最強の魔術師とヘタレ主人公の波乱の日常

白馬優

第一章 プロローグ 運命に導かれし最強の魔術師との契約

先に自己紹介しておこうと思います。僕の名前は青柳颯真。家柄はそれほど裕福
ではない普通の庶民だが。

学校生活は順風満帆。文武両道。学力トップクラス。
クラスからでも女子からモテモテな俺は。
この宝月学園にとっていなくてはならない存在である故に皆からモテて。
俺はある日自分の通う家から3・40分もかからないほどの距離に位置する。
私立高校にたどり着くとクラスメイトや先生らに軽い挨拶を済ませそのまま
頬杖をついたまま眠りこけそうになっていた。

そんな時だった。耳をつんざくような。でかい轟音が校内な鳴り響くと同時に
急遽担当教師である渡部誠先生だと分かり。
それが僕だと再確認し。僕は大慌てで職員室にノックをせず入ると、
先生の口からこの宝月学園から出て行くようにと
指令があり、学校の規律上それを受ける義務があった。

僕はその言葉を聞いて気が動転したのか、どう処理していいか、
脳内回路が麻痺し。訳も分からず。何でですか、何で僕はここにいては
いけないんですか?と反抗した。

そんな僕を制するように担当教師である渡部先生はとにかく落ち着けと
僕を宥めようとしているうちに。僕も我に返り。

まだ先生にその理由を聞いていなかったことに気づき。正気を取り戻して
渡部先生に向き直るのだった。すると先生はにこりと笑顔をみせながら、
今度は真剣な眼差しで僕がなぜこの学園を去らなければ。ならないのか
理由をゆっくりと告げるのだった。

それは数日前のこと。

先生はある日。学校にあるポストの中から国指定である。極秘通知が届いたらしく。
それが東京にある。私立魔科学未来学園からのお手紙だと気づいた。

中には推薦状が入っていて、何かの手違いじゃないかと思った。渡部先生は
その学校に問合わせたところ。それは間違いではなく本物の推薦状で、
先方からは僕を是非にと思っているみたいで、先生はそれならということで、
承諾することにしたらしく、僕にその学校に転入してほしいと願って、僕を
わざわざ職員室にまで呼び出した。

そしてその学園に入れば、奨学金が支払われるらしく、学費は全て免除。それは
成績とともに倍以上に膨れ上がる。卒業試験を終えると、防衛省直属のある
特殊部隊に配属することが義務付けられているらしい。

そしてその特殊部隊というのは。
昨年のネットやTVニュースでも取り上げられることとなった。
アーロンと呼ばれる大型魔獣の討伐部隊のことである。

アーロンと呼ばれる大型の魔獣は。国からも危険難易度。
Sクラス認定を受けるほどの死に直面するリスクが高く。
そのモンスターに噛まれた患者の多くは。全身に毒が蔓延し。
そのまま衰弱死するケースもあったという。

そしてその患者が治療を受けずに都内を徘徊するようになれば。
一般人での感染者を広げるリスクも大きく上昇するであろう。
そうなれば国全体がパンデミック状態に陥いる一大事となる。
現にこのアーロンというモンスターは日本のみならず。
世界各国でも目撃者が相次いでいるらしく。

最初に目撃されたのが、アメリカで、その次に。アフリカ。インド。フランス。
中国へと襲来し日本へと被害が及んだ。そして、アーロンと呼ばれる魔獣は
正体不明らしく。なんらかのルートを辿り襲来するのだという。
そのアーロンと呼ばれる特殊部隊。日本人と外国人の部隊で編成された。

特殊部隊。アルファDX部隊は機密組織であり。国指導のもと
機密訓練を日々行い。アーロンへの対策意識を高め。
撃破を要するに半日で終わらせたこともあるほどらしい。

これはあくまでも逸話であり、実話かどうかは定かではない。
しかし日本は襲来した未だ謎の多い。大型魔獣アーロンの撃退に成功。
特殊部隊の活躍もあり、被害の拡大。防止しているのには間違いなく。
国の安全維持にも大きく関わっている。

