魔術学園に響かせよ
3話 成人の儀③
ついにその日が来た。
成人の儀である。
興奮のあまり夜しか眠れなかったイドラはテンションMAXだ。
「イドラ、気持ちは分かるが少し落ち着きなさい。」
父にたしなめられ、ようやく大人しくなったイドラはほとんど来たことのない正装に少し窮屈さと違和感を覚えていた。
程なくして馬車が到着し、それにイルトとともに乗り、母のキシャラや村人に見送られ出発した。
5日間の馬車での移動の後、王都フリンに着き、門で検査を受け、門をくぐる。
門をくぐると、そこは活気溢れる広大な街が広がっていた。
見たことのない武器、食べ物、建物とイドラにとっては見るもの全てが新しいものだった。
「わぁ〜....凄い....。」
目を輝かせ、ウキウキとしている息子の年相応の幼さ見て、イルトは微笑ましくそれを見ていた。
すると、イドラは思い出したように
「父上!早く成人の儀に行きましょう!」
「そうだな。観光はその後にするか。」
と、目をキラキラさせた息子を急かされイルトは苦笑いを浮かべながら教会への道を少し急いだ。
協会に着き、神父から一通り説明を受けた後、成人の儀に入った。
まず部屋に通され、身長などの軽い質疑応答があり、その後成人の儀における誓いを立て、ようやく能力授与の儀に入った。
「では、利き手をこの水晶に乗せてください。」
イドラはコクリと頷くと水晶に手を乗せた。
すると、一瞬だけ手から力が抜けるような感覚があり、水晶が光を放った。
その美しさに感動していると、そのうち光が消え、次に神父はその手をとった。
その瞬間、手に痺れるような感覚を感じると同時に、全身の血管か神経のような何かが開いたのを感じた。
それが終わると神父は紙を取り出し、何かを書き込むとハンコを押して渡してきた。
「これがあなたの能力の詳細や魔力数値、総合評価等です。」
そうやって渡された紙にはこう書かれていた。
イドラ=エルトファレンツ
年齢:13
性別:男
能力:波形操作
→音を操れる。
魔力総数:500/500
身体能力
筋力:250
敏捷:850
防御:150
知能指数:120
総合評価:D+
「ほう...これは...」
イルトは紙を覗き込むと感嘆の声を上げた。
「父上、D+とはどのくらいなのでしょうか?あと、この数値は...?」
「あぁ、村に住んでるような大人の農民が平均的にEで数値は300が平均と言われているぞ。だから、かなり自信を持っても良いと思うぞ。」
筋力や防御力は体の出来上がっていないイドラには致し方ないが、敏捷は大人の3倍近くある。
イルトは隠しているがイルトの現在の敏捷は750だ。
ただし、イルトは筋力が...。
「なら良かったです。ただ、この波形操作...?というのが今ひとつよく分からないのですが...」
すると神父が口を開く。
「分からないなら本などで探してみると良いと思いますよ」
「そうですか。ありがとうございます。探してみます。」
「それにしても、成人の儀でDとは中々に優秀なお子さんをお持ちですな。魔力総数が400を超えるのも成人の儀においては珍しいですしな。」
「そうですね。親としても鼻が高いですね。」
「とは言っても世の中にはそれより優秀な方が沢山いらっしゃるので、油断は禁物ですよ。しっかり鍛錬に励むと良いでしょう。」
「はい!」
すると、神父は思い出したように
「そうそう、今年成人の儀の受けた者の中にエドワード第三皇子もおられたとか。」
「あの烈王の皇子か...」
「彼は総合評価B+というここ40年くらいで最高の評価を叩き出したとか。」
「B+!それはまた...世の中は広いですなぁ。流石は烈王の血を最も濃く受け継いだとされる方だ。」
「同じ歳ということは学園で同じになるかもしれませんね。」
「お前も追いつけるように頑張らないとな。」
「精進します。」
こうして成人の儀を終え協会を後にし、観光と参考になりそうな本をいくつか買い、王都を発った。
馬車の中では...
