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私【悪役令嬢】の婚約者【王子】を目の敵にしているのは私の親友【ヒロイン】です!?

御茅架

【彼の人に出会う】

百花繚乱___。

今世にはない言葉だけど、いま私の目前に広がるそれ・・にはその言葉がしっくりくる、素敵な庭園である。

今日は城の庭園で王家主催、つまりは王妃様主催のお茶会である。10歳になった私は、はじめて訪れる城の庭園を呆然と眺めていた。ここには公爵、侯爵のみのこの国の王子と歳の近い令嬢たちが集められている。
おおよそ、未来の王の妃探しといったところだろうな。まぁ、私はそんなことどうでもいいけどね。なにせ私はあまりお茶会に参加しない。仲のいい令嬢もリリィだけ。このお茶会の参加者に顔見知りなんかがいる程度だから、ぶっちゃけると来たくなかった。

「はぁ、王妃様と王子に挨拶が終わったらどうしましょう?趣味の1つでもひとりで行なっていようかしら」

小さな声で私はつぶやく。
王妃様と王子は、このお茶会の主催者様だ。挨拶をするのが当然であるが、順番がある。それも家の爵位順、序列順であり、さっそく挨拶が行われている。どの令嬢も王子を褒めに褒めている。私は褒めないけれどね、関わりたくないし。もし関わって婚約した場合はお先真っ暗最悪コースだよ?死んじゃうんだよ?イヤだよ、そんなわかりきった未来。
なので、

「お初にお目にかかります。王妃様、王子。ウォーカー侯爵が娘、ティアーナ・ウォーカーと申します。以後、お見知りおきを」

と、簡単な本当に挨拶だけで終わらせる。ちょっとだけ声に、「このお茶会ホントに参加したくなかった!」という気持ちをのせて。

それに、ほかの令嬢たち皆、目をギラギラに輝かせていて、獲物を狙う狩人のようなんだもん。同じことなんてしたくないし、あの中にいたくない。

挨拶を終え、適当なテーブルからティーカップを手に近くのベンチへ。咲き誇る花々(殆どバラだけど)からふと視線をはずし、花壇の外に小さく咲くシャムロックシロツメクサを見つけた。たしか花言葉は、輝く心、約束、私を思ってetc……。これは使える!

近くにいた侍女に声をかける。
「紙とペンを頂けないかしら?」
「畏まりました。少々お待ちくださいませ」
そう言って下がっていった、よね?今、取りに行ったんだよね?すぐに戻ってきたよ?早すぎないかい、侍女さん。ちょっと駆け足だけども。

「ご所望のものです」
「ありがとう。でも、そんなに遅がなくてよかったのよ?」
「いいえ、なにを言いますか。今をときめく文筆家である貴方様と新しい作品のためですもの」

そんなに噂になっているのだろうか、私が本や詩を書いていることは。

実をいうと、これはただの趣味だ。前世から読むことが趣味だったけど、今世では書くことを始めてみたところ、思いのほか好評でお母様やリリィから「新しく出来たらすぐに見せて」と言われるほど。知らない間に本まで出ていた。びっくりするよね、招待されたお茶会で「ティアーナ様の作品、読みましたわ!とっても素敵でした!」って熱く語られるのだから。

侍女から渡された紙にシャムロックシロツメクサを題材に『すれ違う想い』と仮のタイトルを付けて、うたを作り始めたとき

「キャッ!」

小さな悲鳴が私の耳に届いた。それは、たくさんの令嬢に囲まれた王子から少し離れたところから聴こえた。

私は立ち上がり、書きかけの詩と飲みかけのティーカップを持って近づく。見覚えのある令嬢が取り巻きを連れて一人の令嬢を囲んでいた。寄ってたかって何をしているのかなんて、すぐにわかった。気分が悪くなる。

「王妃様主催である素敵なお茶会の席で、微かに悲鳴が聞こえたのだけれど。何があったのかしら?エルザ様」
「!?」

見覚えのある令嬢とは、今日集められていた令嬢たちのトップである。エルザ・ラーリアム公爵令嬢、身分のいちばん高い公爵家であり、その中での序列もいちばん上である。彼女は驚いた様子でこちらを振り返る。その拍子に私の持っていたティーカップから中身がこぼれる。

