最強の魔術師とヘタレ主人公の波乱の日常

白馬優

第四章 夏のバカンスにルミアの故郷へ 

第一話 成長できない自分

今の僕に出来ることそれはただ鍛錬を積み重ねることだけ、あとは勉学に励むことだ。
だが今の自我流の剣術では到底強敵と戦おうにも勝算があるわけでもない。
だから研鑽に研鑽を重ねて、自我を超越する力を得なければならない。だがその行く手
を阻むように僕は堕落していた。

落ちこぼれである僕は。周りに振り回されることを否定もしつづけようとはしない。
ただ相手に弱みをつけ込まれるだけは怖い。だから。努力しようとした。
けれど届かないまだ。その剣の矛先すら相手にかすりもせず。ただ躱されつづけ。
ひたすら防御するか躱すか。間合いのとるのが下手くそで、隙を突かれ
続け。精神的にも追い詰められ。僕の勝機すら敗北の灯火へと変わり、
最後には虚を突かれるように僕は無残にも床に体を叩きつけ。

そのまま天井を見上げる。
そこに映っていたものは勝利の雄叫びの声ではなく。
僕を上から見下す。嫌悪の目だった。
僕はその威圧感に心を蝕まれようとしていた。

次第にそれは僕の精神を不安定なものへと変えていき。僕は
敗北に敗北を重ねていき。努力しようとすら思えなくなって、先すら見えなくなって、
頭脳の成績すら上がらなくなり、勉学に励みさせせず。いつの日か授業すらサボる日々
が続いた。けれどいつの日か僕の担任が話していた。

努力すらも無駄にするなと。そうだどれだけ心を挫かれることがあっても
ひたすら努力する器量すら持ち合わせていないのならそいつは馬鹿だ。
それがこの僕だ。分かってた技量の差すらあるって。僕には魔術は使えない。
才能なんてもとからなかった。なのに剣術を磨きさえすればどうにかなると思って
足掻こうとした。

けれど僕には僕には磨くために必要な知識すらなければ。何かを掴むこと
すら出来ないまま。時間が過ぎていくだけ。もう帰りたいもとの場所にあの懐かしき。
故郷へけれど今更帰れない。僕はどうすれば・・・どうしたら・・・・

「どうやらもうスランプのようだな」

「そうだよ。これじゃただの意気地なしさ。笑いたければ笑えばいいさ。
どうせ僕は平々凡々に生きてきた無能な男さ。今更強くなろうなんて
烏滸がましいにも程があるって自覚してる」

「ならどうする今更退学届けを学園に出すか。自主退学なら今なら間に合うぞ
 だがもう二度とここには戻れないがな」

そうだ今更この学園をやめたからって、もうここには僕の居場所はないんだ。
でもどうしたら。この落ちこぼれの自分を変えられる。成長させられるそんな
まるで魔法のようなことが、僕なんかにできるわけない。
努力だって、結局は無駄じゃないか。誰も評価すらしてくれないし。
ただ時間を費やすだけだったら僕は・・・もう

「努力は無駄か。例え才能なんてなくても。努力しようと足掻くことは。カッコ悪い
 ことか、私はそうは思わないなぜなら私は昔。お前みたいなクズのどん底にいた。
落ちこぼれの魔法少女だったからさ」

「そんなルミアは才能があって」

「才能なんてなかった。養子娘だった私はずっと母親に憧れを抱いていた。けれど、
 私は母親に並ぶ力なんてもの持ち合わせていなかったし。最初は虐められるのは
 日常茶飯事だった。けれどそれを母はいつも庇ってくれたというか。慰めてくれた」

「そんな頃があったんだね。ルミアも」

知らなかった驚愕の事実がそこにはあった。あれだけのマナの質量を誇っていて、
格上であるがゆえに誰もが優等生だと思っているはずのルミアでさえも最初は
落ちこぼれであっただなんて考えられない。

けど最初から全て上手く出来る人間なんて、よっぽどの才覚があるのか、
天性の才能みたいなものを生まれ持っているのだろうか、だけどルミアは
本当にすごい人物だと今になって感心する。

