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5-7 魔法屋

「おい!その悪口はハルカ様にだけっつっただろ!!なんてこと言っちまうんだよ!!俺だって言いたくても我慢してたのによォ……」
「ちょっと……私だったらいいってどーいうことかなぁ?????」

 そんなハルカの言葉も無視してヒロさんは続ける。

「ほら、謝りやがれなさい。貧乳の人を貧乳といって余計貧乳を意識させてごめんなさいって」
「あんたそれがトドメ刺してるって分からない?」

 穂乃香はどんどん隅の方に小さくなっていく。

「は……あはは……そうだよね。胸の小さな女の子なんて……あ……ははは……はは」

 穂乃香はその手の言葉に一切の耐性がなかった。まぁ普通は言われない。ハルカが異常なだけだ。

「ほらほら、穂乃香!立ち直って!私もその痛みはよぉぉぉく分かるから」
「お姉ちゃん……ごめんなさい……」

 子供のマサキもこれは可哀想と察したのか謝る。




「えーっと……どこまで話したっけ?あー、ここが魔法屋ってこととこの光のことくらいか」

 いろいろあったので、ハルカが状況を整理する。

「いろんな種類の瓶があるね」

 立ち直った穂乃香はハルカと共に店の中を見渡していた。一通り見てみたが、見ただけではどんな効果なのかよく分からない。とりあえず気になったオレンジ色の粉の入った瓶を手に取る。

「あ、暖かい……」

 外気はそれほど寒くもないが、その瓶は熱くもなく暖かい熱を出していた。

「お、あんちゃん良いものに目をつけるねぇ。そいつは火花の粉スパークパウダーってもんだ。さっきの光の粒ライトパウダーより強い光が出せるシロモンだ。効果時間は長くねぇが、閃光のような儚さとその生き様に惚れる奴は多いぜ」

 つまり花火みたいなものなのだろうか。どちらかというと、打ち上げるタイプではなく線香花火のようなものだろう。

「どうしたの?買う?お金なら結構持ってきてるわよ。もう節約する必要もそんなにないし」
「え……でも」
「いいよ。なんでも欲しいものいって頂戴。一応この店丸ごと買い占めれるくらいのお金はあるし、たまには自分にご褒美してもいいんじゃない?」

 その言葉にヒロさんが怯える。

「今まで馬鹿にしてすみませんでした。だから、店だけは勘弁!!」

 そんなことを言っているヒロさんを無視して二人は話す。

「それじゃあ……お言葉に甘えようかな」

 そう言って穂乃香は二つの瓶を手に取る。

「へいよ。二点で四百二十ピーね。サービスで三十ピー値上げさせて貰ってもいいでゲスがどうっすか??」
「それはサービスとは言わないわ。通常価格で」
「へいよ。言ってみただけさ。あんがとさん。またこいよ」

 適当な言葉を返して店を後にする。

「で、結局何買ったの?」

 穂乃香は商品の入った袋を覗きながら答える。

光の粒ライトパウダー火花の粉スパークパウダーだよ」
「何故それにしたか聞いても?」
「ええっ?べ、別に……」
「亨介と?」
「一緒に天空城の湖で使ったらって……あああっハルカちゃん!!違う!違うよ!!あ、あれ、皆のお見舞いとして、として
!!だから!」

 ちょっとハメるつもりが結構乗ってきたのでめちゃくちゃ面白い。手をぶんぶん振りながら否定してくる。平和だなー

「ま、そういうことにしときましょうか。さて、次はどこに行く?……って 穂乃香に聞いても無駄よね。さて、どうしよっか」

 ハルカは少し考える体制に入る。とりあえず穂乃香も行きたいところを考えてみる。

「そういえばまだお昼ご飯食べてないよね?」

 その穂乃香の発言にハルカが振り向く。

「それ!お腹空いた!!」




 ということで穂乃香とハルカは、街の中でも一番の賑わいを誇る繁華街へとやってきた。石造りのはずなのに物凄く煌びやかで美しい。とりあえずその辺の店に入る。

「と、とりあえずで来るような所じゃないよね……ここ」

 そこはとても一般人である穂乃香には、あまりあまる所だった。天井にはシャンデリアが飾られており、壁にはいかにも値の張りそうな絵画が飾られている。

「大丈夫よ!もう私は王女様の地位を取り戻したんだから。お金の心配なんていらないわよ」

 穂乃香はとりあえずメニューを見てみる。するとそこにはこの世界のレートがどれくらいか、それほど理解していない穂乃香でも思わず度肝を抜かれるような値段が書いてあった。

「ちょ……これ、ハルカちゃん。都市部の高級焼肉店並なんだけど」

 「……?よく分からないけど、好きな物頼んでいいわよ。お金のことは気にせずね」

 そんな会話をしていると奥から店主が来る。

「お金を頂くなんてとんでもない。ハルカ様には良くしてもらっていますから!二年ぶりの訪問です。お連れ様も無料でお召し上がりください」

 そんなことを言い出す。それを受け、ハルカは穂乃香に「ほら」と言わんばかりのウィンクをしてくる。

「そ……それなら、またお言葉に甘えさせてもらおうかな」

 ほっぺが落ちそうになった。




「あ!ハルカ!穂乃香ちゃん!!」

 二人がそこでご飯を楽しんでいると、そこにサヨリがやってきた。

「お姉ちゃん!もう終わったの?」

 聞くとサヨリは首を横に振る。

「半分くらいかなぁ。ここに来たのも挨拶だし、二人と出会えたのも偶然よ。こんにちは!ナモルさん!!」

 いいながら店主と挨拶を済ませる。

「でもお姉ちゃんもまだご飯食べてないよね?一緒に食べようよ!」
「おー!それいいね。ナモルさん!私もハルカと同じもの貰ってもいいですか?」
「喜んで作らせてもらいます!!」

 その言葉と同時に、店の裏で円陣を組んだかのような声が聞こえてくる。

「サヨリ様にお出しする商品だ!!最高級の最上級美味しいものを作るぞぉぉぉ」
「おおぉぉぉっ!!」

 気合いの入りようがハルカとは段違いだった。そのことに気づき、穂乃香は少し笑ってしまった。

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