そして僕にはその学園へ入る素質があるらしく。
その事実を知った僕は一晩考え両親にもその事情を話して、僕の両親も
疑問の表情を浮かべながらも話の大体の素性を理解してくれた。
クラスメイトにも話したら。おめでとう!のただ一言の言葉が僕の
耳元に響いていた。僕はその励ましの言葉を聞くたびに
大きな不安を感じて。嫌な嫌悪感に晒されていた。

何故ならその学園が推薦状だけで通すはずのないことに
気づいてしまったからだ。

その推薦状には付け加えてこう書き記されていた。
この推薦状を持ち学園へお越しいただいた際には
推薦テストを受けることになっておりますので、とあった。
その時僕は気づいてしまった。

この学園は鼻から僕に期待なんか、素質というものを
抱いてくれていないことに。そしてそれは必然なのだろうか、
それとも偶然なのか当たりで、僕は波乱による推薦テストを
受けることになるのだった。そしてその結果
がこれである。

「もうだめだ。死ぬ。誰か!誰かこの檻から出してくれ、もうケルベロスと対等に
 戦うのは嫌だ。頼むからここから出してくれ!さもなければこのまま僕は棄権する
しかなくなる・・・・」

「棄権するだと推薦状をもってして、このざまとはいかがします校長」

「ふむこいつはもう」

この学園への希望を感じられるようになった。
僕は僕自身のチャンスだと思い込むようにして、
どうにか両親とも先生とも了承を経てようやく
私立魔科学未来学園へ辿り着くことができた。

だがテストでの評価は最悪な結果で、最初のテストでは魔法を使えるか
どうかを試すテストでは。
マナダイト結晶と呼ばれるものによる干渉によって、体内にマナを宿せる
かどうかを試すテストで、僕がそのマナダイト結晶に干渉しようとすると、
それが引き金となりその貴重である国の財産。マナダイト結晶が木っ端微塵に打ち
砕かれてしまい。僕はしょんぼりしながら、その代償を背負い。

今度は剣の腕前を見せるテストがあり、剣術を教える先生に付き添い。
なんとか剣と盾だけは扱えるようになったものの。まだ体がついていけず。
完全にマスターすることも叶わず。

推薦テストを心半ば精神が挫け。一時の気の迷いで諦めかけようともしたが、
受けることを決心したのであった。その時から僕はもうやけだった。
対戦相手は僕よりも背が高く。猛獣の牙を見せつけながら恐怖心。で
僕を挑発してくる。大型魔獣ケルベロスだった。その大きな口は僕を
丸呑みできるほどの大きさで、僕は恐怖のあまり身震いしながらも
交戦をしようと覚悟を固めた。

僕は剣と盾を持ったまま大型のケルベロスである。
魔獣に速攻で攻めに入った。
猛獣であるケルベロスは僕に遠吠えを吐きながら。
突進して攻め寄ってくる。
僕はどうにか魔獣の盾装備でガードし振り切りつつ。
攻撃の構えを取り、隙を見てすかさず攻撃を一手に踏み出す。
そして毎度毎度。相手のターンになるとまた後衛に下がり
防御体制を作り。猛獣の背後を取りながらすかさず攻撃。
がしかし。その攻撃パターンを全て読まれたいるのだろうか、

そのケルベロスは大きな牙をみせながら。尻尾を振り回し
僕はそれに巻き込まれ、僕はそのままガードしきれず、
体力を削りとられ、壁に激突し大きな大ダメージを背負う。
ケルベロスから大きく距離を離し。檻の外側にいる見物客
に誰かに助けを求めるように懇願した。

