Venganza(ベンガンサ) ~俺の復讐物語~
第一話「目覚め。」
第一話 「目覚め。」
俺の名前はバリィ。年は19。エンテル一家の一人息子である。
ここ、ウィゾールは自分の潜在能力に応じたスドルと呼ばれるスキルが、出産時に寄与される。
スドルにはランクがあり、上からセロ、ウノ、ドス、クアレロ、ドドルである。このうち、上の4つはシダーとよばれ能力者にあたる。ドドルは無能力者であり、国民1億人あまりの99%、つまり9千9百万人がこれにあたる。
さらに自分がシダーかどうかは自分でもわからないし、もちろん親でさえわからない。どういうことかというと、能力は国が行う超過酷な適性試験に合格することによって自分がシドーかどうかわかり、その能力レベルとスドルの詳細もわかる。これはいくら努力をしても受かることはなく、潜在能力によって合否が決まるのだ。つまり、能力者はほんの一握りなのである。だからこそ、能力を持つものはほとんどの確率で地位を手に入れられる。
俺の家庭はとても貧乏だ。
家はひと気のないゲートタウンの裏路地に段ボールで空間を作っている。
食べ物はどこの誰かの残飯かそこらあたりに無造作に生い茂っている草花などである。
俺が生まれる前、父と母は名の通るセロ能力者だった。
しかし、父の友人であるクルエイダー一家の主、リクサ・クルエイダーの裏切りによってすべてを失った。
俺は一度、父さんに聞いたことがある。
父さんはそのリクサって人を憎んでないの?
父は答えた。
「憎んでるさ。父さんは何もかもを失った。両親、能力、名誉、地位、金、そして母さん。だけど、なにもできなかったし、恨んでも自分の心を蝕むだけだった。さらに今もリクサから追われてる。すまんな、何も責任がないお前にまでこんな苦労させて。」
俺はそれ以上聞けなかった。
そんな父さんの姿を見た俺はリクサを憎んだ。
どうにかして仕返ししたいと思った。
しかし、俺にはどんなスドルがあるかわからない。
むしろ、俺はドドルかもしれない。スドルはDNAに依存せず、血統は全く関係ないのだ。
俺は父さんに言った。
「俺さ、適性試験受けたい。シドーの確率は1%だけど自分の潜在能力を確かめてみたい。」
父さんはため息をついた。
「こういう日が来ると思ってたよ。わかった。ただし、かなり過酷だ。自分がドドルだと認めたくないがために粘り、もがき、そして死ぬ奴もいる。だから一つ約束してくれ。絶対に無理はするな。ドドルで当たり前で、シドーだったら運が良かったと思え。自分がシドーであると思って挑むと死ぬぞ。お前はこの世で唯一の肉親だ。だから生きて帰って来いよ。」
「わかった。父さんありがとう。準備ができ次第出発するよ。」
俺は旅立つことを決めた。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
これから連載していきますのでよろしくお願いします。
俺の名前はバリィ。年は19。エンテル一家の一人息子である。
ここ、ウィゾールは自分の潜在能力に応じたスドルと呼ばれるスキルが、出産時に寄与される。
スドルにはランクがあり、上からセロ、ウノ、ドス、クアレロ、ドドルである。このうち、上の4つはシダーとよばれ能力者にあたる。ドドルは無能力者であり、国民1億人あまりの99%、つまり9千9百万人がこれにあたる。
さらに自分がシダーかどうかは自分でもわからないし、もちろん親でさえわからない。どういうことかというと、能力は国が行う超過酷な適性試験に合格することによって自分がシドーかどうかわかり、その能力レベルとスドルの詳細もわかる。これはいくら努力をしても受かることはなく、潜在能力によって合否が決まるのだ。つまり、能力者はほんの一握りなのである。だからこそ、能力を持つものはほとんどの確率で地位を手に入れられる。
俺の家庭はとても貧乏だ。
家はひと気のないゲートタウンの裏路地に段ボールで空間を作っている。
食べ物はどこの誰かの残飯かそこらあたりに無造作に生い茂っている草花などである。
俺が生まれる前、父と母は名の通るセロ能力者だった。
しかし、父の友人であるクルエイダー一家の主、リクサ・クルエイダーの裏切りによってすべてを失った。
俺は一度、父さんに聞いたことがある。
父さんはそのリクサって人を憎んでないの?
父は答えた。
「憎んでるさ。父さんは何もかもを失った。両親、能力、名誉、地位、金、そして母さん。だけど、なにもできなかったし、恨んでも自分の心を蝕むだけだった。さらに今もリクサから追われてる。すまんな、何も責任がないお前にまでこんな苦労させて。」
俺はそれ以上聞けなかった。
そんな父さんの姿を見た俺はリクサを憎んだ。
どうにかして仕返ししたいと思った。
しかし、俺にはどんなスドルがあるかわからない。
むしろ、俺はドドルかもしれない。スドルはDNAに依存せず、血統は全く関係ないのだ。
俺は父さんに言った。
「俺さ、適性試験受けたい。シドーの確率は1%だけど自分の潜在能力を確かめてみたい。」
父さんはため息をついた。
「こういう日が来ると思ってたよ。わかった。ただし、かなり過酷だ。自分がドドルだと認めたくないがために粘り、もがき、そして死ぬ奴もいる。だから一つ約束してくれ。絶対に無理はするな。ドドルで当たり前で、シドーだったら運が良かったと思え。自分がシドーであると思って挑むと死ぬぞ。お前はこの世で唯一の肉親だ。だから生きて帰って来いよ。」
「わかった。父さんありがとう。準備ができ次第出発するよ。」
俺は旅立つことを決めた。
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これから連載していきますのでよろしくお願いします。
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