彼女は自分から堕落のどん底から立ち上がったのだ。
誰もが彼女を軽蔑しただろうし。差別したものもいただろう。
だけど彼女は自ら這い上がろうと努力した。

じゃあ僕に足りたいものって一体なんなんだ。相手の力量や技量に
圧倒されるがあまりに僕は隙を突かれてしまう。そしたらもう床に
倒れこみ立ち竦むしかない。そんな僕に足りないものってなんだろう。

「努力したかって這い上がれないものもいる。それは才能とかじゃなく
 どれだけ覚えたかにある」

「どれだけ覚えたか」

「私は努力すら惜しまない日々があった。けど何も変われない自分もいた。
 だから私は何が何でも強い力を欲しいと思った。だから覚えられることは
なんでも覚えた。お前はどうだ?」

どう答えていいのか、その瞬間から分からなくなり、僕は口を開けたまま呆然
としていた。確かに何度も挑もうという姿勢はあった。けれど覚えようとかそう
言った意識は完全に抜けていたのかもしれない。学習能力がない僕はただ単に
ワンパターンの攻撃と防御で隙を見せていたのかもしれない。だから努力という
かそういう僕の積み重ねは無意味なのかもしれない。

「僕どうすれば・・・・」

「とりあえず後2週間誠意を見せて頑張ってみろ。そしたら見えてくるものもある
 なにか掴めるかもしれない」

「そうだね」

「それにもうあと一週間したら夏休みだ。私に提案があるのだが
 私のバカンスに付き合ってくれるか?」

「それってデートの誘い」

「なわけあるか、お前の修練に付き合ってやるということだ。だからあと
 2週間だけ頑張れ。待っておるから」

それから幾度も僕は剣術の修練に余念がなかった。相手の情報を読み取ること
相手から得られる情報は多い。けれど相手にも隙があるそれを見極めるのに
時間がかかった。だから勉学にも余念がなかった。相手のデータベースには
のっていない技法を応用し。相手の隙を見て攻撃。どうにか一打相手にダメージ
を与えられるように成長していった。

周りからは歓声の励ましの声もあって、友達も増えていった。けれどなんだろう
僕はなんだかもどかしさを感じていた。僕はただ当たり前のことをやったまでで
あってまだ強くなれていない。もっとなにかあるはずだと一人で何でも抱え込んで
いた。だから仲間からは素っ気ないなどと思われていた。孤独に陥るのは仕方ない
こと別に仲間意識なんて必要ない。僕はそう思い込むようになっていった。

それからあっという間に2週間は過ぎて僕は晴れて夏休みを迎えることになった。
夏休みでは外出許可が降りて、勿論授業なども一切なくプライベートな時間を
有意義に過ごせるように時間がもうけられており、一夏の8月から9月までの
一ヶ月間を自由に過ごすことが出来る。学園の計らいだ。

夏休み恋人または友人同士でバカンスに出るというものも多い。
所謂リア充というやつらだ。僕は仲間同士で戯れることを拒否し。
学園を出るなりルミアを探し回った。けれど学園の外には姿がない
そこで一旦学園へと戻り屋上を見上げるとそこには手で僕に合図する
ルミアの姿があった。

第2話 ルミアの故郷での生活と過去での出来事

「遅いいつまで待たせる気だ」
「だっててっきり外出して外で待ってるかと思って」
「そんなわけあるか、私は故郷へ行くと言ったが、故郷は異界へ通じる
 転移門。所謂ゲートを通らないといけない場所だ」
「それじゃあ」
「安易に他の人と接触行動を取れば私達を付け狙う輩もいるだろうし。
それに異界へ行くのは学園の規則違反になりかねない」

そうかだから校門の外へと出れば。ルミアを付け狙う悪い組織だったグループを
異界に招いてしまうこともあるのか、それに学園内の先生に見つかりもしたら
ということは学園の屋上はもっとも監視が行き届きやすいところなんじゃ

「監視の目を掻い潜るにもここは早く見つけられる場所なんじゃ」
「なに先生達は私達の存在を把握できない。何故ならば我の魔法でお前と私の姿を
消したからだ」
「一体全体どういうこと」
「つまり私と君は今透明人間ということだよ。だから監視カメラには
 多分誰も映っていない。」
「声はどうなんだよ」
「大丈夫だ。多分ノイズで何も聞こえんよ。私達はいないそういう暗示が
この魔術には施されている。」

