Traveる
4-16 終戦
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
激しい攻撃がドスドスと大きな音と光を鳴らしながら部屋全体に響き渡る。もう血や肉も飛び散ったりしない。
「ヒナ!!もう辞めて!!」
狂ったように攻撃し続けるヒナを止めようとハルカが近づく。
「ヒナ!!」
「!?」
声が届いたのか、ヒナの動きがピタリと止まる。しかし、
「がっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ヒナの様子がおかしい。体から生えていた氷が更に溢れ出す。それに声もすごく苦しそうだ。モンスターのような、とても人間とは思えないような悲痛な叫びをあげている。
「がはっ」
そしてその氷が収まったと思った次の瞬間、ヒナは口から血を吐いて倒れる。
「ヒナ!!大丈夫!?」
ハルカは慌てて駆け寄る。酷い有様だった。氷が生えていた所は皮膚がもがれ、目からも血がにじみでている。
「ハルカ……どうなったんだ?」
「団長……」
そんなヒナをどうしようか考えていたハルカの元に、魔人を倒したであろうアツシと、前衛を抑えてくれていた友恵がやってくる。
「ハヤトは……この有様よ。あとは享介達がどうなってるか。とりあえず、アオイを呼ぶわ。貴方達は城で休んでて」
「ああ、そうさせて……もらうわ」
今にも倒れそうなアツシがそういう。しかし、
「あの、……私はまだここに残ります」
ぼろぼろで腕もまともに動きそうにない友恵がそういった。
「何言ってんの!この傷じゃ……」
しかし友恵の熱は強かった。
「私は……穂乃香が無事かこの目で確認しないと……満足に休めないので……」
真っ直ぐにこちらを見つめてくる。
「……分かったわ。でも無理はしちゃ駄目よ」
「ありがとうございます」
「それじゃ、後はアオイ!よろしくね」
ハルカの言葉の次の瞬間、ヒナ、アツシ、それからサアヤとハヤトの遺体から魔人の破片まで戦いに干渉した全てが消えた。
「それじゃあ、急ぎましょう」
「……はい!」
二人は城の更に奥まで進む。すると一つの扉が半開きになっていた。開けて入ってみるとそこには……
「ハルカちゃん!友恵ちゃん!!」
穂乃香が座っていた。その前には享介が横に倒れている。
「っ……!?、良かった……穂乃香!無事だったんだね」
ハルカが涙ぐみながらそういうと、友恵が穂乃香に何も言わずに抱きつく。
「良かった……本当に……!!」
穂乃香はその友恵の体の傷を見て全てを察し、優しく接する。
「それで……享介は?」
ハルカが恐る恐る穂乃香に聞く。二人はハヤトと戦っている時に変な閃光を見たので物凄く嫌な予感がしていた。
「一応、息はあるよ。気絶してるだけ……だと思う」
二人はほっとして腕を下ろす。
「そっか……」
安心したところで友恵が穂乃香に聞く。
「あの……そこにできた大きな穴はなんですか?」
戦いの余波だろうとは思ったが魔法の使えない異世界人同士の戦いで部屋に穴を開けるほどの事は起こらないはずだ。力のポーションの力でもこうはならないはずだ。
「それはね。享介君が魔法を使った跡なの」
しかしその前提を狂わす言葉が穂乃香の口から出てきた。
「享介が……魔法を?」
穂乃香はこくんと頷く。
「暖かかったし赤かったから多分……火属性?だと思う」
しかし、魔法を覚えたといってもそんなすぐにこれほどの傷をつけれるほどの力を得られる訳では無い。ヒナのように絶え間ない努力と経験が必須のはずだ。
「一体何が……」
穂乃香にそのことを聞こうとしたが、もじもじとしながら何か考え事をしていた。
「とりあえず、享介が起きたら全部説明してもらいましょう。貴方達は先に城に戻って……」
と、ハルカが指示を出そうとした瞬間穂乃香が叫ぶ。
「享介君!!」
慌ててハルカと友恵も享介の方へ振り向く。すると
「っ……てて」
享介が目を覚ました。
「享介!!」
「享介……」
二人も急いで駆け寄る。
「……享介君、大丈夫?」
穂乃香は優しく話しかける。しかし
「えっと……」
返事が返ってこない。
「ちょ、享介?どうしたの?」
質問も無視して享介は周りを見渡す。
「えっと……貴方達……誰ですか?」
三人の時が止まる。
「あとずっと僕の事享介って呼んでますけど……なんですか?私の名前ですか?」
(僕ーーーーーっ!!!!!!)
