Traveる
5-2 姉妹愛
それから数日が経った。
「団長ぉぉぉぉぉオハヨォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
そんな声を聞いてハルカが目を覚ますとヒナがバク転を繰り返し、遠心力をましたままドロップキックをしてきた。
「ひでぶ」
ハルカの潰れる音がした。
「てて、ヒナ〜。いきなり何するの?」
「見てみて!もうこんなに動けるようになったよ!!」
そう言うとヒナはその場で時計の針のようにぐるぐると回り出した。そうはならんやろ。
「貴方……もう傷は大丈夫なの?って聞くのも馬鹿らしいか……もう、どんな体してんのよ」
全身に出来ていた火傷のような怪我は全て塞がっており、運動能力もかなり戻ってきている。
「おい、ヒナ!俺様の最終チェックも受けずに走り回るんじゃねぇ!」
追いかけるようにアオイが追ってくる。
「へっへーんだ!私を捕まえられたらねーーー」
そういってヒナは窓から部屋を飛び出す。
「くそっ。こんなに早く回復する訳が無い。なぜあんなに動ける……」
ため息を吐きながらアオイは倒れ込む。
「でももう完全復帰って感じだけど?」
どうだろうな、と呟きながらアオイは続ける。
「サアヤはまだ生きかえる余地はあるって伝えただけであの調子だからな。……そう言えば回復というと、第一王女が目を覚ましたぞ」
その知らせを受け、ハルカはダッシュで病室へ向かう。
「お姉ちゃん!!」
ベッドの上には病人服を着た、ピンク色の美しい髪の女性が外を眺めるように座っていた。声を頼りにその女性が振り返る。
「……ハルカ?」
名前を呼ぶ。操られていた頃にはなかった事だ。突然、ハルカに涙が溢れる。
「お姉ちゃん!!……良かった……元に戻って……」
「うわっ!」
思いっきり抱きついた。懐かしい香りがした。この安心感は間違えなくサヨリのものだった。サヨリは何が何だかさっぱりだったがとりあえず何も言わずにハルカの背中を撫でる。少ししてハルカが落ち着き出してからサヨリはハルカに聞く。
「それで、何があったの?」
ハルカは事の顛末を話す。サヨリが操られていたこと、黒幕はハヤトでその影に異世界人がいた事など、国民に話したことを反復して伝える。
「そっか。だからずっと悪い夢を見ていた気分だったんだ……。私が覚えている最後の記憶はハヤトに連れられて城の地下にいったとこなの。多分その時に……。やっぱり、私は駄目な姉なのかな……」
俯きながら何かを思う。
「なんで……お姉ちゃんは別になにも」
「実はね。私と貴方達二人とは魔法を教えていた人が違ったの」
「……?!」
初耳だった。そういえばいつも魔法を教えてくれた先生とサヨリが話しているところを見たことがない。
「だから私だけ二人より先に産まれただけなのに魔法を扱う力が違うの。まさか、そんなにコンプレックスに感じてたなんて……」
「でも、それじゃあなんでお姉ちゃんが悪いの?」
「私……自分の事しか考えてなかった……。王国の皆に期待されて、早く魔法を上手くならなくちゃって思って«その人»に魔法を教えて欲しいって言いに行ったの。アツシと一緒にね」
自分を卑下していたサヨリだったが、ハルカはなんだか嬉しくもあった。
「そっか……お姉ちゃんも元から力があったわけじゃなかったんだね……」
才能だけの問題だけじゃない。サヨリはちゃんと努力して魔法を習得していたのだ。
「私は政治のことばかりでなく、貴方達のことももっと見てあげるべきだった……気づいてあげれなくて……本当にごめんなさい」
サヨリの目に涙が浮かぶ。
「私は分かってたから」
それを慰めようとハルカは言葉を繰り出す。
「ずっと、国のことで頑張ってたお姉ちゃんが目標だったから。かっこいいってずっと思ってた。お姉ちゃんみたいになりたいって、それで頑張れた。魔法の練習も、この城のことも。だから、そんなに気を落とさないで!!」
「ハルカ……」
ハルカは思っていたことを勢いに任せて伝える。言いきったあとから恥ずかしさが湧いてきて、目を逸らす。
「ありがとう……」
感極まって涙が溢れる。しかし、流石は一国の王女。涙をすぐに拭い、話を変える。
「ところでアツシは?」
「oh......」
「団長ぉぉぉぉぉオハヨォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
そんな声を聞いてハルカが目を覚ますとヒナがバク転を繰り返し、遠心力をましたままドロップキックをしてきた。
「ひでぶ」
ハルカの潰れる音がした。
「てて、ヒナ〜。いきなり何するの?」
「見てみて!もうこんなに動けるようになったよ!!」
そう言うとヒナはその場で時計の針のようにぐるぐると回り出した。そうはならんやろ。
「貴方……もう傷は大丈夫なの?って聞くのも馬鹿らしいか……もう、どんな体してんのよ」
全身に出来ていた火傷のような怪我は全て塞がっており、運動能力もかなり戻ってきている。
「おい、ヒナ!俺様の最終チェックも受けずに走り回るんじゃねぇ!」
追いかけるようにアオイが追ってくる。
「へっへーんだ!私を捕まえられたらねーーー」
そういってヒナは窓から部屋を飛び出す。
「くそっ。こんなに早く回復する訳が無い。なぜあんなに動ける……」
ため息を吐きながらアオイは倒れ込む。
「でももう完全復帰って感じだけど?」
どうだろうな、と呟きながらアオイは続ける。
「サアヤはまだ生きかえる余地はあるって伝えただけであの調子だからな。……そう言えば回復というと、第一王女が目を覚ましたぞ」
その知らせを受け、ハルカはダッシュで病室へ向かう。
「お姉ちゃん!!」
ベッドの上には病人服を着た、ピンク色の美しい髪の女性が外を眺めるように座っていた。声を頼りにその女性が振り返る。
「……ハルカ?」
名前を呼ぶ。操られていた頃にはなかった事だ。突然、ハルカに涙が溢れる。
「お姉ちゃん!!……良かった……元に戻って……」
「うわっ!」
思いっきり抱きついた。懐かしい香りがした。この安心感は間違えなくサヨリのものだった。サヨリは何が何だかさっぱりだったがとりあえず何も言わずにハルカの背中を撫でる。少ししてハルカが落ち着き出してからサヨリはハルカに聞く。
「それで、何があったの?」
ハルカは事の顛末を話す。サヨリが操られていたこと、黒幕はハヤトでその影に異世界人がいた事など、国民に話したことを反復して伝える。
「そっか。だからずっと悪い夢を見ていた気分だったんだ……。私が覚えている最後の記憶はハヤトに連れられて城の地下にいったとこなの。多分その時に……。やっぱり、私は駄目な姉なのかな……」
俯きながら何かを思う。
「なんで……お姉ちゃんは別になにも」
「実はね。私と貴方達二人とは魔法を教えていた人が違ったの」
「……?!」
初耳だった。そういえばいつも魔法を教えてくれた先生とサヨリが話しているところを見たことがない。
「だから私だけ二人より先に産まれただけなのに魔法を扱う力が違うの。まさか、そんなにコンプレックスに感じてたなんて……」
「でも、それじゃあなんでお姉ちゃんが悪いの?」
「私……自分の事しか考えてなかった……。王国の皆に期待されて、早く魔法を上手くならなくちゃって思って«その人»に魔法を教えて欲しいって言いに行ったの。アツシと一緒にね」
自分を卑下していたサヨリだったが、ハルカはなんだか嬉しくもあった。
「そっか……お姉ちゃんも元から力があったわけじゃなかったんだね……」
才能だけの問題だけじゃない。サヨリはちゃんと努力して魔法を習得していたのだ。
「私は政治のことばかりでなく、貴方達のことももっと見てあげるべきだった……気づいてあげれなくて……本当にごめんなさい」
サヨリの目に涙が浮かぶ。
「私は分かってたから」
それを慰めようとハルカは言葉を繰り出す。
「ずっと、国のことで頑張ってたお姉ちゃんが目標だったから。かっこいいってずっと思ってた。お姉ちゃんみたいになりたいって、それで頑張れた。魔法の練習も、この城のことも。だから、そんなに気を落とさないで!!」
「ハルカ……」
ハルカは思っていたことを勢いに任せて伝える。言いきったあとから恥ずかしさが湧いてきて、目を逸らす。
「ありがとう……」
感極まって涙が溢れる。しかし、流石は一国の王女。涙をすぐに拭い、話を変える。
「ところでアツシは?」
「oh......」
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