Traveる
3-12 被害の後にて
王国のハヤトの襲来の後、一行は天空城へと戻っていた。
「ありがとうアオイ。見つけてくれて」
とりあえずハルカがアオイに礼を言う。
「俺様も言いたいことがいっぱいあるが今はそれどころじゃねぇな。変な魔力反応を見つけたから駆けつけたが正解だったな。まぁ正確な位置を掴めたのはハルキの魔法のおかげだが……」
どうやら、全身をビリビリとした嫌な悪寒のする巨大生物のオーラはアオイにまでも届いていたようだ。それからハルキの魔法の恩恵も大きい。ヒナとアツシも、それを頼りにして正確な位置を特定したからだ。
「ハルキの状態は良くなりそう?」
「今はまだ分からねぇが、相当酷いぜ。意識が戻るとしても一年はかかりそうだな……」
「そう……」
「起きちまったことはしょうがねぇ。とりあえず今は穂乃香をどうするかだろ?」
ハルキのことも心配だが、一方の穂乃香はあのハヤトに連れ去られてしまったのだ。助けるか諦めるか、助けるにしてもどうするかを考えねばならない。
「アオイ。そのハヤトって奴がいるのは王国だよな?そこへ向かってくれ」
有無を言わさず享介が言う。
「ちょっと待って、享介。これは明らかに罠よ。絶対に返り討ちにするために待ち構えているわ!そんな感情的なことで決めるのは……」
焦る享介にハルカが宥める。しかし
「享介……?」
「頼む。お願いだ。このままじっとしてて穂乃香ちゃんがどうにかなっちゃうんじゃないかって考えただけで……我慢出来ない……」
「……享介」
ここで友恵も享介に便乗する。
「私も同感です。あなた達が行かないのなら……私と享介だけでも」
二人の真剣な眼差しがハルカに向く。これはそっとやちょっとでは折れないと判断したハルカが大きなため息を吐いて覚悟を決める。
「はいはい。分かったわよ。助けに行きましょ。アオイ!」
「分かってるよ。どうせそうなると思ってたから王国まで飛ばしてるぜ!」
続いてハルカはみんなの方を見る。
「こんなこともあろうかと作戦は考えてあるわ。アツシ、どれくらい溜まってる?」
「前の二、三倍はあるぜ」
「それでもまだ心許ないわね……。とりあえずアオイは空から援護。ヒナ、あなたにはハヤトを止めてもらうわ。そして友恵には後ろから押し寄せてくる軍勢を抑えてほしい。その隙に享介と私で穂乃香を助けてくる。これでいくわ」
作戦会議の後、王国到着までの数十分を各々体を休めることに使う。享介はとりあえずリビングのソファーに座り込んでいた。
「ねぇ享介、大丈夫?」
それを心配したのか、先程まで何か電話のような霊装で誰かと話していたハルカが享介に話しかけてくる。
「なんか……ごめんな。俺たちがこの世界に来たばっかりにこんなことに付き合わせたり……あいつを、ハルキを……」
「気にしないで。私たちは元々王国に喧嘩を売るつもりだった集団だし。……こうなるのも時間の問題だったってことよ。それにあなた達のおかげで友恵っていう仲間も出来たし」
ハルカは優しく励ましてくれる。
「本当に……ありがとな」
「礼は穂乃香を助けてからね。さ!私たちも頑張るわよ!!」
「ああっ!!」
一方ヒナはというと地下の花畑にいた。
「大変なことになっちゃったね……」
そこでヒナは、オレンジ色の薔薇に話しかけていた。もし遠目から見られていたらただの変な人だが……
「何してるんですか……」
「っうひゃ!?と、ととと友恵ちゃん!?」
友恵は軽蔑するような目でヒナを見つめる。
「ち、違うのよ。友恵ちゃん話す人がいないから花と話してるとかそういうのじゃないから!この花は特別だから!!」
ヒナの特別という言葉に重みを感じる。
「サアヤ……ですか」
「この花……オレンジ色の薔薇はサアヤが好きだったの。別れる前に、これを私だと思って持っておけって言われたんだ……」
「……そうですか」
だからといって話しかけるのはおかしくないかとも友恵は思ったがそれ以上踏み込まないことにした。
「友恵ちゃんはどう?大丈夫?」
そういえばこいつも穂乃香のことが好きだったなと思い出し、聞いてみる。
「まぁ、とりあえずは……助け出せばいいだけなので」
とても大丈夫とは思えない笑みをしていたが気にしないことにしよう。
「そうだね。助けちゃえばいいんだもんね。頑張ろ!友恵ちゃん」
そのヒナの真っ直ぐな覚悟に友恵は少し微笑んで答えた。
「はい。必ず」
ハルカと話し終わった後、享介は気分を晴らすために城の外に出ていた。猛スピードで運転しているためか、風がすごい。
「……だから私は早く好きっていえってあれほど」
享介が一人でいると分かったのか凛が話しかけてくる。
「……まぁ、結果的にそうなるのかな」
どこか遠い目をしながら享介が答える。伝えたいことは言わなければ分からない。この世界ではいつ死ぬかも分からない。それなら、言いたいことだけでも言っておいた方がいいだろう。
「そうだな……。この戦いが終わったら、穂乃香ちゃんに気持ちを伝えようかな……」
その言葉にふと凛は思った。これ死亡フラグじゃね?と
