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2-17 ハヤトの裏切り

「ざっとこんなもんね。まさか丸々二話使うとは思ってなかったわ。最初書いてたら四千字とか出てきてびっくりしたし」
「ハルカちゃん!メタ発言はやめてぇ」

 享介、穂乃香、友恵は王国の末路を聞いた。

「そんな事になっていたなんて……」

 友恵が呟く。それに享介が続く。

「でも今の話的に異世界人が敵って分かるところがなかったんだけど」
「最初はアオイの推測に過ぎなかったんだけどね。状況をよく整理すると色々見えてきたのよ」

 そのハルカの言葉にアツシが続く。

「異世界人とハヤトの繋がり、災厄の前、国の用心棒だった薔薇の盗賊団ローズシーフにサヨリが持っていた笛を依頼したり」

 その言葉にもヒナがピクっと反応する。

「でもハヤトさんは何故こんなことを……」

 穂乃香が疑問に思い、問う。

「恐らく自慢したかったのでしょう。ずっと幼い頃から優秀だったサヨリが、政治を動かしてたし、魔法能力でも負けてたら劣等感を感じざるをえなかったのでしょうね。私は憧れを抱いていたけど」

 皆の頭に才能という言葉が浮かぶ。

「なるほど……状況はよく分かりました。ですが……私は以前まで王国にいましたがそれほど荒れた政治などは起こってなく、割と平和でしたが」

 そこで友恵が言うが、ハルカは否定する。

「上層部だけの問題になっているからね。王様は……事故死で済まされてるらしいし」

 僅かにだが、またヒナが反応した気がした。しかし依然として俯いている。

「それじゃあハルカ達は王国に見つからないように隠れて反撃の機会を伺っていたということか?」
「ま、そんなとこね。……ごめん。享介、穂乃香……」
「……えっ?」

 突然ハルカが謝りだす。

「貴方達を仲間に引き入れた理由って、放っておいたら、異世界人の陣営に付いちゃうかなって思ったからなの。本当に友達なりたいからなんて嘘ついてごめんなさい!」

 ハルカが頭を下げる。

「でも、結局こうして友達になれたんだからいいんじゃないかな?」

 それに対して穂乃香が優しく微笑む。

「そうだよね……。ありがと、享介、穂乃香」

 少し俯きながらもはっきりとそういった。

「おいおい。話もまとまったし、そろそろ城に帰ろうぜ。戦闘もあった後だし」

 話についていけていないハルキが、地面に横になりながら言う。

「ま、それもそうね。続きは帰ってからにしましょう」




「よっ。俺様のいないとこで色々あったみたいだな。その様子だと、俺様達の事情も聞いたようだが……」

 城に帰るとアオイが出迎えてくれた。相変わらずモニター越しだが……

「そんでその子が友恵だな。俺様がこの天空城を作り出した天才発明家のアオイだ。よろしくな」

 とアオイが挨拶するが友恵はこの大きな空飛ぶ城に呆気を取られ、何も答えられなかった。

「それはそうと団長。第一王女……サヨリにあったらしいな」

 本当にこいつなんでも知ってやがるなって顔でハルカは見返す。

「えぇ。明らかに様子がおかしかったけどね」
「そうか。まぁその話も後でゆっくりすればいい。とりあえず皆さっさと乗り込め!出発するぞ」




 そして享介は自室へと帰ってきた。

「はぁー。やっとゆっくり出来るな」

 思いっきりベットにダイブする。そしてしばらく布団にうずくまり、その後仰向けの状態になり考える。女子部屋の方では友恵の部屋を紹介しているようだ。男組は全員自室待機で、お風呂が沸くのを待っていた。

「なんか大変なことになってたみたいだな……」

 人事のように呟く。

「そうだな。俺様もただの動物園に行こう企画で戦いが生じるとは思ってなかったぜ」
「!?」

 突然声が聞こえて享介はベットから飛び起きる。

「……なんだ、アオイか」
「何びっくりしてんだよ。疲れて気を抜きすぎだぞ?」

 そうか……そんなに疲れていたのか……思えば動物園ではハルカに歩き回されたし、水族館でもヒナに付いていくため猛ダッシュしたので当然といえば当然なのだが。

「しばらくは戦いも起こらないように俺様も細心の注意を払ってやるから安心しとけよ」
「……サンキューな。それで友恵達はどうなってる?」
「ま、いい感じなんじゃねぇの?俺様はあの場に居なかったから何があったのかさっぱりだが」

 享介的にはちゃんと馴染めているか心配だったが、別に大丈夫なようだ。
「そうか」

 そこで一度間ができるが、続けて享介は聞く。

「なぁアオイ。二年前の出来事についてもっと教えてくれないか?」

 やはりハルカに聞いたことだけでは情報が少なすぎる。

「と言われても、俺様だって団長と同じくらいの情報しか持ってねぇぞ?なんならずっと研究室に閉じこもってから外の事とか寧ろこっちが聞きてぇし……」

 そういえば王国の時の研究室も地下にあったらしいな。こいつ陽の光浴びたことあるのか……。

「でも、サヨリはあんな奴じゃなかった。誰に対しても優しくて、たとえ敵でも元気を貰える……そんな奴だった。これだけは断言できる」

 確かめるように強く言い放つ。アオイにここまで言わせるとなると、相当な信頼をよせていると見ていいだろう。

「っと、そろそろ風呂が沸くみたいだぞ。ゆっくり浸かって疲れをとってこい」

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