「な、何をするんですの!」
「あら、ごめんなさい。いきなり振り返られるものだから、びっくりしてしまったの。それについては謝りますわ。でも、エルザ様方が囲んでいらっしゃるスカーレット様に対しての扱いは目に余ります」
「まぁ!このわたくしに、楯突くのかしら?いくら侯爵家トップと言えど、わたくし達公爵家にはかなわないでしょう?」

悲鳴をあげたのは、スカーレット・レイナード侯爵令嬢。集められていた令嬢のいちばん下の序列の者。確かに、自分の家よりも上の爵位の方に楯突くのはよくないのだか、我が家は同じ爵位の序列の者を護ることができると判断されたために序列が一番上なのだ。

「確かに、そうですわ。しかし、お父様から、言われているのです。国王陛下より、『ラーリアム公爵家から侯爵家又は中級下級貴族に対して粗相があれば何をしても良い』と」
「な、なんですって!?どういう事ですの!?」
「我が家は幾度となく、ラーリアム公爵家から妨害・・がありますから。私も例外なく、命を落としかけております」

ラーリアム公爵は自分の娘可愛さと権力を存分に使い、娘に未来の王妃という立場と邪魔なウォーカー侯爵とその娘の私を亡きものにと考えている。全く恐ろしい話である。
 それを聞き、エルザ様は黙って固まってしまった。その隙に私はスカーレット様のもとへ。

「大丈夫かしら?スカーレット様。気がつかず、申し訳ありませんでした。さぁ、こちらへ。ご友人方があちらで心配しているわ」
「大丈夫です!ありがとうございます、ティアーナ様。しかし、なぜ彼女たちが友人であると?」
「簡単な話し、ずっとあなたを心配そうに見ておりますのよ?さぁ、素敵なお茶会ですもの。楽しんだ方がいいわ」

少し遠目にしていた二人の令嬢をチラリと見て、スカーレット様をそちらに。
よし、一件落着かな!エルザ様と取り巻きたちはもうその場にはいない。
ティーカップをテーブルに戻し、もともと座っていたベンチへ。サラサラっと続きの詩を書き終わらせ、題材にしていたシャムロックシロツメクサの近くへしゃがみこむ。そっと撫でながら微笑んで
「ありがとう。とてもいいものが書けたわ」
お礼を伝え、立ち上がろうとした時、ふと視線に気がついた。顔を上げれば、そこにいた皆(王妃様や王子も)が私をずっと見ていた。まさか、エルザ様に話しかけた時からだったりして…。

気づいたらもう、意識してしまうのが人である。恥ずかしくなって、慌てて淑女の礼をして帰ろうと踵を返した時だった。殺気が私に放たれている。庭園から城の廊下に足を踏み出したと同時に、ドレスのスカートを託し上げて右手でとったレイピアを殺気の放たれている源へ投げ、左手でとったレイピアで短剣を弾く。グサッという音と、カンッという音をたてて。

「まさかこんな大勢の目がある場所で、こんなことが起こるなんて」

令嬢たちが騒ぎ始め、控室で待機していた私付きの侍女アンナが慌ててやってきた。
「お嬢様!ご無事ですか!?」
「えぇ、大丈夫。それより、もう帰ろうと思っていたの!」
「もう良いのですか?では、馬車を用意いたします。突き刺さったレイピアは回収いたしますか?」
「お願いね。あと、短剣を」

ざわつくお茶会で私はアンナから短剣を受け取り、エルザ様のもとへ向かう。今まで何度も目の当たりにした短剣。

「エルザ様。こちらの短剣、ラーリアム家のものですよね?お返ししますわ」
「え、えぇ。あ、ありがとう、ござい、ます」
真っ青な顔のエルザ様。私の顔がそんなに怖いですか?微笑んでいるつもりなんだけど。目は笑ってないけど、たぶん。
くるっと振り返り、もう一度淑女の礼をする。

「お騒がせいたしました、皆様。それでは、私はこれで失礼いたします」

そう言って、アンナから刺さっていたレイピアと落としてしまった詩を書いた紙を受け取り、城をあとにする。

その後ろ姿を王子が凝視していたなんて知らずに。

「欲しい…」






次回、今回の王子saidにしようと思います。
これからもたまに王子said出るかもですが、リリィsaidも入れたいと思っています。

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