しかし観客どもは僕を中傷し嘲笑うものばかりがいて、
僕は馬鹿にされている気分だった。とそんな時。
僕の前に金髪碧眼の杖を持った。赤い髪で黒い服を身に纏い。
手には上物の杖。魔術師である彼女は僕にこう告げるのだった。

「おいガキ。起きろ」

「はい」

「貴様死にたいのか」

「いいえ。死にたくありません」

「ならば我と契約しろ。我の名はルミラ。死にたくなければ我に従い
 キスしろ。それが私とお前の最初の契約だ」

「そんなキスだなんて」

「いいから契約上しかたなくだ。それに私とじゃだめか」

いいやそれはむしろ逆。キスしたいくらいだ。けれど彼女はまだ僕よりも子供
で僕よりも背が小さくて、まだ幼さない。そんな子にキスなんて、いや待て、
これはチャンスか彼女と契約すれば。俺は晴れてこの学園に転入することが
出来るそうなれば!

「よし契約する。ルミラだっけ、改めてよろしく」

「ふん馴れ馴れしいが嫌いじゃない。私も聞くがお前の名は」

「僕の名前は青柳颯真。気軽に颯真って呼んでよ」

「あぁそうする。では契約を我と契約するならば答えよ」
「えっ?」

「お前に私の命に値するものであるとここに誓えるか」

「うん誓うよ。僕は君のためならなんだってする。このケルベロスだって
蹴散らしてあげる」

「ならば口づけをそして契約の証として我の力をお前に授けよう」

なんだろう体がさっきよりも楽だ。それに契約の力のせいなのだろうか、
全身後遺症を負いそうなくらいに。傷だらけだったのに何一つない。
無傷だ。そして僕はその時初めて魔法を使うことが出来る喜びを味わう
のだった。

「われの契約により命じる。黒き王の魔獣よ。熱く燃えたぎる痛みを
その身をもって味わうがいい。聖なる灼熱の獄炎」

「フェイヤーエクスプロージョン・エンドフェニックス」

「はぁああああああ!」

「フルバースト!」

とその瞬間だった。突如大きな轟音とともに爆炎が硝煙とともに
燃え上がり、ケルベロスを包み込むと。たちまちその爆風が辺り一面
を吹き飛ばすかのように吹き荒れ。塵。屑ともにあらゆるものを吹き飛ばし。
その凄まじさは僕の想像を絶するものだった。

「ぐっうおおおおおっがぁあああああっ!」

そして戦いは終わりを告げるかのように魔獣の呻き声が聞こえ。
獄炎の炎はなかったかのように消え去り、そこには鮮血の
血を全身に浴び。瀕死の状態で倒れ込む。ケルベロスの姿があった。
その黒々とした毛並に包まれた。黒の魔獣ケルベロスはようやく
全力の力を使い果たしたのか、体力の消耗が思いのほか早く。戦いを
続ける余力すら残っておらず、最後の最後には残る体力が0になり、
そのまま塵一つ残さず消滅した。そして会場にはスピーカーから流れる大音量の
テスト終了のブザーとともに。大歓声の渦の中戦闘は終結するのだった、

しかしその光景もだが、驚いたことにこの見ず知らずの女の子。
見た目からして僕よりも年下の彼女との契約によって、
魔術結晶〈マナダイト〉の干渉なしに魔法が使えるようになるなんて
まるで夢でも見ているかのようだった。彼女は一体何者なのか、
分からないままただ呆然と立ちすくむ

僕は思考しながら今までの状況を整理する。しかし周りのどよめきは
急遽現れた謎の赤髪の少女により、戦況の状況が逆転するとともに
歓声の声が鳴り響き。戦闘終了後。穏やかな熱気が更に強まり。
同様に厳かな雰囲気に包まれ。不穏な空気が全体に流れ込む中。
僕は動揺しながらもその推薦テストの最終結果を待つのだった。