ただ普通大掛かりな魔術を用いるには魔法陣というものと触媒となるもの
血とか必要になったりするものだが、屋上の地面にはその痕跡すら残って
いないとすると、どうやって魔法を発動させたんだ。そもそも本当に監視の
目を誤魔化せるものなのだろうか、ここは魔術の学園でもあるというのに。

「本当に大丈夫なの?」
「案ずるな。私を誰だと思っている。この我の手にかかれば造作もないことだ。
それに私は魔法陣を描かずとも。魔術刻印で魔術を扱うことが出来る」
「魔術刻印?なんだ。それ聞いたことも見たこともないぞ」
「お前の肩にタトゥーの文様があるはずだ」

僕の肩にそれってシャワーをよく浴びた時によく見ていたあれか、でも
あんな黒い模様のやつがタトゥーなのか、僕は別に気にしていなかったけど
今時の魔術刻印ってお洒落なんだな。でもよくバレなかったな。バレたら
大変なことになっていたぞ。いや待てよ。身体検査の時にそういえばこの模様も
見られていたはずだ。なのに身体検査で引っかからなかったということはただの
タトゥーであり魔術刻印だと見抜けなかったということなのか。でもどうしてだ。
なぜ魔術刻印であることを・・・・

「ほっ何そんなに私の目をジロジロと見て。種を教えてくれと拝みそうな
顔だな」
「だってこんなに目立つタトゥーが入ってたら普通目立つでしょ。なのに
 どうして魔術刻印であることが知られていないのか分からないんだよ」
「それは簡単なことだ。言っただろう細工をしてあると、その魔術刻印には
 普通の人ならただのタトゥーにしか見えないけれど、私にはその文様に
 邪悪なオーラが漂っているように見える」
「魔術刻印とは本来契約者のみがそれを明らかにみることが出来る。但し契約者
 以外であれば、それを見抜くことが出来るのは稀代の魔女くらいな。ものだろう
 私と同じくな」
「そっかルミアは魔女の血族の血を継いでるのか」
「そうだ。聖堂の魔女殺しの罪で殺された。育ての母の血を私ね。
引き継いだの」
「それじゃあ。君は本当にすごい人なんだね。」
「私はすごくなんかないんだよ。まぁいいとにかく行こうではないか。 
 その時に過去話することにしよう。心ゆくまでな」
「あぁ行こうよく分からないけど、その異世界へ」
「ではゲートを展開する儀式を執り行う。目を瞑って私と手をつないで 
いろ」
 「おう。ぐわっ眩しいなんだこの光は」

こうして僕とルミアはこの世界とは別離した。異世界へと誘われるのだった。
そしてそこにはまだ見たことのない美しい光景と長閑な田舎の風景が垣間見る
ことが出来たのだった。
最初見た瞬間本当にこんなアニメに出てきそうな風景ってあったんだと思った。
それは幼い頃から憧れていたものそのものだった。そしてあるとき夢に出てきた
あの風景とも同化していて、僕は益々高揚して胸が高まる思いだった。

まるで御伽噺の世界そこには見たことのない動物やらが沢山生息していて、見たこと
ない人種の人たちも沢山いた。あれは亜人というのだろうか、ルミアの村の集落には
人間とは異なる亜人という者達も数多くいて、街中を見物するように練り歩いている。
僕は違う人種に混じりながらも。新鮮な空気を吸うように見たことのない光景を目の
当たりにしながら困惑の表情を浮かべながらもルミアが住んでいるという屋敷を訪れる
のだった。

「ルミアお嬢様お久しぶりでございます。お元気でなりよりです。
 そちらの方は」
「やぁアルフレッド久しぶり。元気にしてたか。こちらは私の友達だ
 まぁ仲良くしてやってくれ」
「そうですか、このたびはルミアと友達になって下さり、光栄です。
 なにせこの子は昔独りぼっちで友達がいなかったもので、これからも
 どうか末永く友達でいてください」
「いえ僕もルミアには助けもらってるし。一緒にいてすごく楽しいですよ」
「そうですか。ならなによりです」

