお父様は、国王陛下に一番近いところにいる。そんなお父様から、お母様と一緒に応接間に呼ばれる。ソファに座って、書類を睨んでいた。こちらに気づくと、お母様を自分の隣に、私を向かいのソファに座るように促す。重々しく、口を開くお父様。
「ティア。お前の婚約者が決まった。王家からのご指名だ。この国の王子であるリリスラード・エルナン殿下がお前の婚約者だ」
頭の機能が一時停止したかのようだった。今、お父様はなんて言った?聞き間違いでなければ、私に婚約者ができたと。それも、王子?
「まぁ!この間のお茶会で決めると聞いてはいたけれど、その時に殿下や王妃様とお話できたの?ティアちゃん」
「い、いえ。挨拶以外は何も…でも、どうして」
「詳しくは聞いていないんだ。すまないね。ティア、これが書状だ」
手渡された書類には確かに、『ティアーナ・ウォーカー侯爵令嬢を王子リリスラード・エルナンの婚約者とする』と書かれている。
なんで!?お茶会でトラブル起こした張本人(実際はエルザ・ラーリアムたちが張本人だが)だよ!?ドレスたくし上げて、レイピアを投げた令嬢だよ!?ホントになんで!?
「でも、嬉しいわぁ。ティアちゃんが王子と婚約ってことは、王妃様と親戚になれるってことでしょう?親友が親戚になるっていいわね」とお母様。
「まさか王家から申し込まれるとは思っていなかった。ティアには自分で将来の相手を決めてもらおうと思っていたんだがな」とお父様。
よくない、全然よくない。リリィ!一番最初に回避しなくてはならない、王子との婚約がなされてしまったわ!!昼間に『特にかかわったりしてないなら、婚約は無いんじゃない?』って話していたばかりなのに!両親ともに喜んでるし、王家からの申し込みだし、無理じゃん。断れないじゃん。
なんて思ってる私に、お父様からさらに爆弾を落とされる。
「これからは、一週間に3日は城へ行って、妃教育があるからな。だがその前に、明後日城へ一緒に行くぞ。王家と顔合わせをするから」
「!?あ、明後日ですか。わかりました」
「ふふっ。ティアちゃん、私も一緒だから大丈夫よ」
百面相してたんだろうな、私。お母様に笑われたし、お父様も顔が緩んでいるし。
『とりあえずこの話は終わり。もう夜遅いから』と言われ、自室に戻る。
「うわぁ。なんでなんで?婚約とか嘘でしょ?」
ベッドの上で、ゴロゴロしながらひとり愚痴る。
とりあえず、もう眠いから明日リリィに手紙を書こう。今日会ったのにね。
「ふぁ。これからのことは、リリィとまた、お茶会をする時に、考えよう、かなぁ」
そのまま寝落ちしました。ドレスのままで。寝てる間にアンナがネグリジェに着替えさせてくれていた。翌日しっかり怒られました。
やっと(?)、婚約しましたよ。
これからどうなるかわからんので、とりあえず次回で顔合わせします。
時間がどんどん早く進んでく。
更新遅くてごめんなさい!遅くても2週間で更新するように頑張ります!!
今日はリリィを屋敷に招いてお茶会をする日であり、先日の城のお茶会についての報告会でもある。庭にある小さなサロンでふたりだけの小さなお茶会。リリィはニコニコと笑顔を浮かべ、口を開く。
「どうだった?城のお茶会」
「どうって。目立たないようにと思っていたのに、ダメだったわ」
「一応、王子の婚約者を決めるお茶会だったのでしょう?行く前から、私にずっと言ってたじゃない。社交辞令のお世辞は言わないだの、かかわらないだのって。なのに、なんでまた」
「お世辞は言ってないわ。したのは挨拶だけよ。でも、トラブルがあったのよ」
お茶会で起こったトラブルを事細かに説明する。リリィは私に関することはすべて、細かく知ろうとする。知っててもいいことないけどなぁ。
「そっかぁ。ラーリアム家のおかげで、ティアは命を落としかけているのね。やっぱり私も、侍女の格好してついていけば良かった」
顔は笑ってるのに目が笑ってないよ、リリィ。侍女としてついてきても、会場には入れないよ?