それから長い沈黙が続いた。会場全体からは今か今かと待ち望んで
いる観客も大勢いた。そして審査結果は整ったのだろうか、
校長ほか推薦テスト選考委員会の方々が、監視塔から瞬間転移装置
〈ワープゲート〉を使い。地上にある魔法城壁と鉄壁の檻に囲まれた。
戦闘テストグラウンドへと転送されて来るのだった。

そして僕も結果を今か今かと息を呑むように待ちながら、10分15分と経過の
タイムラップが胸の鼓動が脈打ち。胸が張り裂け様になるくらいの苦痛
を胸に抱えたまま。選考委員会ならびに校長。副校長らが目の前に仁王立ち
で立ち並び。その鋭い眼光は誰しもが期待や不安を抱くような面持ちで、
見つめるその目に僕は緊張からか息を吸う。吐くを繰り返し。口元から滴り
落ちてきそうな唾を飲みながら。その推薦テスト最終結果の朗報を待つのだった。

心の中で自分の声が叫び声を上げていた。
「頼む頼む。合格してくれ俺はどうしてもこの学園に受かりたいんだ」
その気持ちは離れた両親そして元いた学校の仲の良いクラスメイト全員の
希望でもあった。

「どうしたそんなに怯えて、合格だ。もう安心していい。」
「本当ですか?本当に信じていいんですか」

それは高鳴る希望と不安が交錯するなか生まれた。奇跡のような出来事
だった。何故ならば僕一人の力では成し得なかったことだからだ。

「まぁ落ち度はあったが、落第点というところかの。その赤色の髪の
娘にも感謝することじゃ」

「けどこの推薦テストの規定違反になるのでは」

「それはないなぜならば」

と校長が言おうとしたところで。その赤い髪を身にまとった。ルミアが
校長の言葉を遮った。

「何故ならばここは未来学園。この世の未来を救う救世主となるものを
育てる養成学校であるからだ。」

「そうつまりはそういうことかの。では残りの皆さんどうぞこちらへ色々と
話したいこともあるじゃろうから」

それ以降は校長からの受け渡しで副校長から推薦選考委員会の先生方が僕に挨拶に
来られた。僕は戸惑いを浮かべつつも苦笑いをしたまま。一人一人の
会話を耳に詰めながら。なんとか話をつけるのだった。

ふぅーやっと一息がつける。だけどなんだろうこの歯痒い。違和感は僕が
この世の未来を救う。救世主そんなもののために僕は選ばれたっていうのか、
そんな馬鹿馬鹿しい。そんなファンタジーな世界があるものか、でもどうして
だろう。その言葉は正しい何故ならばこの日本という世界そのものが、国がしていた
アーロンというモンスターの出現によって文明が変化していったからだ。

それに以前から宝月学園の先生からもそしてここに来てからも耳に聞かないこと
ばかりがあったじゃないか。最初から僕はこの意味不明な理不尽感に踊らされ
続けていた。だけど今になって分かった。僕は国のために利用される。
使い捨ての代用品に過ぎないということを・・・・

「そうか僕は勘違いをしていた。国のため国家のために戦う。それは
命を変えて戦うといういことだ。命を切り捨てようとも戦う覚悟が必要
ということなんだよな」

「そうだやっと気がついたのか愚か者。お前はそんなことも知らずにこの
試験を受けたのか」

「分からなかった。けどこの世界は確かに狂ってる。そして僕はどうしようも
ない愚か者で君がいなければ死んでいた。ヘタレ主人公で、でも何だろうこの
気持ち。どうしようもなく僕は今生きてるって感じてるんだ」

「そうか、でもこの先はお前でも荷が重すぎて」

「そうかもしれないね。でも僕は今自分が今まで成し得ようとしなかった課題に
果敢に立ち向かおうとしている。だからその使命を全うしたいと思う。だから
ルミアまた君の力を貸してもらえた嬉しいんだけど・・・・」