ルミアのこの屋敷は豪邸で豪奢な佇まいが感じられるほど優雅で綺麗なものだった。
それは内装も同じであり。大きなシャンデリアとともにアンティークな置物が沢山
ところどころに並べられていた。整理整頓もそれからフリーリングの床や階段もドアも
窓も内装自体綺麗にコーティングされていた。アルフレッドとそのメイドである人が
綺麗にしておいてくれたのだろうか。感無量である。
とその時だった。僕達がアルフレッドの案内で色々と家の中で
話込んでいた最中。玄関から顔を出して、大声で話しかけてくる
白い髪のポニーテールの少女の姿がそこにはあった。

「ルミアお姉ちゃん!ねぇルミアお姉ちゃんだよね。元気。元気にしてた」
「コレット。コレットなの?久しぶり。元気にしてた。変わりないかしら
学校で苛められたりとかしてない?」
「うん大丈夫それより大丈夫お姉ちゃん。日本で悪い人に誑かされ
 卑猥なことなんかされてない?」
「大丈夫よ。コレットさぁこっちに来なさい。やだねぇこの人はこの人誰なの
 怪しい人。大丈夫お姉ちゃん」
「大丈夫よ。それに安心して、その人私の友達だから」
「お友達なのなら良かった。それにしてもなんで男なの?もしかしてルミア
 お姉ちゃんの彼氏?」
「そんなわけないでしょ?もう」

しかしまぁ姉妹揃って仲も良いし。可愛いし綺麗だし。なんだろう僕が仲間に
入れてもらえないのが少し残念な気がする。それにしても本当に仲がいいんだ
と思う。僕は弟と仲が悪くてこんなに会話が弾んだこともなかったし。どうでも
いいことでいつも喧嘩ばっかりしていて、いつしか話すらしなくなっていた。
でもルミアとその妹を見ているとこれが普通の姉妹なんだと改めて実感する。
それがなんとも愛おしくて微笑ましくも思うのだった。

「どうかされましたか」

そんな僕を影から見守り声をかけるアルフレッドがそこにはいた。
僕は俯きながらも二人の様子を伺いながら。疑問に思っていたことを
密やかに小声で呟いてしまうのだった。

「いやさルミアってあんな顔出来るんだなって思っただけ」
「それはまぁ姉妹ですから」
「僕が今まで見てきたのはそれとは別だった。というか何か一人で全部を
抱え込んでいて、仲良しの友達を連れ歩いてる様子もなく。一人で孤独
なのかなと思ってたから」
「それは考えすぎなんかもしれませんな。彼女はただ貴方のことばかり考えて
いたんじゃないですか、彼女はあぁ見えてお節介なところがありますから」
「そういうものなんでしょうか」
僕が頭で考えていたこととはかけ離れていることだ。
だが今までの行動は確かに不可解な点が多すぎる。彼女が何故に僕のために
そこまでする必要性があるのか、それは今現在のところ僕の中では分かって
いない。
だから僕も彼女の素性について知る必要がある。けれど彼女の心の中を知る
ということは陰惨な過去とか彼女が抱えている悩みを背負うということでも
ある。僕が彼女に寄り添うことで出来ることはそれくらいしかない。
アルフレッドは僕にルミアと友達になってくれてありがとうと感謝していた。
けれど僕はルミアに支えてもらっていて、それが彼女自身の負担になっている
のかと思えば気が重くなり、やはり彼女との心の距離は遠くて、手に届かない
距離にあるんだと実感する。

「実のところコレットはルミアの本当の妹ではありません。お互い血の繋がりが
ないんですよ」
「そうなんですか?」
「はいコレットは村の農村付近で発見されました。当時村の食料不足による飢饉が
 蔓延しつつあって、彼女もその被害者であり、餓死寸前のところをルミアが見つけ
 引き取ることにしたのです」

ルミアは母を亡くした後。屋敷のオーナーでもあるアルフレッドに引き取られ。
田舎町から都会にある魔術学校に通いつめ。めきめきと実力をつけて、最上級
ランクである称号を手に入れ。卒業試験を終えて、また田舎町にある屋敷に
戻ることとなる矢先。村の様子を見に行くとそこに倒れ込み餓死寸前で気絶して
いた幼い少女の姿があり、すぐさま治癒魔法をかけ。どうにか意識を取り戻し。
一旦引き取ることにして、屋敷でご飯を食べさせたりするとどうにか元気を取り
戻し。今度は親を探しにまた村へと戻った。村は燃え尽き一面が焼け野原となり、
生存者はいなかった。死んだ母の亡骸。少女の顔は涙で溢れかえっていた。

