かてきょらいふ

りゅう

好きです











「静かだ…」

祭りの日の翌日の昼間、僕は急に静かになったリビングでボソッと呟く。

「本当に静かですね」

冷蔵庫から冷えたお茶を持って来てくれたいつきちゃんが僕の言葉に同意する。

「うん。いつきちゃんが初めてうちに来た時を思い出すね」

今日、みゆぅちゃんは遠くに住んでいる親戚の家に行っている。咲ははなちゃんの家に行っているので不在、つまり家の中には僕といつきちゃんだけだった。

「で、いつきちゃんは何しようとしてるの?」

「え?勉強ですけど…」

いつきちゃんはリビングのソファーの前にある机に教材を並べて勉強を始めようとしていた。

「暇になると勉強を始めるね…」

「すばるさんはそのままごろごろしていてかまいませんよ。ただ、私の側にいてください」

「う〜ん、まあ今日は暇だからずっと家にいるよ。わからないことがあったら聞いてね」

「すばるさんのばか…」

「え?なんで馬鹿にされた?」

僕が何故かわからずに尋ねるといつきちゃんは更に不機嫌になり黙って勉強を開始した。ミステリーだ……

「本当に鈍い人ですね…すばるさんは」

しばらくしてソファーの上で眠ってしまっていた僕にいつきちゃんがボソッと呟く。

「それにしてもせっかく二人きりになれたのに寝ちゃうなんてひどいです」

いつきちゃんはそう言いながら僕が眠っている横に座ってそっと僕の頭を持ち上げる。

「少しだけ…膝枕くらいしてもいいですよね…」

いつきちゃんは僕の頭をそっと自分の膝の上に置いて呟く。

「すばるさん、大好きです」

いつきちゃんは僕の耳元でそう呟くと顔を真っ赤にしながら僕の頭を撫でた。

「はやく私の思いに気づいてくださいね」














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