「馬鹿。馬鹿お前どうして私を・・・どうして・・・・」

「この世界をくだらない狂い狂った世界で全て終わりにしたくない。僕はそのために
君の力を使いたいんだ」

どうしてだろう。やっと言えた自分の気持ち。しかもこれは告白に等しい言葉だし。
やっぱり僕は君に相応しくもないし。僕のサポート役だなんて荷が重すぎて、やって
られないよね。やっぱり今の言葉撤回しよう。そうすれば。そう思った僕はルミアに
向かって撤回の言葉を述べようとしたその時だった。

「あぁそうか。ならば私も全力で、お主の。命じるがままに。力の糧となろう。
だだし代償として、お前の命と引き換えにだ」
「そんな僕が死ぬことでルミアが死んじゃうなんて」
「構うものかお前と契約した時。その覚悟はとうに決まっていた。お前はその
私の覚悟を無いものにするつもりか」
「いやそうじゃなくて僕は!」

その言葉が出た瞬間僕は息が詰まるほどの嫌悪を感じた。
だけどその気持ちとは裏腹に彼女の固い決意は揺るぎないものだった。
僕はどうすれば不安という暗闇が僕の心を蝕もうとする。だけどその瞬間に
光が差した。何故ならば僕は堪えきれないほどの気持ちを抱えたまま。覚悟
を決めたからだ。

「分かったその覚悟。僕も甘んじて受けることとするよ。君がいなきゃこの
学園では生きてはいけないだろうから」

「果たして最強の私とはいえ。お前を完全勝利へと導くことが出来るかどうか
分からんぞ。だからお前自身も己を鍛え上げよ。そして我も今まで禁じていた。
最強の力を使うための修行に励む」

「最強の力って」

「まだ明かせぬ。だが時が来たら教えよう。それまで俺とお前は同棲をしながら
生きていくのだからな」

「えっ?同棲嘘でしょ。ありえないでしょ!」

「まぁそう案ずるでない。まだ決まったわけではないのじゃからの」

「ふぅーいきなり脅かすようなこと言うなよ!心臓に悪いわ」

とまぁこんな感じで彼女と僕との長話は集結した。最後に校長から
賞状の授与が行われ。沢山の観客の声援の声に包まれながら
僕は未だ見ぬ不安を隠せないまま。僕は救世主という名の重荷を背負い。
晴れてこの私立魔科学未来学園。の転入生となるのだった。

そして最強の魔術師とヘタレ主人公の愉快な日常生活が
幕を開けるのでした。
                         
                
    



間奏 戦いを終えたその後で・・・・

なんとか推薦テストを終えたばかりの俺は契約の力を使い果たした。
代償に膨大なエネルギーへの負荷がかかり、
正直疲労困憊で憔悴しきっていた。

けれど、最強の魔術師であるルミアは膨大な
契約魔法を放った挙句に倒れ込んでいるかと思えば。
その予想とは裏腹に僕の精神的な病を自らの回復魔法
で癒してくれた。

「どうしてこんなの時間が経てばすぐに」

「愚か者どうしてそう軽々とその言葉を言える。契約魔法は確かに私のほうでの
消耗に負荷がかかりすぎるケースもある」

「じゃあルミアも休んだら」

「私の場合は別じゃ。戦いの前に大量のマナダイトへの補給。
 つまりは干渉を続け。体内に溜まっていた半分のマナをお前に
 送っていただけだ。だから精神的な消耗も何もない。
 私は別に力の発動の手助けをした。までじゃからな」

「じゃあ君は大丈夫なんだね。ごめん負担かけるよね。
 まだ初対面の君にこんな代償を背負わせるなんて、
 僕は惨めで耐えられなくなる自分に嫌気が差すよ」

それは今までこつこつと積み上げてきた実力が
この学園では通じないことを意味していた。

奏多は武道にはかなりの腕があった気でいた。
だが実際に真剣を握れば。指先すらかじかむほどに震え。
その震えが生じて、油断を生んでしまった。今まで剣道を
していて、ブレない精神を持ち続け。強敵相手に打ち負かす
こともあった。けれど、それはこの未来学園という場所
では通じない。