「どうして・・・どうして・・・お母さん・・・お母さん・・・」

少女は涙を流しながらそう言っていた。見かねたルミアは彼女を抱きしめ。
一緒に涙を流した。そしてこういった。

「お前の母親はもういない。私の母も死んだ。けどもう泣かなくていい。

「生きてるだけで良かったんだ。ただ生きているだけで」

「でももうお母さんは」

「もういないんだ。死んだ人を生き返らせる魔法はない。

「だけど私がお前の 母親の代わりになることなら出来るのかな」

「私の母親の代わり。お姉ちゃんが」

「そうだからもう泣くな。そしてもっと強くなれ深い悲しみさえも
 乗り越えられるように・・・・」

アルフレッドから聞かされた話によると。コレットの母親はいたのだけれど、
母は娘を愛してはいなかった。だから育児放棄していたのだ。農村が食料不足
に陥ったのは。食物の栄養不足により育たなくなってしまったからだ。
困りに困った村人達は結束して自らの命も引き換えに村全体に火をつけて、
死んでいった。

ルミアは死んだ人間を生き返らせる魔法などないといった。それは本当で、
死んだ事実を無くすことはできない。不可能なのだ。だから少女に今はただ
現実を受け止めて、もっと強くなれ。助けになるからと少女の母親の代わりに
なることを決めたのだった。

それからコレットはルミアのことをお姉ちゃんと呼ぶようになり。お互いに
愛し合って、楽しい日々を過ごすようになり。コレットも魔術学校に通う
ようになり、いつかお姉ちゃんを守れるくらい強くなりたいと思うようになり、
いつしかルミアが目標になっていた。

その事実を僕は全くもってしらない。ルミアとコレットがどういう関係性で
結ばれているのかも。どういう生き方をしてきたのかも。けれどお互いを
思いやれることって大切なことなのかもしれない。人から愛されるって本当に
その人にとって希望になれることかもしれない。僕はその話を聞いてそう思う
のだった。

「そういう関係だったんですね。ごめんなさいただ仲がいい姉妹なのかと
 思ってしまって」
「人生にはいくつもの分岐点があり、彼女はその一つを全うしただけだよ。
 ルミアは彼女コレットの希望になったのだから」
「でもそれを背負うのって相当な覚悟が必要になるんじゃないんですか?」
「そんなに深く考えるな。青年。二人は今幸せなんだよ。
だから君も楽しみたまえ」
「そうですよね」

深く考えるな。今はここでの生活を楽しまなきゃ。折角の夏休みなんだし。
それに異世界に来ることなんて滅多にないかもしれない。
それにしてもさっきからルミアとコレットの姿がない。一体どこにいったんだ。
まぁ心配しなくてもいいのだけど、なんか俺だけ独りぼっちでいるのも
嫌だし探しに行くか?

「あぁコレットとルミアなら魔獣狩りに出かけたぞ。食材調達にな!
 美味いレアモンスターを狩りに」
「それって禍々しいほどにやばいやつなんじゃないんですか」
「大丈夫だ。見かけはアレだが・・・・美味しいぞ」
「それマジやばいやつじゃないですか!」

急いで追わないと大変なことになりそうだ。
全く俺はどうして運がついてないんだ。
魔獣狩りしなくても食材ぐらい調達できるんじゃ。
というか食べる前にサバイバルってなんだ。

弱肉強食の世界かよ。とまぁ人間には勝てないはずだが、
相手は魔獣だぞ魔獣。危険度高すぎるだろ。
それに女の子二人で立ち向かえるものなのか。
ルミアはともかくとしてコレットは。いかんいかん変な妄想をするな。
余計。心配になるだろう。ともかくそんなにまだ離れていないはずだ。
魔獣を狩りにいったということは近くに森林がある森の中か。
そこなら魔獣がわんさか。生息していそうだがともかく
聞き込みだ。見かけた人何人かいるだろうし。