「ありがとうアオイ。見つけてくれて」
とりあえずハルカがアオイに礼を言う。
「俺様も言いたいことがいっぱいあるが今はそれどころじゃねぇな。変な魔力反応を見つけたから駆けつけたが正解だったな。まぁ正確な位置を掴めたのはハルキの魔法のおかげだが……」
どうやら、全身をビリビリとした嫌な悪寒のする巨大生物のオーラはアオイにまでも届いていたようだ。それからハルキの魔法の恩恵も大きい。ヒナとアツシも、それを頼りにして正確な位置を特定したからだ。
「ハルキの状態は良くなりそう?」
「今はまだ分からねぇが、相当酷いぜ。意識が戻るとしても一年はかかりそうだな……」
「そう……」
「起きちまったことはしょうがねぇ。とりあえず今は穂乃香をどうするかだろ?」
ハルキのことも心配だが、一方の穂乃香はあのハヤトに連れ去られてしまったのだ。助けるか諦めるか、助けるにしてもどうするかを考えねばならない。
「アオイ。そのハヤトって奴がいるのは王国だよな?そこへ向かってくれ」
有無を言わさず享介が言う。
「ちょっと待って、享介。これは明らかに罠よ。絶対に返り討ちにするために待ち構えているわ!そんな感情的なことで決めるのは……」
焦る享介にハルカが宥める。しかし
「享介……?」
「頼む。お願いだ。このままじっとしてて穂乃香ちゃんがどうにかなっちゃうんじゃないかって考えただけで……我慢出来ない……」
「……享介」
ここで友恵も享介に便乗する。
「私も同感です。あなた達が行かないのなら……私と享介だけでも」
二人の真剣な眼差しがハルカに向く。これはそっとやちょっとでは折れないと判断したハルカが大きなため息を吐いて覚悟を決める。
「はいはい。分かったわよ。助けに行きましょ。アオイ!」
「分かってるよ。どうせそうなると思ってたから王国まで飛ばしてるぜ!」
続いてハルカはみんなの方を見る。
「こんなこともあろうかと作戦は考えてあるわ。アツシ、どれくらい溜まってる?」
「前の二、三倍はあるぜ」
「それでもまだ心許ないわね……。とりあえずアオイは空から援護。ヒナ、あなたにはハヤトを止めてもらうわ。そして友恵には後ろから押し寄せてくる軍勢を抑えてほしい。その隙に享介と私で穂乃香を助けてくる。これでいくわ」
作戦会議の後、王国到着までの数十分を各々体を休めることに使う。享介はとりあえずリビングのソファーに座り込んでいた。
「ねぇ享介、大丈夫?」
それを心配したのか、先程まで何か電話のような霊装で誰かと話していたハルカが享介に話しかけてくる。
「なんか……ごめんな。俺たちがこの世界に来たばっかりにこんなことに付き合わせたり……あいつを、ハルキを……」
「気にしないで。私たちは元々王国に喧嘩を売るつもりだった集団だし。……こうなるのも時間の問題だったってことよ。それにあなた達のおかげで友恵っていう仲間も出来たし」
ハルカは優しく励ましてくれる。
「本当に……ありがとな」
「礼は穂乃香を助けてからね。さ!私たちも頑張るわよ!!」
「ああっ!!」
一方ヒナはというと地下の花畑にいた。
「大変なことになっちゃったね……」
そこでヒナは、オレンジ色の薔薇に話しかけていた。もし遠目から見られていたらただの変な人だが……
「何してるんですか……」
「っうひゃ!?と、ととと友恵ちゃん!?」
友恵は軽蔑するような目でヒナを見つめる。
「ち、違うのよ。友恵ちゃん話す人がいないから花と話してるとかそういうのじゃないから!この花は特別だから!!」
ヒナの特別という言葉に重みを感じる。
「サアヤ……ですか」
「この花……オレンジ色の薔薇はサアヤが好きだったの。別れる前に、これを私だと思って持っておけって言われたんだ……」
「……そうですか」
だからといって話しかけるのはおかしくないかとも友恵は思ったがそれ以上踏み込まないことにした。
「友恵ちゃんはどう?大丈夫?」
そういえばこいつも穂乃香のことが好きだったなと思い出し、聞いてみる。
「まぁ、とりあえずは……助け出せばいいだけなので」
とても大丈夫とは思えない笑みをしていたが気にしないことにしよう。
「そうだね。助けちゃえばいいんだもんね。頑張ろ!友恵ちゃん」
そのヒナの真っ直ぐな覚悟に友恵は少し微笑んで答えた。
「はい。必ず」
ハルカと話し終わった後、享介は気分を晴らすために城の外に出ていた。猛スピードで運転しているためか、風がすごい。
「……だから私は早く好きっていえってあれほど」
享介が一人でいると分かったのか凛が話しかけてくる。
「……まぁ、結果的にそうなるのかな」
どこか遠い目をしながら享介が答える。伝えたいことは言わなければ分からない。この世界ではいつ死ぬかも分からない。それなら、言いたいことだけでも言っておいた方がいいだろう。
「そうだな……。この戦いが終わったら、穂乃香ちゃんに気持ちを伝えようかな……」
その言葉にふと凛は思った。これ死亡フラグじゃね?と
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