僕はゲームやアニメで言えばただの
ヘタレ主人公であるに他ならない。
魔法も使えなければ。剣の腕すら危ういときた。
僕は彼女を守ってやることも恩を返すことすら
出来ないかもしれない。僕はただの
意気地なしだ。こんな姿僕には想像すら
出来なかった。

世界は広いといえど、この未来学園は別格だ。
この魔法という概念が発達していき。

この学園には多数。それも何万人という生徒が点在しているだろう。
その中にルミアレベルの最強クラスの魔術師もきっといる。
僕はその生徒達とも戦いを挑まなくてはならなくなるかもしれない。
いや魔法だけではなく。剣術でも卓越した腕を持つ剣士をもいる。

勿論魔術と剣術を応用できる魔法剣士もいるだろう。
そのクラスでも僕よりも高いハイレベルの生徒もいるはずだ。
そんな学園で果たして僕は生き残れるのだろうか。
勝ち続けられるのだろうか。もっと強くなりたい。
こんな弱い自分じゃきっと駄目だ。

でも僕には強くなるしか道はない。
あれ意識がなんだか朦朧として、駄目だ・・・・どうしてだろう・・・
だんだん意識が遠のいていく。

ルミアも僕のために無理をしてくれてたし。
マナを使い果たしたのだろうか。ならやっぱり君もやっぱり馬鹿だ。
哀れな僕のために救世主となった君は本当に馬鹿なお人好しだ。

その後僕は意識が遠のき。眠りについてしまいそうになるなか。
微かな囁き声が耳に響き。脳内を駆け巡った。

「すまない。私の悪い癖だ。許せ。どうやら私のマナも限界のようだ。
 君を万全の状態に回復させる力すら残っていなかった。

「私も確かに馬鹿だな。クズでどうしようもなくて、ヘタレな主人公である
 お前とどうして、契約なんか結んだんだろう。だけど私はお前にすごく
 興味ある。

「全くの才能もないお前がいつの日か己を超え。私の想像を遥かに超える存在
 になることを私も望んでいる。それだけは眠っているその頭の中で理解して
 いてほしい。私もお前に全てを捧げる覚悟で戦うから」

そしてその声はそこで途絶えた。
ルミアがどうしてそのように僕に囁いたのかは分からない。
だけど彼女も決死の覚悟で僕と契約を交わしたのだ。

けれど僕は未熟でどうしようもない甘ったれな若造で、生まれたての赤子
みたいに泣き喚くこともあるかもしれない。
そんな僕に期待した彼女は一体何者なのだろうか、僕は頭の中に想像を浮かべ
ながら長い眠りに落ちてゆくのだった。


早朝 7時00分 

ようやく目が覚めたらそこはベッドの上だった。
何時間眠っていたのだろう。

気づけばもう翌朝の7時を迎えていた。
一体ここはどこなんだ。見られない部屋。
そこには綺麗に整理整頓されていて、
部屋を見渡すと如何にも自分のいた部屋とは
違うオーラが漂っていて、僕のベッドの足元には・・・・

ルミアがすやすやと眠っている姿が目に映った。
そこにはあの時とはまた違う可愛い乙女の姿そのものがあり、
それはあんなに威張って立っていた生徒とは思えないほどに
純粋なもので、そのオーラからは可憐な美少女というに
等しいものだった。