「2年後までにもっともっと強くならねば...!」
イドラは静かに燃えていた。
4話は少し今回より説明が多くなりますが、どうかお付き合い頂ければ幸いです。
成人の儀である。
興奮のあまり夜しか眠れなかったイドラはテンションMAXだ。
「イドラ、気持ちは分かるが少し落ち着きなさい。」
父にたしなめられ、ようやく大人しくなったイドラはほとんど来たことのない正装に少し窮屈さと違和感を覚えていた。
程なくして馬車が到着し、それにイルトとともに乗り、母のキシャラや村人に見送られ出発した。
5日間の馬車での移動の後、王都フリンに着き、門で検査を受け、門をくぐる。
門をくぐると、そこは活気溢れる広大な街が広がっていた。
見たことのない武器、食べ物、建物とイドラにとっては見るもの全てが新しいものだった。
「わぁ〜....凄い....。」
目を輝かせ、ウキウキとしている息子の年相応の幼さ見て、イルトは微笑ましくそれを見ていた。
すると、イドラは思い出したように
「父上!早く成人の儀に行きましょう!」
「そうだな。観光はその後にするか。」
と、目をキラキラさせた息子を急かされイルトは苦笑いを浮かべながら教会への道を少し急いだ。
協会に着き、神父から一通り説明を受けた後、成人の儀に入った。
まず部屋に通され、身長などの軽い質疑応答があり、その後成人の儀における誓いを立て、ようやく能力授与の儀に入った。
「では、利き手をこの水晶に乗せてください。」
イドラはコクリと頷くと水晶に手を乗せた。
すると、一瞬だけ手から力が抜けるような感覚があり、水晶が光を放った。
その美しさに感動していると、そのうち光が消え、次に神父はその手をとった。
その瞬間、手に痺れるような感覚を感じると同時に、全身の血管か神経のような何かが開いたのを感じた。
それが終わると神父は紙を取り出し、何かを書き込むとハンコを押して渡してきた。
「これがあなたの能力の詳細や魔力数値、総合評価等です。」
そうやって渡された紙にはこう書かれていた。
イドラ=エルトファレンツ
年齢:13
性別:男
能力:波形操作
→音を操れる。
魔力総数:500/500
身体能力
筋力:250
敏捷:850
防御:150
知能指数:120
総合評価:D+
「ほう...これは...」
イルトは紙を覗き込むと感嘆の声を上げた。
「父上、D+とはどのくらいなのでしょうか?あと、この数値は...?」
「あぁ、村に住んでるような大人の農民が平均的にEで数値は300が平均と言われているぞ。だから、かなり自信を持っても良いと思うぞ。」
筋力や防御力は体の出来上がっていないイドラには致し方ないが、敏捷は大人の3倍近くある。
イルトは隠しているがイルトの現在の敏捷は750だ。
ただし、イルトは筋力が...。
「なら良かったです。ただ、この波形操作...?というのが今ひとつよく分からないのですが...」
すると神父が口を開く。
「分からないなら本などで探してみると良いと思いますよ」
「そうですか。ありがとうございます。探してみます。」
「それにしても、成人の儀でDとは中々に優秀なお子さんをお持ちですな。魔力総数が400を超えるのも成人の儀においては珍しいですしな。」
「そうですね。親としても鼻が高いですね。」
「とは言っても世の中にはそれより優秀な方が沢山いらっしゃるので、油断は禁物ですよ。しっかり鍛錬に励むと良いでしょう。」
「はい!」
すると、神父は思い出したように
「そうそう、今年成人の儀の受けた者の中にエドワード第三皇子もおられたとか。」
「あの烈王の皇子か...」
「彼は総合評価B+というここ40年くらいで最高の評価を叩き出したとか。」
「B+!それはまた...世の中は広いですなぁ。流石は烈王の血を最も濃く受け継いだとされる方だ。」
「同じ歳ということは学園で同じになるかもしれませんね。」
「お前も追いつけるように頑張らないとな。」
「精進します。」
こうして成人の儀を終え協会を後にし、観光と参考になりそうな本をいくつか買い、王都を発った。
馬車の中では...
「2年後までにもっともっと強くならねば...!」
イドラは静かに燃えていた。
4話は少し今回より説明が多くなりますが、どうかお付き合い頂ければ幸いです。
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