「ってあれなんで庭の庭園でサバイバルしてんだよ。しかも二人共かなりやりて」
「颯真そこにいては魔獣の餌になるだけだ。下がっていろ」
「いやそっちこそ危ないんじゃ」

相手は小振りな灰色狼にとサイにそして赤い鳥。あれはフェニックスなのか。
それにしても。そんな相手によく挑めるよな。というか相手の数多すぎるだろ。
どうやってこんなに魔獣がここには溢れているんだ。

「近隣住民から避難警報が発令した。
 魔獣による被害が多くなっているらしくてな」

「それでここまで襲ってきたっていうのか」

「あぁ魔獣はとくにマナの質量が多い人間を好む何故ならば。

「魔獣のツノにはマナダイト結晶というもので機能しているからだ」

「それにしてもこの数お前達じゃ倒しきれないんじゃないか」

「まぁそう言うな。私とコレットの力はこんなものではない。

「そろそろ終わりとするかコレット契約魔法だ。私の手を握れ」

ルミアとコレットの契約儀式が発動される。発動条件はお互いに目をつむって。
キスを交わすことにより効力を発揮する。だが俺と契約したばかりだというのに
一人を限定として契約するものではなかったのか。だが限度というものがあるの
だろう。もしかして一時的な契約なのかこれは

「颯真お前にも見せただろうあの秘技を使う」

「フェイヤーエクスプロージョン・エンドフェニックス」

「はぁああああああ!」

「フルバースト!」

すると数多くの魔獣はあっという間に火の海に投げ出されるかのように。
丸焦げとなり。ただ肉体だけが仰け反り状態でもう意識すら完全に失って
いた。しかし何だ。この数の多さは。異界にも魔獣って住み着いているの
かよ。それにしても契約魔法ってあんなに簡単に扱えるものなのか。
お互いにシンクロしていなければ効力を発揮できない。そういうもの
なのだろうか。

「あぁさっきの契約魔法に関してだが、私とコレットは元々契約の儀式を
 終えている。この刻印をみろ」
「じゃあ一時的な契約魔法ではないということなんだよな」
「あぁ私とコレットはもうコレという仲だからな」
「ちょっとお姉さまこの訳もわからぬ男にその・・・私とのxxな関係を
教えていいのですか」

xx言うなよ。一体どんな関係なんだよ。というかルミアってもしかして
あれか所謂シスコンってやつなのか?いやだとしても契約なんてありなの
かよ。俺だけの特権なのかと思っていたのに・・・・まぁそれは良いとして
姉と妹の関係性だ。きっと色々と事情があるのだろう。

「ルミアその契約魔法の効力とかって魔獣には有力なのか」

「あぁ魔獣には効果が倍増する。」

「そうなのか?」

「だがお互いに意識が覚醒状態であるのが、もっとも効力を発揮することが出来る。」

「じゃあそれを扱えるかどうかで」

「勝敗を決する。お前も私の契約者なのだから覚えておくといい」

「分かったよ。それにしてもあんなに連携が取れているにはびっくりだ。
 まるで本物の姉妹みたいだった」

しかしこの魔獣をどうやって調理するんだ。このままだときっと毒だろう。
それにこんなに丸焼きにして。全部食べられるものなのか。だがこれで、
近隣住民への被害への防止対策にはなったのかもしれない。魔獣という存在
は一体どこから発生源を広げているのか。マナダイト結晶というものは一体
なんなのか未だ謎が多いな。と頭の中が困惑しながらも。
全てルミア達に任せるのであった。

夕食はその魔獣の皮をぶつ切りにして釜でグツグツと煮込み。
それを食べるのだった。邪悪のオーラが如何にも漂っていて、
不味そうな感じだったが、以外にもそれが美味しかった。
そしてそれを腹いっぱいに食べてベッドの上に横になるの
だった。勿論ルミア達とは別部屋だ。

とまぁこうして異世界での一日が始まりを迎えるのだった。
がこの先に何が待っているのかそれすらもまだ分からないままだ。
だが一つだけみて分かったのが、ここならルミアについても距離
を近づけそうだし。もしかしたら自分にとっての大きな何かを
得られるチャンスかもしれない。

そういう光景を頭の中に入れながら。安らかな眠りにつくのだった。
まだ見る明日を見るために・・・・

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