「ま、過ぎたことだしいっか。それより、王子はどうだった?私の話した通りな感じ?」
「そのままだったわ。挨拶を序列順にしていくから見ていたんだけど、褒められてるのに眉一つ動かさなかったわね」
「そのままかぁ。そこはゲーム通りなんだ。」
「あ、そうだ。私が挨拶したときは少し固まっていたわね。あと、王妃様も嬉しそうな顔してた気がするの。なんでかしら?」
挨拶のとき、私の前までが公爵の爵位をもつ家の令嬢だった。つまり、私よりあとに挨拶をする令嬢よりも未来の王妃に相応しい身分の者ということだ。にもかかわらず、彼女たちの挨拶に興味など一切無いと言わんばかりに表情を変えなかった。王妃様も特に気にするわけでもなかった。
だからこそ、私に対して王子と王妃様がほかの令嬢たちとは違う対応をしたことに驚いた。
「えぇ?あぁ、でも。ティアは文筆家だし、それで知ってるからじゃないかな?」
「それでも、王妃様は私のこと知っててもおかしくないけど、王子は知らないと思うけれど」
「王子は、ティアに一目惚れじゃない?ティアはそこらの令嬢より何倍も可愛いしね」
「えぇ!?あ、ありえないわよ」
そこからずっとリリィは話し続けていた。主に、私について。彼女曰く『ティアは可愛いんだから』『どんなに剣が使えるからって言ったってティアは女の子なんだからね』etc…     
泣いていい?恥ずかしくって泣いていい?あと、リリィのガチな顔怖い……。
ひととおり話し終えると今度は、私がお茶会でつくった詩の話に。
「素敵だったわ。途中まで悲恋かと思ってたんだけど、最後にはお互いの気持ちが通い会った瞬間が特に良かったわ。詩なのにまるで物語のようだったわ」
なんて言ってくれた。いつも、お母様とリリィに出来上がったらすぐに見てもらう。素敵だと、言ってくれる。今度小説にしてみようかな。なんなら、ジャンルのまったく違うものを書こうかな。
噂話もリリィから聞いた。ラーリアム公爵が伯爵まで爵位を落とされたとかエルザ様が謹慎中だとか私の命を狙った者(城に不法侵入した者)を捕まえたとかとか。そんな話をしながら、今日のお茶会も終わった。
夜になって、お父様の仕事が終わり城から帰ってくる。宰相という立場のお父様は、国王陛下に一番近いところにいる。そんなお父様から、お母様と一緒に応接間に呼ばれる。ソファに座って、書類を睨んでいた。こちらに気づくと、お母様を自分の隣に、私を向かいのソファに座るように促す。重々しく、口を開くお父様。
「ティア。お前の婚約者が決まった。王家からのご指名だ。この国の王子であるリリスラード・エルナン殿下がお前の婚約者だ」
頭の機能が一時停止したかのようだった。今、お父様はなんて言った?聞き間違いでなければ、私に婚約者ができたと。それも、王子?
「まぁ!この間のお茶会で決めると聞いてはいたけれど、その時に殿下や王妃様とお話できたの?ティアちゃん」
「い、いえ。挨拶以外は何も…でも、どうして」
「詳しくは聞いていないんだ。すまないね。ティア、これが書状だ」
手渡された書類には確かに、『ティアーナ・ウォーカー侯爵令嬢を王子リリスラード・エルナンの婚約者とする』と書かれている。
なんで!?お茶会でトラブル起こした張本人(実際はエルザ・ラーリアムたちが張本人だが)だよ!?ドレスたくし上げて、レイピアを投げた令嬢だよ!?ホントになんで!?
「でも、嬉しいわぁ。ティアちゃんが王子と婚約ってことは、王妃様と親戚になれるってことでしょう?親友が親戚になるっていいわね」とお母様。
「まさか王家から申し込まれるとは思っていなかった。ティアには自分で将来の相手を決めてもらおうと思っていたんだがな」とお父様。
よくない、全然よくない。リリィ!一番最初に回避しなくてはならない、王子との婚約がなされてしまったわ!!昼間に『特にかかわったりしてないなら、婚約は無いんじゃない?』って話していたばかりなのに!両親ともに喜んでるし、王家からの申し込みだし、無理じゃん。断れないじゃん。
なんて思ってる私に、お父様からさらに爆弾を落とされる。
「これからは、一週間に3日は城へ行って、妃教育があるからな。だがその前に、明後日城へ一緒に行くぞ。王家と顔合わせをするから」
「!?あ、明後日ですか。わかりました」
「ふふっ。ティアちゃん、私も一緒だから大丈夫よ」
百面相してたんだろうな、私。お母様に笑われたし、お父様も顔が緩んでいるし。
『とりあえずこの話は終わり。もう夜遅いから』と言われ、自室に戻る。
「うわぁ。なんでなんで?婚約とか嘘でしょ?」
ベッドの上で、ゴロゴロしながらひとり愚痴る。
とりあえず、もう眠いから明日リリィに手紙を書こう。今日会ったのにね。
「ふぁ。これからのことは、リリィとまた、お茶会をする時に、考えよう、かなぁ」
そのまま寝落ちしました。ドレスのままで。寝てる間にアンナがネグリジェに着替えさせてくれていた。翌日しっかり怒られました。
やっと(?)、婚約しましたよ。
これからどうなるかわからんので、とりあえず次回で顔合わせします。
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