そんなルミアを見下ろし。そっと起こさないように。
ベッドから遠のき。周囲を見渡すとここが医務室で
あるということが発覚した。

「あらあらもう目覚めたのね」

「すいませんなんだか世話になったみたいで」

「そんな私はただルミアから手当を頼まれただけで、
貴方を助けたのはルミア自身なの」

「私は無理するといけないからと念を押したのだけど、
 あの子私の言うことを丸っきり聞かなくてね。それで・・・・」

「その後はどうなったんですか、まさか力を使い果たして」

「いやまだ意識はしっかりしているし。あぁ見えて丈夫な子でね。
 ただ・・・」

「ただ何ですか?」

 「消耗が激しかったといえば。あの子の中に眠る核〈コア〉
  に自らの精神を削ってしまったことがあの子の負荷となった
  のね。それでそのまま眠りについてしまったのよ」

 「でも命に別状は」
 
 「幸いなことにあの子には精神的な負荷はそれほどかからなかったわ。けれど
  大きな心のストレスを抱えてしまったのかもね」

 ストレス。それが彼女の中に眠る。病気みたいなものなのか、
 よくは分からないが、強がって見えていたけど、彼女にも何らかの
 秘密の悩みを抱えているみたいだ。
 
 それにそのストレスの原因が自分にもあると思うと、その場に
 経っていられなくなるようで、どうにか助ける方法はないのか、
 負担を抱えてるのは僕が原因であることに間違いはないと、
 なら僕にだってできることくらいあるはずだと思わずには
 いられなくなっていた。

「あの僕が彼女に対してできることというのはないのでしょうか?」

「あらそれなら簡単な方法があるわよ。彼女はああ見えてわがままなところがあるから
 それに付き合えばいいの。彼女にはもう貴方しかいないのだから」

それは僕が今まで初めて感じたことのない。
違和感というか気持ちだった。

彼女には僕しかいない。そう先生の口から聞かされたことで、
僕は少なくともルミアに対して僕は信頼というかそれ以上のもの
を与えているのだと気がついた。

だから僕は彼女の契約者として、足でまといでそれほど強くもない役立たずで、
どうしようもない自分だからこそ、僕はルミアに対してだけは支えられる
男でありたいそう感じた。

そしてその瞬間。ルミアは床に垂れていた長い赤い髪の毛を
跳ね上げるとその乱れた髪を整えながら、僕に向けて眼光を
向けた。そこには寝起きながらも最初出会った時。と同じ
変わらないルミアの姿がそこにはあった。

「どうしたの。そんなに怯えて。私君に対してなにかした」

「いや別に何も。それよりも感謝してるくらいだよ。君が僕をここまで
 治してくれたんでしょう」

「だけど無理しちゃってるのかなって心配になって、
 だって僕が頼んだことでもないし」

「あの戦闘の最中。君はただ一人私に対して、助けてと懇願するように
 私には聞こえた。そして我と契約を結んだ」

「それがどうしたのだって君の命は」

「私は君の命とともにあるのだ。それは今でも変わらない。それに今の
 私は寝起きで大変気分が悪い」
 
「えっ?」

「いきなりで悪いのだが、今日は一日休ませてはくれないのだろうか」

「何心配はいらんお前一人でも成績には響かん。何故ならば私はただの
 契約少女であるだけだからだ」

彼女が言った言葉には一体どんな意味が隠されているのか、その意味深なことば
に僕はただ肯定するしかなく。でもそこには触れたくても触れられないような。
線引きがあり、僕と彼女での距離は未だ縮まってすらいない。女の子とのコミュニ
ケーションはこれまで、ハイタッチを通じてやってきたものだった。

けれど、彼女は僕に対してまだ敵意というか好意すら感じているのか分からない。
だけどそれが僕にとっては運命のようにも感じた。あの時僕は間違いなく死にかけていた。
それでも彼女は割って入るかのように僕の前に仁王立ちした。
彼女はもうその時覚悟を決めていた。

ならば僕もその覚悟を決めて、今一度気を引き締めてこの学園生活を送らなければ
ならない。だから何よりも僕は強い決意をもって、僕は何が起こるか、分からない
未知なる次なる教室へと一人足を運ぶのだった。

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