激しい攻撃がドスドスと大きな音と光を鳴らしながら部屋全体に響き渡る。もう血や肉も飛び散ったりしない。
「ヒナ!!もう辞めて!!」
狂ったように攻撃し続けるヒナを止めようとハルカが近づく。
「ヒナ!!」
「!?」
声が届いたのか、ヒナの動きがピタリと止まる。しかし、
「がっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ヒナの様子がおかしい。体から生えていた氷が更に溢れ出す。それに声もすごく苦しそうだ。モンスターのような、とても人間とは思えないような悲痛な叫びをあげている。
「がはっ」
そしてその氷が収まったと思った次の瞬間、ヒナは口から血を吐いて倒れる。
「ヒナ!!大丈夫!?」
ハルカは慌てて駆け寄る。酷い有様だった。氷が生えていた所は皮膚がもがれ、目からも血がにじみでている。
「ハルカ……どうなったんだ?」
「団長……」
そんなヒナをどうしようか考えていたハルカの元に、魔人を倒したであろうアツシと、前衛を抑えてくれていた友恵がやってくる。
「ハヤトは……この有様よ。あとは享介達がどうなってるか。とりあえず、アオイを呼ぶわ。貴方達は城で休んでて」
「ああ、そうさせて……もらうわ」
今にも倒れそうなアツシがそういう。しかし、
「あの、……私はまだここに残ります」
ぼろぼろで腕もまともに動きそうにない友恵がそういった。
「何言ってんの!この傷じゃ……」
しかし友恵の熱は強かった。
「私は……穂乃香が無事かこの目で確認しないと……満足に休めないので……」
真っ直ぐにこちらを見つめてくる。
「……分かったわ。でも無理はしちゃ駄目よ」
「ありがとうございます」
「それじゃ、後はアオイ!よろしくね」
ハルカの言葉の次の瞬間、ヒナ、アツシ、それからサアヤとハヤトの遺体から魔人の破片まで戦いに干渉した全てが消えた。
「それじゃあ、急ぎましょう」
「……はい!」
二人は城の更に奥まで進む。すると一つの扉が半開きになっていた。開けて入ってみるとそこには……
「ハルカちゃん!友恵ちゃん!!」
穂乃香が座っていた。その前には享介が横に倒れている。
「っ……!?、良かった……穂乃香!無事だったんだね」
ハルカが涙ぐみながらそういうと、友恵が穂乃香に何も言わずに抱きつく。
「良かった……本当に……!!」
穂乃香はその友恵の体の傷を見て全てを察し、優しく接する。
「それで……享介は?」
ハルカが恐る恐る穂乃香に聞く。二人はハヤトと戦っている時に変な閃光を見たので物凄く嫌な予感がしていた。
「一応、息はあるよ。気絶してるだけ……だと思う」
二人はほっとして腕を下ろす。
「そっか……」
安心したところで友恵が穂乃香に聞く。
「あの……そこにできた大きな穴はなんですか?」
戦いの余波だろうとは思ったが魔法の使えない異世界人同士の戦いで部屋に穴を開けるほどの事は起こらないはずだ。力のポーションの力でもこうはならないはずだ。
「それはね。享介君が魔法を使った跡なの」
しかしその前提を狂わす言葉が穂乃香の口から出てきた。
「享介が……魔法を?」
穂乃香はこくんと頷く。
「暖かかったし赤かったから多分……火属性?だと思う」
しかし、魔法を覚えたといってもそんなすぐにこれほどの傷をつけれるほどの力を得られる訳では無い。ヒナのように絶え間ない努力と経験が必須のはずだ。
「一体何が……」
穂乃香にそのことを聞こうとしたが、もじもじとしながら何か考え事をしていた。
「とりあえず、享介が起きたら全部説明してもらいましょう。貴方達は先に城に戻って……」
と、ハルカが指示を出そうとした瞬間穂乃香が叫ぶ。
「享介君!!」
慌ててハルカと友恵も享介の方へ振り向く。すると
「っ……てて」
享介が目を覚ました。
「享介!!」
「享介……」
二人も急いで駆け寄る。
「……享介君、大丈夫?」
穂乃香は優しく話しかける。しかし
「えっと……」
返事が返ってこない。
「ちょ、享介?どうしたの?」
質問も無視して享介は周りを見渡す。
「えっと……貴方達……誰ですか?」
三人の時が止まる。
「あとずっと僕の事享介って呼んでますけど……なんですか?私の名前ですか?」
(僕ーーーーーっ!!!!!!)
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