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3-5 友恵の告白

 女性陣が風呂に行っている中、友恵だけはそっちに行かなかった。何やら事情があるらしい。そして享介はその友恵に話がある、とだけ言われ海岸へと連れてこられた。もう日が完全に暮れており、月が見え始めている。ここでみんなで星空でも眺めたいものだ。

「それで、どうしたんだ?こんなところに呼び出して」

 まさかここで突然水族館の続きをする……とはならないと信じたいが……

「岸滝享介……」
「お、おう」

 友恵が妙に改まって呼ぶ。

「実は貴方にお願いがあります」

 お願い……?

「なんだ?」

 聞き返すと友恵はもじもじと手を合わせて恥ずかしさを拭おうとしている。……ん?

「あの……享介は、穂乃香のこと好きですよね……」
「なんでバレてんだ」
「いや、見てたらモロバレなんで」

 そんなに意識していたのだろうか。もしかすると穂乃香ちゃんにもそんな感じで見られてて気持ち悪いと思われていないだろうか……考えただけで寒気がする。とそんなことより、それがどうしたんだ?

「享介……」

 友恵は肩を両手でガッツリと掴んでくる。ま、まさかこれはここここ告白というやつなのでは!?穂乃香だじゃなくて私を見てー……みたいな?いや、そんなフラグは立っていないはず……

「私は……いや、私も!」

 ん?

「私の方が穂乃香のことを……好きなんです!!」

 ふぁ?

「だ、だから……穂乃香を狙うのはやめてくれませんか……?これだけは……いくら暗い闇から救ってくれた貴方でも譲れないっ!!」
「えーと、つまり……百合?そういう性癖?」

 とりあえずこの手に詳しくない享介は友恵に聞く。

「いえ、特に同性が好きとかそういうのではなくて……穂乃香が……」

 はーん……なるほど。それで俺が邪魔だと。

「まぁそう言われても俺にも絶対伝えなきゃいけない事情があるし、そう簡単には諦められねぇよ」

 友恵はこの言葉に対し、呆れたため息を吐く。大体こうなることは分かっていたのだろう。恐らく宣戦布告のために享介に明かしただけだろうし。

「ですよね……分かりました。それならどっちが穂乃香を幸せにできるか勝負をしましょう」
「俺が勝つぞ?」
「いえ、負けませんから」

 お互いに火花が飛び散る。そしてその後享介は友恵に聞く。

「それを言いに来ただけか?」
「いえ、何故か意識したら……穂乃香と一緒に温泉って……恥ずかしい///」

 なんだこいつ。そのうち性犯罪とか犯しそうで怖い。




 そしてその後男性陣そして友恵が温泉に入り、体を温めてあとに洞窟へ戻り、一夜を過ごした。ちなみにその時、鯨と木の実を一緒に食べたが、わりと美味しかった。そして……

  無人島生活、二日目……

「あ……暑い……」

 木々によって直射日光は避けられているがそれでも暑い。

「あー分かった分かった」

 そう誰かがいうと、ヒナが魔法で氷を生み出して飲水を確保する。ほんとこいつがいなけりゃもう死んでた。こいつがいなけりゃこんなことにもなってなかったが。

 そしてグダグダと時間はすぎていき、気がつけばまた日が落ちかけていた。それでもアオイの助けは来ない。

「ああああっ!!もうつまんないつまんないつまんないぃぃぃぃっ!!」

 静寂の中、突然ヒナが叫ぶ。

「あーもう怒ったわ。みんな、肝試しやろう」

 どうしてこうなった。

「暇……暇すぎるのよ……」

 まぁ……そうだけど……

「ヒナ。今は余計な体力を消費しないことが一番よ」
「このままじっとしてる方がしんどくて疲れるっ」

 ヒナはそう言張る。

「ま、少しは気を紛らわせた方がいいかもしれないな。ずっとこんな所に閉じこもっててもあれだし」
「おおっ!アツシ分かってんじゃん!」

 アツシの賛成にヒナが興奮する。

「さーてそうと決まれば早速やりましょ!ルールは二人ペアで海岸線をぐるっと一周で!!」

「あーんじゃ。俺が留守番しとくわ。俺はそういうのに関心があまり無いからな」

 と、賛成していたはずのアツシがおりる。まぁ人数も奇数だったし誰も咎めるものもいなかった。恐らく、全く怖がったりしないのだろう。

「んじゃあペアどうする?」

 適当にハルキが聞く。

「そうね。組みたい人とかいる?」
「あ、あの私はヒナさんと少し話がしたいので一緒でお願いします」

 そう答えたのは友恵だった。

「んー?いーよ!それじゃああとは団長とハルキ、それから享介と穂乃香ね」

 な、なんだと……俺と穂乃香ちゃんで一緒に肝試し……!?

「ちょっとまってよ!享介と穂乃香が一緒なのは分かるけど、私とハルキってなんでそうなるのよ」

 そこ分かっていただけるのは享介的にありがたい。

「まぁ。お互いに怖いの苦手ペアって面白そうだと思わない???????」

 こいつ……そこまで考えて……強い。

「んじゃ、俺がゴールの目印になるからさっさと行ってこい」
「ありがとアツシ。それじゃあ誰から行く?」

 そのヒナの問に真っ先にハルカが答える。

「はいはーい。こういうのはぱぱっと済ませちゃいたいから一番に行かせてもらうわ」
「んじゃ、その次に享介達先に行っていいよ。なんかあった時前後からフォローできるし。それじゃあ一組目からスタートしていこう!!」

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